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旅路〜デザリア・ガレー〜
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シャカン・カズブールは焦燥感に駆られイライラと足を忙しなく揺すっていた。
するとドアの向こう側が騒がしい。
近づいてくる様々な足音が聞こえてくる。
ドアを凝視していたシャカン・カズブールとは違い、ハマジィは興味なさそうにアクビをしている。
コンコンコンッ
軽やかなノックを合図に扉が開いた。
「カズブール商会の会長シャカン殿とお見受け致します。
はじめまして。
私はアースガイルより参りました。
商会・ホワイトキャビンの旅団で団長を務めますリルラと申します。
我らが宰相様の許可を得て、貴方を確保しに参りました。」
そこには美しいエルフの女が微笑んでいた。
シャカン・カズブールは一瞬だけ恐怖を忘れた。
「旦那。旦那。
この女、変な事言ってるよ。」
ハマジィに揺さぶられなかったら、いつまでも呆けていたかもしれない。
ホワイトキャビンの名を聞き身震いする。
「らっ来客を招いたつもりわない。
お帰りいただこうか。」
ドンっ
「グワァ!!!
フンと顔を背けたシャカン・カズブールの前に黒い影が見えたと思ったら激痛を味わう事となった。
女の隣にいた男のエルフに頭を鷲掴みにされテーブルに押し付けられているのである。
辛うじて目だけで上を向くと、エルフの女はナイフを取り出した。
「お前の理屈など私達には通じない。
聞いていなかったのか?
我々はグレン・ターナー宰相閣下の命で赴いたのだ。」
「宰相・・・。」
「そうだ。
アースガイルの宰相閣下だ。
他国にまで迷惑をかける自国民、あまつさえ貴族に名を連ねる人間を国王陛下がお見逃しになるものか。
お前と同じように、悪事に手を染めていた輩は皆処罰された。
国を跨いだお前はデザリアの法で裁かれる事になる。
この事はデザリア王も確認されガレー侯爵が請け負う事となっている。
これが証拠だ。」
ダンっ!
テーブルに叩きつけられた書状にナイフを突きつけたリルラ。
シャカン・カズブールは怯えていた。
「安心しろ。
お前の生家であるラート男爵家は真面目な働きぶりでお咎めはなしとなった。
ラート男爵家の三男はすでにこの世を去ったと報告されている。
お前がデザリアでどのような処分を下されようと、誰にも迷惑は掛からない。」
リルラが耳元で聴かせてやるとシャカン・カズブールは喚き始めた。
「あ・・・あぁぁ・・・あぁぁ!!」
どこか根底で貴族の出であると自負していた男にとって、最後のプライドが崩れた瞬間だった。
家から逃げ、街から逃げ、国から逃げだし他国で再起を図ろうとした男は自身の最後を悟ったのだ。
「最後に聞こう。
商人ギルドの職員、サーヘラという女。
彼女に渡した“魅了の耳飾り”。
あれは何処で手に入れたものだ?」
尋問するリルラだけではなく押さえつけているゴヴァンの力も強くなる。
彼らも魅了とは違うが、人生を縛られていた者達だ。
この手の事柄は大嫌いだった。
「あぁぁ・・・。」
泣き叫ぶシャカン・カズブールをゴヴァンが強く揺すった。
「さぁ、吐け!
誰から買った?!」
シャカン・カズブールに夢中になっていたゴヴァンは気付くのが遅れた。
目端でキラリと光った物がある。
「危ない!!」
リルラの背に向かい男がナイフを振り上げていた。
するとドアの向こう側が騒がしい。
近づいてくる様々な足音が聞こえてくる。
ドアを凝視していたシャカン・カズブールとは違い、ハマジィは興味なさそうにアクビをしている。
コンコンコンッ
軽やかなノックを合図に扉が開いた。
「カズブール商会の会長シャカン殿とお見受け致します。
はじめまして。
私はアースガイルより参りました。
商会・ホワイトキャビンの旅団で団長を務めますリルラと申します。
我らが宰相様の許可を得て、貴方を確保しに参りました。」
そこには美しいエルフの女が微笑んでいた。
シャカン・カズブールは一瞬だけ恐怖を忘れた。
「旦那。旦那。
この女、変な事言ってるよ。」
ハマジィに揺さぶられなかったら、いつまでも呆けていたかもしれない。
ホワイトキャビンの名を聞き身震いする。
「らっ来客を招いたつもりわない。
お帰りいただこうか。」
ドンっ
「グワァ!!!
フンと顔を背けたシャカン・カズブールの前に黒い影が見えたと思ったら激痛を味わう事となった。
女の隣にいた男のエルフに頭を鷲掴みにされテーブルに押し付けられているのである。
辛うじて目だけで上を向くと、エルフの女はナイフを取り出した。
「お前の理屈など私達には通じない。
聞いていなかったのか?
我々はグレン・ターナー宰相閣下の命で赴いたのだ。」
「宰相・・・。」
「そうだ。
アースガイルの宰相閣下だ。
他国にまで迷惑をかける自国民、あまつさえ貴族に名を連ねる人間を国王陛下がお見逃しになるものか。
お前と同じように、悪事に手を染めていた輩は皆処罰された。
国を跨いだお前はデザリアの法で裁かれる事になる。
この事はデザリア王も確認されガレー侯爵が請け負う事となっている。
これが証拠だ。」
ダンっ!
テーブルに叩きつけられた書状にナイフを突きつけたリルラ。
シャカン・カズブールは怯えていた。
「安心しろ。
お前の生家であるラート男爵家は真面目な働きぶりでお咎めはなしとなった。
ラート男爵家の三男はすでにこの世を去ったと報告されている。
お前がデザリアでどのような処分を下されようと、誰にも迷惑は掛からない。」
リルラが耳元で聴かせてやるとシャカン・カズブールは喚き始めた。
「あ・・・あぁぁ・・・あぁぁ!!」
どこか根底で貴族の出であると自負していた男にとって、最後のプライドが崩れた瞬間だった。
家から逃げ、街から逃げ、国から逃げだし他国で再起を図ろうとした男は自身の最後を悟ったのだ。
「最後に聞こう。
商人ギルドの職員、サーヘラという女。
彼女に渡した“魅了の耳飾り”。
あれは何処で手に入れたものだ?」
尋問するリルラだけではなく押さえつけているゴヴァンの力も強くなる。
彼らも魅了とは違うが、人生を縛られていた者達だ。
この手の事柄は大嫌いだった。
「あぁぁ・・・。」
泣き叫ぶシャカン・カズブールをゴヴァンが強く揺すった。
「さぁ、吐け!
誰から買った?!」
シャカン・カズブールに夢中になっていたゴヴァンは気付くのが遅れた。
目端でキラリと光った物がある。
「危ない!!」
リルラの背に向かい男がナイフを振り上げていた。
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