続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜デザリア・ガレー〜

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「塩や小麦は買い足されました?
 ポーションは?」

 セルマ夫人がヒューゴを問い詰めるように追い詰めていた。

「全部、用意してありますよ。
 それに怪我だったらポーションじゃなくてソルが・・・。」

「そんな事言って!
 有事の際にソル様がいなかったらどうするのです?
 何事も準備なさいませ。
 ウムラっ!」

「はい。奥様。
 こちらに御用意いたしました。」

 即座に執事のウムラが箱を差し出す。
 中には10本のポーションが入っていた。

「さぁ、お持ちください。」

「こんなに?!
 いやいや、多すぎます。」

 慌てて突き返すヒューゴに2人は至って真剣だ。

「旅を続けるのにポーションが多すぎるなど、ありません。
 ・・・皆さんが使わないのなら、旅先で必要な方がいるでしょう。」

 なんだかんだ押し切られる形でヒューゴは受け取った。
 そして2人の優しさにも感謝する。

「有難うございます。
 大切に使わせていただきます。
 お世話になりました。」




「絶対に、また来いよ。
 それで旅の話を聞かせてくれ。」

 アシィールはスコルと握手で別れを惜しんだ。

「またな。
 みんなも元気で。」

 スコルはガレーの地で仲良くなった子供達を笑顔で見渡した。

「パティちゃん。
 元気でね。」

「うん。
 マイカちゃんもね。」

 当初こそ、美少女であるパティに男の子達はドキドキしていたが木から飛び降りたり、腹を出しながら木陰で昼寝をしている様子を見て「これはダメだ。」と認識したのも早かった。
 代わりに姉御肌のマイカは手の掛かるパティを構い倒していた。
 
 寂しそうなマイカにパティは腰バックから大きな赤いリボンを取り出した。

「マイカちゃんにあげる!」

「あっ!
 ニナも!」

 今度はニナが黄色いリボンを差し出す。

「可愛い!
 ありがとう!
 私も、これ。」

 マイカはガラスで出来た玉を2人に差し出した。

「綺麗!!
 真ん中に穴が空いてるね。」

 パティはキラキラと反射するガラス玉を嬉しそうに太陽に翳した。

「瓶とかのあまりで作ったガラス玉だよ。
 穴に紐を通して腰につけたりするの。」

 そう聞けば、街を歩いていた時に大人の女性がつけていたのを見た事がある。

 マイカは選別だと2人に2個づつくれたのだった。

「ありがとう。
 大切にするね。」

「パティちゃん。
 リボンに通して髪につけようよ。」

 喜ぶパティとニナにマイカも嬉しそうだ。




「元気でね。」

 ケシャは優しいナギが好きだった。
 別れの言葉を言うケシャにもナギは笑顔だ。

「うん。
 ケシャも元気でね。」

「うん。」

 そこにジェイドとオランが加わった。

「ケシャ。
 もっと元気にお別れしようぜ。」

「そうだよ。
 一生の別れじゃないよ。
 友達は何歳になっても友達さ。」 

 物静かなケシャだが、仲間内では末っ子で、お兄さん、お姉さんに可愛がられている。
 ジェイドとオランに背中を押され、ケシャは真っ赤な顔で頷いた。

「ボッ ボク、ナギのライアー好きだよ。」

「ありがとう。」

 ナギは嬉しそうにケシャの頭を撫でた。

「僕もナギのライアーの音色が好きです。
 必ず、また会いましょう。」

「次来た時には、みんなで祭りをやろうぜ!」

 オランとジェイドの見送りの言葉に頷くとナギはライアーを取り出し別れの曲を奏でるのだった。




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