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旅路〜デザリア・ガレー〜
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「・・・殿っ?イオリ殿?」
イオリはジュード・ガレーに声を掛けられている事に気づき、ハッとした。
「すみません。
ちょっと、他の事を思い出してました。」
ジュード・ガレーは苦笑しながら頷くと、オンリールについてイオリに問いかけた。
「アースガイルのオンリール領について現在は問題ないと考えて良いのだろうか?」
それにはイオリは頷いた。
「現領主は年若いと聞きますが、前領主が手助けをして立て直しを図っています。
王城からも補佐役が送られたと聞いています。
それは冒険者ギルド、商人ギルドも同じです。
王都の本部から監視役が向かったと聞いていますよ。」
「ならば、“カズブール”とう商会はこちらで処分をしても問題ないのだろうか?」
「ないでしょうね。
まぁ、正直、オレはその手の話には首を突っ込んでないんで直接聞いてみましょう。」
唐突にイオリは指輪に向かって声をかけた。
「もしもーし。
アルさーん。」
___________
ーーーアースガイル・王都マテオールの王城の一室
「・・・うーむ。
暇だ。」
そう呟くのはアルフレッド・アースガイル。
アースガイル国の王である。
アルフレッドは顔を顰めると天井を仰いだ。
「決して暇ではないんですがね・・・。」
アルフレッドの側で溜息を吐くのは宰相グレン・ターナー侯爵だ。
国王の右腕というべき彼は、政を為すよりも目の前の男を制御する方が難しいのではと常々苦心している。
グレン・ターナーは積み上げられている書類をトントンと叩いた。
「暇なら、この書類を片付けていって下さい。」
「・・・分かっている。
そういう意味での暇という言葉ではないのだ。」
国王アルフレッドは宰相の悩みなど気づく事なく不貞腐れた。
「こちらこそ、分かっていますよ。
遠い地に向かった彼等の事を考えているのでしょう?
昨日、ヒューゴから連絡があったばかりではないですか。
“ホワイトキャビン”のデザリアでの出店。
ガレーの地までの旅路。
極め付けは、かの国の王女が“神の愛し子”である可能性があるという・・・。
何ですか!?その報告は!!」
話しながら、段々とグレン・ターナーの怒りのボルテージが上がっていく。
「グレンよ。
落ち着け・・・。」
顔が引き攣る王を見下ろし、グレン・ターナーは不敵な笑みを浮かべた。
「落ち着けですって?
えぇ、落ち着いていますよ!
良いですか!
我々はこれまで以上にデザリアという国と友好関係を築かねばならないんです!
こんな書類、さっさと片付けてしまいなさい!!
何が、暇ですか!
これから、もっと忙しくなるのですよ!!」
「うむ。
分かった。」
いつも冷静なグレン・ターナーの怒りに触れた国王は大人しく、積まれた書類に手をやった。
「それならば、宜しい。
・・・私もお手伝いしますから。」
グレン・ターナーが譲歩した時だった。
「もしもーし。
アルさーん。」
通信ができる魔道具。
その球体から呑気に呼びかけてくる声があった。
「アルさーん!
グレンさん、いませんかー?」
アルフレッドが目を輝かせたのをグレン・ターナーは沈んだ気持ちで見つめるのだった。
イオリはジュード・ガレーに声を掛けられている事に気づき、ハッとした。
「すみません。
ちょっと、他の事を思い出してました。」
ジュード・ガレーは苦笑しながら頷くと、オンリールについてイオリに問いかけた。
「アースガイルのオンリール領について現在は問題ないと考えて良いのだろうか?」
それにはイオリは頷いた。
「現領主は年若いと聞きますが、前領主が手助けをして立て直しを図っています。
王城からも補佐役が送られたと聞いています。
それは冒険者ギルド、商人ギルドも同じです。
王都の本部から監視役が向かったと聞いていますよ。」
「ならば、“カズブール”とう商会はこちらで処分をしても問題ないのだろうか?」
「ないでしょうね。
まぁ、正直、オレはその手の話には首を突っ込んでないんで直接聞いてみましょう。」
唐突にイオリは指輪に向かって声をかけた。
「もしもーし。
アルさーん。」
___________
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「・・・うーむ。
暇だ。」
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「決して暇ではないんですがね・・・。」
アルフレッドの側で溜息を吐くのは宰相グレン・ターナー侯爵だ。
国王の右腕というべき彼は、政を為すよりも目の前の男を制御する方が難しいのではと常々苦心している。
グレン・ターナーは積み上げられている書類をトントンと叩いた。
「暇なら、この書類を片付けていって下さい。」
「・・・分かっている。
そういう意味での暇という言葉ではないのだ。」
国王アルフレッドは宰相の悩みなど気づく事なく不貞腐れた。
「こちらこそ、分かっていますよ。
遠い地に向かった彼等の事を考えているのでしょう?
昨日、ヒューゴから連絡があったばかりではないですか。
“ホワイトキャビン”のデザリアでの出店。
ガレーの地までの旅路。
極め付けは、かの国の王女が“神の愛し子”である可能性があるという・・・。
何ですか!?その報告は!!」
話しながら、段々とグレン・ターナーの怒りのボルテージが上がっていく。
「グレンよ。
落ち着け・・・。」
顔が引き攣る王を見下ろし、グレン・ターナーは不敵な笑みを浮かべた。
「落ち着けですって?
えぇ、落ち着いていますよ!
良いですか!
我々はこれまで以上にデザリアという国と友好関係を築かねばならないんです!
こんな書類、さっさと片付けてしまいなさい!!
何が、暇ですか!
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「うむ。
分かった。」
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「それならば、宜しい。
・・・私もお手伝いしますから。」
グレン・ターナーが譲歩した時だった。
「もしもーし。
アルさーん。」
通信ができる魔道具。
その球体から呑気に呼びかけてくる声があった。
「アルさーん!
グレンさん、いませんかー?」
アルフレッドが目を輝かせたのをグレン・ターナーは沈んだ気持ちで見つめるのだった。
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