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旅路〜デザリア・ガレー〜

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 よくアシィールの話を聞いてみれば、2人が特別に言い合いなどの喧嘩をしている訳ではないらしい。
 どうやら、最近のギルマスにサブマスであるマイカの父・ブラッシュが不信感を抱いているのだそうだ。

「父さん、ギルマスの事を尊敬していたから、何でなんだろうって。」

「わざわざ、マイカに手紙を渡してな。」

 思わずシトリンが口を滑らすと、すかさずオランが頭を叩いた。

「痛ッ!」

「それは秘密だろう!!」

 オランに怒られた事でシトリンは気まずそうな顔をアシィールに向けた。
 同時にイオリの伺うような視線を受けてアシィールが溜息を吐いた。

「イオリさんは父様が信頼されているから良いけど、もっと気をつけろよ。
 シトリン。」

「分かったよ。
 悪かった。」

 シトリンが素直に謝るとアシィールは真剣な顔でイオリを見つめた。

「父様宛にマイカの父さんが手紙を書いたんです。
 それをマイカからオレへ、そしてオレが父様に渡しました。」

「今まで、そんな事なかったから怖かった・・・。」

 顔を曇らせたマイカに同意する様にアシィールも頷いた。

「普段、問題がある時に父様と話し合いをするのはギルマスです。
 マイカの父さんは月の報告書を持ってくる時に軽く話して行くけれど、手紙なんて初めてでした。」

「それって、いつの話?」

 イオリが問いかけると、ガレーの子供達は顔を見合わせた。

「・・・バッカスのダンジョンが閉鎖された頃だったよな。」

「うん。
 それから、ガレーの大人達も忙しかったもん。」

 アシィールとマイカ、他の子供達も頷き合っている。

「成程ね・・・。」

 イオリが納得したように考え込むと、スコルが首を傾げた。

「何が成程なの?
 時期が問題?」

「そうだね。
 スコル。
 森に置き換えて考えてごらん。
 突然、森で魔獣が騒ぐのはどんな時?」

「・・・森に変な物が混ざった時?」

「そうだね。
 いつもと違う何かが起こった時に、問題が浮き彫りになるんだよ。
 マイカちゃんのお父さんは、騒ぎが起こった時に何かに気づいた。
 しかも、どうやらギルマスが関係しているらしい。
 だから、誰かに相談しなければならないと思った。
 その相手が領主であるジュードさんだった。」

「領主に相談するって、物事が大きくなるよね?」

 スコルの疑問は尤もだった。
 上司の行動を告げ口するのだ。
 周りから見れば、宜しい事ではない。
 
「それでもジュードさんなら、何とかしてくれると信じていたんだよ。
 相手は尊敬しているギルマスだ。
 マイカちゃんのお父さんはギルマスの事も心配しているんだよ。
 優しいお父さんだね。」

 イオリが微笑むとマイカは嬉しそうに頷いた。

「さてさて、その問題とやらは何だろうね。」

 イオリが子供達を見渡すとシトリンが勢い良く手を上げた。

「やっぱり、あれじゃね?
 。」

 同意するようにガレーの子供達が頷いた。

「絶対にそうだ。」
「間違いないね。」

「余所者?」

 イオリが首を傾げるとアシィールが声を落とした。

「ディバおじさんの農園に嫌がらせをしている連中がいるんです。」

 どこかで聞いた話だとイオリは子供達の話に耳を傾けたのだった。

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