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旅路〜デザリア〜
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「くわぁぁ~。」
翌朝、空が白んできた頃にイオリがテントを出てきた。
側には従魔のゼンが同じく大きな口を開けてあくびをしている。
「おはよう。
ゼン。
最近、知らない人ばっかりで落ち着かないだろう?」
優しく撫でてやるとゼンは甘えるように顔を擦り付けてくる。
『大丈夫。
どうやら、みんな悪い人じゃないみたいだから警戒しなくて良いしね。』
家族の前以外では話さないゼンは最近はイオリとしか会話をしていない。
子供達に話しかけられても頷いたり、首を振ったりとしているだけだった。
周りの人間達には賢い狼だとしか思われていないようだ。
「イオリ!ゼンちゃん!
おはよう。」
そこにスコルがテントから出てくるのが見えた。
朝ご飯担当のスコルは、イオリと共に過ごす、この時間が大好きなのだ。
「今日は何食べようか?」
聞いてきたスコルにイオリは考え込んだ。
「昨日のシチューは残らなかったからね。
朝はパンケーキでも焼こうか。
タージさんの護衛のネイルさんは甘いの好きって言ってたけど、補佐のユーフさんは甘いの苦手っぽいんだよね。」
塩飴を恐々口にしていたユーフの顔を思い出し、イオリは考え込んだ。
「やっぱり、ベーコンとか卵も焼こう。」
メニューが決まれば、あとは行動あるのみだった。
焚き火に火をくべるとゼンに番を頼む。
スコルは卵を割ると白身と黄身に分け、白身でメレンゲを作っていく。
優しく黄身を加え小麦粉をさっくりと混ぜた。
イオリ直伝のふわふわパンケーキだ。
魔道具のコンロにフライパンを設置し小さいパンケーキを沢山焼いていくスコルの後で、イオリは焚き火でベーコンを焼いていく。
ジュウジュウ
香ばしい匂いがしてくると誘われるようにヒューゴがトレーニングから戻ってきた。
どうやらラバン商会の護衛ネイルと一緒だったようで2人で楽しそうに話している。
「おっ。
パンケーキか?
風呂浴びたら戻ってくる。」
「分かりました。
ネイルさんもどうぞ。
そうだ。
ヒューゴさん。
寝坊助の面倒を頼みます。」
恐らく、寝相悪く爆睡している美少女に2人は苦笑する。
「了解。
逆さにして起こしてくる。」
ヒューゴが手荒な方法を取る前にパティが起きる事を願うイオリだった。
「はい。
パンケーキが焼き終わったよ。
バターとジャム・・・蜂蜜もいるよね。
目玉焼きは?」
そっくりな双子でも違う事がある。
スコルは寝起きが良い方だ。
テキパキと働くスコルの頭をイオリは撫でた。
「・・・何?
俺、もう大きいよ。」
恥ずかしそうに顔を赤らめるスコルにイオリは成長を感じた。
長男としてしっかり者のスコル。
抱きしめられるのは良いのに、頭を撫でられるのは恥ずかしいらしい。
「知ってるよ。
大きくなったね。」
イオリがクスクスと笑うと照れを隠すようにフライ返しを振るスコルだった。
翌朝、空が白んできた頃にイオリがテントを出てきた。
側には従魔のゼンが同じく大きな口を開けてあくびをしている。
「おはよう。
ゼン。
最近、知らない人ばっかりで落ち着かないだろう?」
優しく撫でてやるとゼンは甘えるように顔を擦り付けてくる。
『大丈夫。
どうやら、みんな悪い人じゃないみたいだから警戒しなくて良いしね。』
家族の前以外では話さないゼンは最近はイオリとしか会話をしていない。
子供達に話しかけられても頷いたり、首を振ったりとしているだけだった。
周りの人間達には賢い狼だとしか思われていないようだ。
「イオリ!ゼンちゃん!
おはよう。」
そこにスコルがテントから出てくるのが見えた。
朝ご飯担当のスコルは、イオリと共に過ごす、この時間が大好きなのだ。
「今日は何食べようか?」
聞いてきたスコルにイオリは考え込んだ。
「昨日のシチューは残らなかったからね。
朝はパンケーキでも焼こうか。
タージさんの護衛のネイルさんは甘いの好きって言ってたけど、補佐のユーフさんは甘いの苦手っぽいんだよね。」
塩飴を恐々口にしていたユーフの顔を思い出し、イオリは考え込んだ。
「やっぱり、ベーコンとか卵も焼こう。」
メニューが決まれば、あとは行動あるのみだった。
焚き火に火をくべるとゼンに番を頼む。
スコルは卵を割ると白身と黄身に分け、白身でメレンゲを作っていく。
優しく黄身を加え小麦粉をさっくりと混ぜた。
イオリ直伝のふわふわパンケーキだ。
魔道具のコンロにフライパンを設置し小さいパンケーキを沢山焼いていくスコルの後で、イオリは焚き火でベーコンを焼いていく。
ジュウジュウ
香ばしい匂いがしてくると誘われるようにヒューゴがトレーニングから戻ってきた。
どうやらラバン商会の護衛ネイルと一緒だったようで2人で楽しそうに話している。
「おっ。
パンケーキか?
風呂浴びたら戻ってくる。」
「分かりました。
ネイルさんもどうぞ。
そうだ。
ヒューゴさん。
寝坊助の面倒を頼みます。」
恐らく、寝相悪く爆睡している美少女に2人は苦笑する。
「了解。
逆さにして起こしてくる。」
ヒューゴが手荒な方法を取る前にパティが起きる事を願うイオリだった。
「はい。
パンケーキが焼き終わったよ。
バターとジャム・・・蜂蜜もいるよね。
目玉焼きは?」
そっくりな双子でも違う事がある。
スコルは寝起きが良い方だ。
テキパキと働くスコルの頭をイオリは撫でた。
「・・・何?
俺、もう大きいよ。」
恥ずかしそうに顔を赤らめるスコルにイオリは成長を感じた。
長男としてしっかり者のスコル。
抱きしめられるのは良いのに、頭を撫でられるのは恥ずかしいらしい。
「知ってるよ。
大きくなったね。」
イオリがクスクスと笑うと照れを隠すようにフライ返しを振るスコルだった。
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