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旅路〜デザリア・ガレー〜
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件の老夫婦は戸惑ったような顔をしてやって来た。
外からやって来た人間に迷惑を被られてきたのだ。
また変なのがやってきたと困っているのだろう。
それでも領主の息子であるアシィールが連れて来たのだから無碍にも出来ない。
さて、どうすれば・・・。
老夫婦の感情を理解できたイオリはニッコリと微笑むと頭を下げた。
「お仕事中に申し訳ありません。
俺は冒険者をしています。イオリと言います。
現在、ガレー侯爵の屋敷でお世話になっています。」
「侯爵様の・・・。」
アシィールは頷くと老夫婦にイオリ達の紹介をした。
「こちらのイオリ様とご家族の皆さんは王都のダンジョンを攻略され、デザリアの危機を救ってくれた方達なんです。
旅の途中にカカオを求められてガレーに寄られました。
カカオと言ったらテシャン爺さんだから、お連れしたんです。」
領主の息子にも関わらずアシィールは身分関係なく歳上を敬うのをやめない。
そんなアシィールの言葉にやっと安心したのか、老夫婦はホッとした後にニッコリと微笑んだ。
「そうでしたか。
そんな凄い方とは・・・。
私はテシャンと申します。
こちらは家内のドネリアです。
ようこそ、おいで下されました。」
「突然お邪魔します。
俺達はアースガイルから来た人間なんです。
アースガイルでデザリアのチョコレートを口にする機会がありまして、とても美味しく頂きました。
是非ともアースガイルでもチョコレートを手に出来ないかとやって来たのです。」
老夫婦は驚いていた。
「チョコレートが美味しい・・・?」
どうやら作っている本人達も理解していないようだ。
いつぞやの牛乳の時と同じようだとイオリは内心、笑った。
「このカカオ農園は御2人で作られたんですか?」
楽しそうにイオリがカカオの樹に触れると老夫婦は顔を見合わせた。
「はい・・はい、そうです。
歳をとった私達が働き盛りの者達と同じ作物を作っても仕方がないと思いましてね。
人が作らない物をと薬用の植物に手を出したんですよ。」
「カカオは体に良いから、健康の予防にもなるって・・・。
苦いし安いから、ちっともお金にはならないけれど、この人がとても大切にしているから・・・。」
戸惑いながら頷くテシャン爺さんの隣でドネ婆さんが苦笑している。
「それなら、俺に売って下さい。
ちゃんと見合った金額で購入しますよ。
このカカオは、きっと人を笑顔にしてくれます。」
何を言っているのだ?
と老夫婦は訝しがっている。
「・・・でも。
私らの農園は今・・・とある商会と契約していて・・・。」
テシャン爺さんは悔しそうに顔を顰めた。
「それなら問題ありません。
今頃、件の紹介は商売どころじゃないでしょうから。
御2人は自由ですよ。」
「「・・・へっ?」」
老夫婦の気の抜けた返事にイオリは「フフフ。」と笑った。
「カズブール商会の不正を侯爵様もご存じです。
商人ギルドも巻き込んで操作が始まっています。
今、街にはラバン商会の会長も来ているんです。
是非、御2人のカカオの価値についてお話ししましょう。」
イオリはどこまでも清々しくイオリであった。
隣にいたヒューゴは、こうなったイオリを止められないと知っていた。
「始まったな。」
「えっ?何がです??」
首を傾げるアシィールにヒューゴはニヤリとした。
「こうやって、暴走するイオリは・・・。」
「「「「美味い物を作る!!」」」」
双子やナギ、ニナが叫ぶとガレーの子供達にも笑顔が広がっていくのだった。
外からやって来た人間に迷惑を被られてきたのだ。
また変なのがやってきたと困っているのだろう。
それでも領主の息子であるアシィールが連れて来たのだから無碍にも出来ない。
さて、どうすれば・・・。
老夫婦の感情を理解できたイオリはニッコリと微笑むと頭を下げた。
「お仕事中に申し訳ありません。
俺は冒険者をしています。イオリと言います。
現在、ガレー侯爵の屋敷でお世話になっています。」
「侯爵様の・・・。」
アシィールは頷くと老夫婦にイオリ達の紹介をした。
「こちらのイオリ様とご家族の皆さんは王都のダンジョンを攻略され、デザリアの危機を救ってくれた方達なんです。
旅の途中にカカオを求められてガレーに寄られました。
カカオと言ったらテシャン爺さんだから、お連れしたんです。」
領主の息子にも関わらずアシィールは身分関係なく歳上を敬うのをやめない。
そんなアシィールの言葉にやっと安心したのか、老夫婦はホッとした後にニッコリと微笑んだ。
「そうでしたか。
そんな凄い方とは・・・。
私はテシャンと申します。
こちらは家内のドネリアです。
ようこそ、おいで下されました。」
「突然お邪魔します。
俺達はアースガイルから来た人間なんです。
アースガイルでデザリアのチョコレートを口にする機会がありまして、とても美味しく頂きました。
是非ともアースガイルでもチョコレートを手に出来ないかとやって来たのです。」
老夫婦は驚いていた。
「チョコレートが美味しい・・・?」
どうやら作っている本人達も理解していないようだ。
いつぞやの牛乳の時と同じようだとイオリは内心、笑った。
「このカカオ農園は御2人で作られたんですか?」
楽しそうにイオリがカカオの樹に触れると老夫婦は顔を見合わせた。
「はい・・はい、そうです。
歳をとった私達が働き盛りの者達と同じ作物を作っても仕方がないと思いましてね。
人が作らない物をと薬用の植物に手を出したんですよ。」
「カカオは体に良いから、健康の予防にもなるって・・・。
苦いし安いから、ちっともお金にはならないけれど、この人がとても大切にしているから・・・。」
戸惑いながら頷くテシャン爺さんの隣でドネ婆さんが苦笑している。
「それなら、俺に売って下さい。
ちゃんと見合った金額で購入しますよ。
このカカオは、きっと人を笑顔にしてくれます。」
何を言っているのだ?
と老夫婦は訝しがっている。
「・・・でも。
私らの農園は今・・・とある商会と契約していて・・・。」
テシャン爺さんは悔しそうに顔を顰めた。
「それなら問題ありません。
今頃、件の紹介は商売どころじゃないでしょうから。
御2人は自由ですよ。」
「「・・・へっ?」」
老夫婦の気の抜けた返事にイオリは「フフフ。」と笑った。
「カズブール商会の不正を侯爵様もご存じです。
商人ギルドも巻き込んで操作が始まっています。
今、街にはラバン商会の会長も来ているんです。
是非、御2人のカカオの価値についてお話ししましょう。」
イオリはどこまでも清々しくイオリであった。
隣にいたヒューゴは、こうなったイオリを止められないと知っていた。
「始まったな。」
「えっ?何がです??」
首を傾げるアシィールにヒューゴはニヤリとした。
「こうやって、暴走するイオリは・・・。」
「「「「美味い物を作る!!」」」」
双子やナギ、ニナが叫ぶとガレーの子供達にも笑顔が広がっていくのだった。
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