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旅路〜パライソの森〜
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「急いで!急いで!
太陽が追いついちゃう!」
「アウラ、がんばれー!!」
砂煙を上げて馬車が爆走している。
昨夜の話し合いで、イオリ達は早朝出発して太陽の力が弱い内に緑地帯に駆け込もうと目論んでいた。
「暑いのはもう十分!」
寝坊助のパティでさえも、この計画には乗り気で、颯爽と目覚めると馬車に飛び乗った。
力強いパティの意気込みであったが、未だボサボサ頭で寝間着姿のままなのが彼女らしさが伺える。
「クククッ」
イオリが笑いを堪えている隣でスコルが呆れた顔で残念な妹を見つめていた。
「パティちゃん!
ちゃんと着替えないとダメだよ。」
末っ子ニナがプンプンと怒りパティの着替えを手伝った。
「パティは可愛いんだから、髪も綺麗にしようね。」
美しい薄緑色の髪を靡かせるとナギがパティのフワフワの髪を梳かし始めた。
「フフフ。
ナギが髪やってくれるの?」
「うん。
ほら、前向いて。」
いつも自分で整える髪も、今日は弟に甘えているパティだ。
大人しく髪を梳かされている間にスコルが差し出す、クッキーをパクッと口に入れた。
「いつまでもパティはパティだね。」
ーーー全く、もう。
呆れるスコルだったが、嬉しそうにクッキーを頬張るパティに苦笑するのだった。
完璧な美少女になったのは間もなくの事だった。
ツインテールに結ばれた薄紫色のフワフワな髪にはガラス玉がキラキラとしていた。
前方を見ていたヒューゴが先行していたリルラの合図に後を振り向いた。
「もう少しで入るぞ!」
ソリ型になっている馬車は緑地帯に入るとガタガタと揺れると忠告されていた。
日の出の光が馬車を照らそうとしている、その時。
それぞれが馬車の淵にしがみつくと車体が前後左右と大きく揺れた。
一生懸命にアウラがコントロールし、馬車が止まるとイオリ達は大きく息を吐いた。
「思ったんだけどさ、誰に追われている訳でもないのに、急いで緑地帯に、駆け込む必要あったの?」
最もなスコルの指摘にイオリが笑い出した。
「こっちの方が、なんか楽しいよ。」
ーーーなんか楽しい。
イオリの言葉にパティとニナが賛同している。
「俺とした事が。
イオリのテンションに乗せられた!!」
変なところでノリの良いヒューゴだった。
「皆さん、ご無事ですか?」
ゴヴァンが心配そうに駆け寄ってきた。
「大丈夫ですよ。
さぁ、みんな降りて。
馬車からソリを外すから。」
此処からは通常の車輪での移動になるが、それも途中で終わることになる。
森の中では馬車が使えない。
森で暮らしていたイオリ達にはお手のものだ。
むしろ、森歩きは好きである。
イオリとヒューゴが、手際よく車輪からソリを外してる向こうでリルラとゴヴァンも同じように作業をしていた。
その間、鬱蒼としげる草木に近づき子供達は辺りを見回りしてた。
「あっ。」
ニナは赤黒いベリーを見つけると、嬉しそうに摘んだ。
「ブラックベリーだ!
美味しそう。
みんなにもあげよう。」
ニナは小さな手に乗るくらいのベリーを収穫すると、その内の1つを味見しようと口を開けた。
その時だった。
いきなり、草から手が伸びニナの手首を力強く掴んだのだ。
「キャーーーー!!」
ニナの叫び声が辺り一体に響き渡った。
太陽が追いついちゃう!」
「アウラ、がんばれー!!」
砂煙を上げて馬車が爆走している。
昨夜の話し合いで、イオリ達は早朝出発して太陽の力が弱い内に緑地帯に駆け込もうと目論んでいた。
「暑いのはもう十分!」
寝坊助のパティでさえも、この計画には乗り気で、颯爽と目覚めると馬車に飛び乗った。
力強いパティの意気込みであったが、未だボサボサ頭で寝間着姿のままなのが彼女らしさが伺える。
「クククッ」
イオリが笑いを堪えている隣でスコルが呆れた顔で残念な妹を見つめていた。
「パティちゃん!
ちゃんと着替えないとダメだよ。」
末っ子ニナがプンプンと怒りパティの着替えを手伝った。
「パティは可愛いんだから、髪も綺麗にしようね。」
美しい薄緑色の髪を靡かせるとナギがパティのフワフワの髪を梳かし始めた。
「フフフ。
ナギが髪やってくれるの?」
「うん。
ほら、前向いて。」
いつも自分で整える髪も、今日は弟に甘えているパティだ。
大人しく髪を梳かされている間にスコルが差し出す、クッキーをパクッと口に入れた。
「いつまでもパティはパティだね。」
ーーー全く、もう。
呆れるスコルだったが、嬉しそうにクッキーを頬張るパティに苦笑するのだった。
完璧な美少女になったのは間もなくの事だった。
ツインテールに結ばれた薄紫色のフワフワな髪にはガラス玉がキラキラとしていた。
前方を見ていたヒューゴが先行していたリルラの合図に後を振り向いた。
「もう少しで入るぞ!」
ソリ型になっている馬車は緑地帯に入るとガタガタと揺れると忠告されていた。
日の出の光が馬車を照らそうとしている、その時。
それぞれが馬車の淵にしがみつくと車体が前後左右と大きく揺れた。
一生懸命にアウラがコントロールし、馬車が止まるとイオリ達は大きく息を吐いた。
「思ったんだけどさ、誰に追われている訳でもないのに、急いで緑地帯に、駆け込む必要あったの?」
最もなスコルの指摘にイオリが笑い出した。
「こっちの方が、なんか楽しいよ。」
ーーーなんか楽しい。
イオリの言葉にパティとニナが賛同している。
「俺とした事が。
イオリのテンションに乗せられた!!」
変なところでノリの良いヒューゴだった。
「皆さん、ご無事ですか?」
ゴヴァンが心配そうに駆け寄ってきた。
「大丈夫ですよ。
さぁ、みんな降りて。
馬車からソリを外すから。」
此処からは通常の車輪での移動になるが、それも途中で終わることになる。
森の中では馬車が使えない。
森で暮らしていたイオリ達にはお手のものだ。
むしろ、森歩きは好きである。
イオリとヒューゴが、手際よく車輪からソリを外してる向こうでリルラとゴヴァンも同じように作業をしていた。
その間、鬱蒼としげる草木に近づき子供達は辺りを見回りしてた。
「あっ。」
ニナは赤黒いベリーを見つけると、嬉しそうに摘んだ。
「ブラックベリーだ!
美味しそう。
みんなにもあげよう。」
ニナは小さな手に乗るくらいのベリーを収穫すると、その内の1つを味見しようと口を開けた。
その時だった。
いきなり、草から手が伸びニナの手首を力強く掴んだのだ。
「キャーーーー!!」
ニナの叫び声が辺り一体に響き渡った。
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