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旅路〜ルーシュピケ〜
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イオリ達の前に立ちはだかった緑の壁は“パライソの森”と一体となって存在感があるのに当たり前の様に佇んでいた。
分厚く重ねられた丸太の壁を苔や草木が纏わりついている。
イオリ達が近づくと数人が砦の見張り台から見下ろしていた。
「アズゥ!
デフテラの帰還か?
みんな無事だろうな?」
声をかけられアズゥが槍を掲げて答えた。
「おうよ!
全員、ピンピンしてるさ。
ほら、同胞と客人を連れてきた。
門を開けてくれ。」
見張り台にいた男達は互いに顔を見合わせながらも下に合図を送った。
すると、目の前の丸太の壁がゴゴゴッと音を立てて持ち上がってきた。
武器を手にした獣人やエルフが姿を現した。
「おぉ、アズゥ。
デフテラ、お帰り。」
丸太が持ち上がるとアズゥがイオリ達に顔を向けて「行くぞ。」とニカッと笑った。
キョロキョロと見渡す子供達を引き連れてアズゥの後を着いていく。
入ろうとした時だった。
「人族か?」
ウサギの獣人の男に話しかけられた。
ヒューゴと・・・特にニナが緊張しているのが分かった。
「はい。
アースガイルから来ました。」
イオリが穏やかに答えると男はジッと見つめた後に「そうか。」と言って通してくれた。
その後は何事もなくデフテラのメンバーに促されるままに中に入った。
再び音を立てて閉じた丸太の壁を見つめているイオリ達の後で話し合いの声が聞こえた。
「身元は私が保証する。」
「リルラさんが、そう言うのなら大丈夫だ。
男達はともかく、あの小さな子が悪さするとは思えない。」
自分の事を言われているのかと、ヒューゴに抱き上げられていたニナは、コソッと獣人とエルフを見つめた。
それに気づいたのか、先程イオリに声を掛けたウサギの獣人の男が口端を持ち上げニヤリとした。
ニナはビクッとしながらも嫌われている訳ではないと認識したのか、手を小さく振ってみた。
するとウサギの獣人の男は眉をピクっと動かすと片手を上げて答えてくれた。
答えてくれた事に安心したニナはニッコリとした。
ニナの笑顔にウサギの獣人の男は照れたように頭を掻いて仲間達との話に戻っていった。
「ニナ。
怖くないか?」
心配していたヒューゴが問いかけると、ニナは満面の笑みで頷いた。
「大丈夫!」
元気な返事に安心したのはヒューゴだけではない。
獣人とエルフの国である“ルーシュピケ”を楽しみにしていたスコルとパティの双子とナギもニナの事を気にしていた。
自分達だけが楽しむ訳にはいかない、例え“ルーシュピケ”の住人がニナを嫌ったら、全力で守ろうと密かに話し合ってすらいたのだ。
「どうやら、俺達の心配が杞憂だったようだね。
ニナは良い子だから、誰とでも仲良くなれるんだね。」
ニナとウサギの獣人の男のやり取りを見ていたイオリはゼンの頭を撫でた。
砂漠の国を離れ、森の国に辿り着いたイオリ達だった。
分厚く重ねられた丸太の壁を苔や草木が纏わりついている。
イオリ達が近づくと数人が砦の見張り台から見下ろしていた。
「アズゥ!
デフテラの帰還か?
みんな無事だろうな?」
声をかけられアズゥが槍を掲げて答えた。
「おうよ!
全員、ピンピンしてるさ。
ほら、同胞と客人を連れてきた。
門を開けてくれ。」
見張り台にいた男達は互いに顔を見合わせながらも下に合図を送った。
すると、目の前の丸太の壁がゴゴゴッと音を立てて持ち上がってきた。
武器を手にした獣人やエルフが姿を現した。
「おぉ、アズゥ。
デフテラ、お帰り。」
丸太が持ち上がるとアズゥがイオリ達に顔を向けて「行くぞ。」とニカッと笑った。
キョロキョロと見渡す子供達を引き連れてアズゥの後を着いていく。
入ろうとした時だった。
「人族か?」
ウサギの獣人の男に話しかけられた。
ヒューゴと・・・特にニナが緊張しているのが分かった。
「はい。
アースガイルから来ました。」
イオリが穏やかに答えると男はジッと見つめた後に「そうか。」と言って通してくれた。
その後は何事もなくデフテラのメンバーに促されるままに中に入った。
再び音を立てて閉じた丸太の壁を見つめているイオリ達の後で話し合いの声が聞こえた。
「身元は私が保証する。」
「リルラさんが、そう言うのなら大丈夫だ。
男達はともかく、あの小さな子が悪さするとは思えない。」
自分の事を言われているのかと、ヒューゴに抱き上げられていたニナは、コソッと獣人とエルフを見つめた。
それに気づいたのか、先程イオリに声を掛けたウサギの獣人の男が口端を持ち上げニヤリとした。
ニナはビクッとしながらも嫌われている訳ではないと認識したのか、手を小さく振ってみた。
するとウサギの獣人の男は眉をピクっと動かすと片手を上げて答えてくれた。
答えてくれた事に安心したニナはニッコリとした。
ニナの笑顔にウサギの獣人の男は照れたように頭を掻いて仲間達との話に戻っていった。
「ニナ。
怖くないか?」
心配していたヒューゴが問いかけると、ニナは満面の笑みで頷いた。
「大丈夫!」
元気な返事に安心したのはヒューゴだけではない。
獣人とエルフの国である“ルーシュピケ”を楽しみにしていたスコルとパティの双子とナギもニナの事を気にしていた。
自分達だけが楽しむ訳にはいかない、例え“ルーシュピケ”の住人がニナを嫌ったら、全力で守ろうと密かに話し合ってすらいたのだ。
「どうやら、俺達の心配が杞憂だったようだね。
ニナは良い子だから、誰とでも仲良くなれるんだね。」
ニナとウサギの獣人の男のやり取りを見ていたイオリはゼンの頭を撫でた。
砂漠の国を離れ、森の国に辿り着いたイオリ達だった。
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