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旅路〜デザリア・ガレー〜
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「恐らく、イオリ殿が会った老人は前公爵・ハーディ様だろう。」
「・・・はっ?」
キョトンとする隣でヒューゴが頭を抱えた。
「お前は、ちょっと目を離すと、何でそんな事になるんだ?」
「えー!俺の所為ですか?
じゃないや、俺、気安くお爺さんって言っちゃいましたよ!?」
「あー!!」
慌てるイオリ、悶えるヒューゴを見てガレー夫婦とシモン・ヤティムは苦笑した。
「いや、前とは言え、公爵然としていない父が悪いのだ。
イオリ殿もご覧になって分かったろう?
父は貴族としては変わった人間なんだ。
しかし、あれでいて現役時代・・・退いてからも頼りされる程に人望があるのだよ。
数年前に『お前に譲る。後はうまくやれ。』と言って、あの小屋に移り住んでしまった。
まぁ、頻繁に屋敷に顔を出すが私は心配しているのだ。」
ーーーその家族には心配だからやめろと言われているがね。
《そりゃ、心配するでしょうよっ!》
好々爺なお爺さんが笑っていたのを思い出して、イオリは声を出さすに突っ込んだ。
ーーー息子の力になってもらえんかね?
お爺さんのキラキラした顔を思い出し、イオリは手をポンと叩いた。
「息子さんって、公爵の事だったんですね。
・・・あっ、しまった。」
「何だ!?
何を言った?」
慌てたのはヒューゴだ。
イオリがまた何かやらかしたと察し、イオリの肩をガバッと掴み、激しく揺さぶった。
「・・・え~っと。
ん~。
テオさんに相談しようかな?」
「イーオーリー!!」
誤魔化すイオリにヒューゴの顔が真っ青になった。
「まーまーまー。
本当に無理な事なら、私が断ろう。
イオリ殿は前に進まねばならぬ用があるのだから。」
シモン・ヤティムの取りなしでヒューゴの溜飲が降りたようだ。
「父がすまんな。
・・・で?
父と何の話を?」
「野菜の保存方法の話をしたら、息子に力を貸して欲しいと言われました。」
「野菜の保存方法?」
ジュード・ガレーの目がギラっとした。
その圧にイオリは押され気味だ。
隣ではヒューゴが諦めたように大人しくしている。
「保存食とやらがあるらしいぞ。」
戸口から優しい声がして一斉に視線を集めた。
「手を加えると野菜の日持ちが可能らしい。
砂漠の輸送で傷んでいた野菜の問題に悩んでいただろう。
うまくいけば、腐らせていた野菜も無駄なく利用できるのではないか?」
朝と同じ微笑みを携え老人がスタスタと食堂に入ってくる。
「父上。
いらしたんですか?」
「お帰りなさいませ。
義父様。
テーブルを片付けましょう。
ウムラ。」
老人の到着でガレー公爵邸が慌ただしくなった。
セルマ夫人の掛け声に反応した執事兼家令のウムラと従者やメイドが足速に動き出しテーブルを片付けだした。
「すまんな。」
公爵の手を借りて椅子に座ると老人はイオリに微笑んだ。
「朝ぶりだな。
青年。」
間違いなく、この老人が前公爵ハーディ・ガレー翁なのだと諦めがついたイオリなのであった。
「・・・はっ?」
キョトンとする隣でヒューゴが頭を抱えた。
「お前は、ちょっと目を離すと、何でそんな事になるんだ?」
「えー!俺の所為ですか?
じゃないや、俺、気安くお爺さんって言っちゃいましたよ!?」
「あー!!」
慌てるイオリ、悶えるヒューゴを見てガレー夫婦とシモン・ヤティムは苦笑した。
「いや、前とは言え、公爵然としていない父が悪いのだ。
イオリ殿もご覧になって分かったろう?
父は貴族としては変わった人間なんだ。
しかし、あれでいて現役時代・・・退いてからも頼りされる程に人望があるのだよ。
数年前に『お前に譲る。後はうまくやれ。』と言って、あの小屋に移り住んでしまった。
まぁ、頻繁に屋敷に顔を出すが私は心配しているのだ。」
ーーーその家族には心配だからやめろと言われているがね。
《そりゃ、心配するでしょうよっ!》
好々爺なお爺さんが笑っていたのを思い出して、イオリは声を出さすに突っ込んだ。
ーーー息子の力になってもらえんかね?
お爺さんのキラキラした顔を思い出し、イオリは手をポンと叩いた。
「息子さんって、公爵の事だったんですね。
・・・あっ、しまった。」
「何だ!?
何を言った?」
慌てたのはヒューゴだ。
イオリがまた何かやらかしたと察し、イオリの肩をガバッと掴み、激しく揺さぶった。
「・・・え~っと。
ん~。
テオさんに相談しようかな?」
「イーオーリー!!」
誤魔化すイオリにヒューゴの顔が真っ青になった。
「まーまーまー。
本当に無理な事なら、私が断ろう。
イオリ殿は前に進まねばならぬ用があるのだから。」
シモン・ヤティムの取りなしでヒューゴの溜飲が降りたようだ。
「父がすまんな。
・・・で?
父と何の話を?」
「野菜の保存方法の話をしたら、息子に力を貸して欲しいと言われました。」
「野菜の保存方法?」
ジュード・ガレーの目がギラっとした。
その圧にイオリは押され気味だ。
隣ではヒューゴが諦めたように大人しくしている。
「保存食とやらがあるらしいぞ。」
戸口から優しい声がして一斉に視線を集めた。
「手を加えると野菜の日持ちが可能らしい。
砂漠の輸送で傷んでいた野菜の問題に悩んでいただろう。
うまくいけば、腐らせていた野菜も無駄なく利用できるのではないか?」
朝と同じ微笑みを携え老人がスタスタと食堂に入ってくる。
「父上。
いらしたんですか?」
「お帰りなさいませ。
義父様。
テーブルを片付けましょう。
ウムラ。」
老人の到着でガレー公爵邸が慌ただしくなった。
セルマ夫人の掛け声に反応した執事兼家令のウムラと従者やメイドが足速に動き出しテーブルを片付けだした。
「すまんな。」
公爵の手を借りて椅子に座ると老人はイオリに微笑んだ。
「朝ぶりだな。
青年。」
間違いなく、この老人が前公爵ハーディ・ガレー翁なのだと諦めがついたイオリなのであった。
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