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旅路〜デザリア・ガレー〜
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「危ない!!」
ゴヴァンが声を上げるとリルラは振り返ることなく相手の腹部に足を蹴り出した。
「うぐっ!」
「・・・貴方がハマジィね。
シャカン・カズブールの部下だって事は知ってる。
でも、この男に忠誠を誓う程に時を一緒に過ごしているとは思えないのだけれど?」
リルラは素振りをするように足を上げると腹部を抑えるハマジィを見据えた。
「まあね・・・。」
ハマジィは立ち上がるとニヤリと笑った。
「・・・そう。
そう言う事。
貴方だったのね。」
ーーー魅了の耳飾りを渡したのは。
リルラの言葉が無駄にハッキリと聞こえた。
ゴヴァンは顔を顰めると自身の手で押さえつけている男よりもハマジィを凝視した。
「別にね。
俺もその男がどうなろうと知らないんだけどね。
“魅了の耳飾り”
あれを見破られたら不味いわけ。」
ハマジィはヘラっと笑うとデザリアについたばかりのシャカン・カズブールを隠れ蓑として使い、様々な事を画策していた事を話し始めた。
「悪人がペラペラと話すと余計に疑われるわよ。
それとも観念したのかしら?」
リルラがバカにしたように笑うとハマジィは笑い出した。
「おまえさん達を始末して逃げる事は簡単だよ。
でも、“魅了の耳飾り”は回収しなくちゃいけないんだ。
・・・怒られる。」
初めて顔を顰めたハマジィをリルラとゴヴァンが鋭い目で見据える。
「舐められたものね。
ここには仲間が何人もいるのよ。
逃げられると思っているの?」
「君を人質にしてみるって言うのはどう?」
「やれるかしら?」
「試してみよう。」
ハマジィがナイフを構え、リルラも同じく短剣を握りしめた。
一触即発だった。
ーーーその時
パリンッ
窓ガラスが割れたと思ったらハマジィが唐突に膝を突き頭から倒れていった。
唖然とするリルラを前にハマジィはスースーと寝息を立てているようだ。
「リルラ。
見て下さい。」
ゴヴァンが顎で示す方を見れば、ガラス窓に小さな穴があった。
2人は顔を見合わせると苦笑した。
「あの方は・・・。
任せてって言ったのに。」
「信頼していないわけじゃないと思いますよ。」
「分かってる。
それでも悔しいわ。」
そんなリルラをゴヴァンは笑った。
「コイツらをガレー侯爵に引き渡しましょう。
流石に、部下の男が黒幕だったとは分かっていないでしょうからね。」
「そうね。
この男の目的も雇い主も分かっていないのだもの。
事件が終わったとは言えない。
でも・・・。」
「カカオ農園を訪問するのに問題が無くなったと考えるべきでしょうね。」
2人は、どこから見ているのか分からないが窓に向かって笑顔で手を振った。
「終わったみたい。」
真っ白でフワフワな相棒と、その頭に乗っている真っ赤な小鳥に微笑むとイオリはスナイパーライフルを腰バックに閉まった。
ゴヴァンが声を上げるとリルラは振り返ることなく相手の腹部に足を蹴り出した。
「うぐっ!」
「・・・貴方がハマジィね。
シャカン・カズブールの部下だって事は知ってる。
でも、この男に忠誠を誓う程に時を一緒に過ごしているとは思えないのだけれど?」
リルラは素振りをするように足を上げると腹部を抑えるハマジィを見据えた。
「まあね・・・。」
ハマジィは立ち上がるとニヤリと笑った。
「・・・そう。
そう言う事。
貴方だったのね。」
ーーー魅了の耳飾りを渡したのは。
リルラの言葉が無駄にハッキリと聞こえた。
ゴヴァンは顔を顰めると自身の手で押さえつけている男よりもハマジィを凝視した。
「別にね。
俺もその男がどうなろうと知らないんだけどね。
“魅了の耳飾り”
あれを見破られたら不味いわけ。」
ハマジィはヘラっと笑うとデザリアについたばかりのシャカン・カズブールを隠れ蓑として使い、様々な事を画策していた事を話し始めた。
「悪人がペラペラと話すと余計に疑われるわよ。
それとも観念したのかしら?」
リルラがバカにしたように笑うとハマジィは笑い出した。
「おまえさん達を始末して逃げる事は簡単だよ。
でも、“魅了の耳飾り”は回収しなくちゃいけないんだ。
・・・怒られる。」
初めて顔を顰めたハマジィをリルラとゴヴァンが鋭い目で見据える。
「舐められたものね。
ここには仲間が何人もいるのよ。
逃げられると思っているの?」
「君を人質にしてみるって言うのはどう?」
「やれるかしら?」
「試してみよう。」
ハマジィがナイフを構え、リルラも同じく短剣を握りしめた。
一触即発だった。
ーーーその時
パリンッ
窓ガラスが割れたと思ったらハマジィが唐突に膝を突き頭から倒れていった。
唖然とするリルラを前にハマジィはスースーと寝息を立てているようだ。
「リルラ。
見て下さい。」
ゴヴァンが顎で示す方を見れば、ガラス窓に小さな穴があった。
2人は顔を見合わせると苦笑した。
「あの方は・・・。
任せてって言ったのに。」
「信頼していないわけじゃないと思いますよ。」
「分かってる。
それでも悔しいわ。」
そんなリルラをゴヴァンは笑った。
「コイツらをガレー侯爵に引き渡しましょう。
流石に、部下の男が黒幕だったとは分かっていないでしょうからね。」
「そうね。
この男の目的も雇い主も分かっていないのだもの。
事件が終わったとは言えない。
でも・・・。」
「カカオ農園を訪問するのに問題が無くなったと考えるべきでしょうね。」
2人は、どこから見ているのか分からないが窓に向かって笑顔で手を振った。
「終わったみたい。」
真っ白でフワフワな相棒と、その頭に乗っている真っ赤な小鳥に微笑むとイオリはスナイパーライフルを腰バックに閉まった。
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