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旅路〜ルーシュピケ〜
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「どういう事だ?」
「人族が助けてくれたの?」
住人達の困惑が伝わってきていた。
イオリは話してくれたハニエル老に自分の知っている事を話す事にした。
「あの時は、まだヒューゴさんとニナと出会う前でした。
ナギと会って、一緒に牧場を見に行った後だった。」
すると双子が楽しそうに頷いた。
「初めてイオリの馬車で遠出したんだよね?」
「乳屋のおじさんの牧場でヨーグルトも見つけたんだよ。」
双子が思い出して笑っている。
「覚えてるよ。
小さい牛さんとも遊んだね。」
ナギがクスクスと笑った。
「いいなー。」と羨むニナにナギは「今度、行こうね。」と頭を撫でた。
「“明けない魔の森”
アースガイルにそう呼ばれる森があります。
“パライソの森”と同じように敬愛され畏怖されている森です。
俺は13の歳から、その森でゼンと暮らしました。
双子と出会ったのも、ナギと出会ったのも“明けない魔の森”です。」
再び住人がざわめき出した。
“パライソの森”と同じ様な森で13歳から従魔とだけ暮らしていた。
目の前の青年に注目が集まった。
「その後“魔の森”を有するポーレットという街の領主であるポーレット公爵の専属冒険者として庇護を受けました。
その最中でした。
“明けない魔の森”がスタンピードを起こしたのは・・・。」
聴衆の息を飲む音がした。
スタンピード・・・。
その言葉はどの国、どの種族にとっても恐ろしい言葉だった。
「俺は公爵家専属の冒険者として対処に乗り出しました。
前衛が得意な双子と従魔のゼンを送り出し、遠距離が得意な自分が前線を押し戻す。
その時は最適な作戦だと思っていました。
でも、怖かったです。
子供を修羅場に送り出さなければいけないのですから。」
双子はイオリに抱きついてニッコリとした。
イオリは双子抱きしめるとヒューゴを振り返った。
「だから、子供達を守ってくれる仲間が欲しかった。」
ヒューゴは「分かってる。」と微笑んだ。
「スタンピードは雪崩のようにやってきます。
街を守る騎士団や冒険者が疲弊していくのも分かっていました。」
「あの時さ。
“魔の森”が怒ってたんだよ。」
「・・・怒っていた。」
スコルの言葉にハニエル老は呟いた。
「正確に言うと、何かの怒りに当てられて森全体が怒気に包まれていた。
の方が正しいです。
大きな鹿が姿を表したのは直ぐの事でした。」
イオリは溜息を吐いた。
「怒りに我を忘れた大きな鹿がポーレットの街を襲おうとしていました。
それは、ポーレットの街に息子である子鹿が囚われていたからです。」
それはハニエル老とフェンバインが“パライソの守護者”から聞いていた話と一致していた。
“ルーシュピケ”の住人の目は未だに厳しい。
しかし、イオリの言葉が住人達の怒りの気持ちに隙間をもたらした。
「それは“パライソの守護者”にポーレットの街を破壊させようとした者の仕業でした。」
ポーレットの人間がアマメの息子を攫ったわけではない。
イオリは自分が愛する街の名誉を守ろうと必死だった。
「人族が助けてくれたの?」
住人達の困惑が伝わってきていた。
イオリは話してくれたハニエル老に自分の知っている事を話す事にした。
「あの時は、まだヒューゴさんとニナと出会う前でした。
ナギと会って、一緒に牧場を見に行った後だった。」
すると双子が楽しそうに頷いた。
「初めてイオリの馬車で遠出したんだよね?」
「乳屋のおじさんの牧場でヨーグルトも見つけたんだよ。」
双子が思い出して笑っている。
「覚えてるよ。
小さい牛さんとも遊んだね。」
ナギがクスクスと笑った。
「いいなー。」と羨むニナにナギは「今度、行こうね。」と頭を撫でた。
「“明けない魔の森”
アースガイルにそう呼ばれる森があります。
“パライソの森”と同じように敬愛され畏怖されている森です。
俺は13の歳から、その森でゼンと暮らしました。
双子と出会ったのも、ナギと出会ったのも“明けない魔の森”です。」
再び住人がざわめき出した。
“パライソの森”と同じ様な森で13歳から従魔とだけ暮らしていた。
目の前の青年に注目が集まった。
「その後“魔の森”を有するポーレットという街の領主であるポーレット公爵の専属冒険者として庇護を受けました。
その最中でした。
“明けない魔の森”がスタンピードを起こしたのは・・・。」
聴衆の息を飲む音がした。
スタンピード・・・。
その言葉はどの国、どの種族にとっても恐ろしい言葉だった。
「俺は公爵家専属の冒険者として対処に乗り出しました。
前衛が得意な双子と従魔のゼンを送り出し、遠距離が得意な自分が前線を押し戻す。
その時は最適な作戦だと思っていました。
でも、怖かったです。
子供を修羅場に送り出さなければいけないのですから。」
双子はイオリに抱きついてニッコリとした。
イオリは双子抱きしめるとヒューゴを振り返った。
「だから、子供達を守ってくれる仲間が欲しかった。」
ヒューゴは「分かってる。」と微笑んだ。
「スタンピードは雪崩のようにやってきます。
街を守る騎士団や冒険者が疲弊していくのも分かっていました。」
「あの時さ。
“魔の森”が怒ってたんだよ。」
「・・・怒っていた。」
スコルの言葉にハニエル老は呟いた。
「正確に言うと、何かの怒りに当てられて森全体が怒気に包まれていた。
の方が正しいです。
大きな鹿が姿を表したのは直ぐの事でした。」
イオリは溜息を吐いた。
「怒りに我を忘れた大きな鹿がポーレットの街を襲おうとしていました。
それは、ポーレットの街に息子である子鹿が囚われていたからです。」
それはハニエル老とフェンバインが“パライソの守護者”から聞いていた話と一致していた。
“ルーシュピケ”の住人の目は未だに厳しい。
しかし、イオリの言葉が住人達の怒りの気持ちに隙間をもたらした。
「それは“パライソの守護者”にポーレットの街を破壊させようとした者の仕業でした。」
ポーレットの人間がアマメの息子を攫ったわけではない。
イオリは自分が愛する街の名誉を守ろうと必死だった。
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