続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜デザリア・王宮〜

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 その日の夕方、王宮でささやかな晩餐が行われた。

「もう、立たれるのですね。
 あなた方との出会って、あっという間の日々でした。」

 そう優しく微笑んでいたのはティエナ王妃だった。

「やだ!行かないで!」

 ぐずるルビシアをダマン・デザリア王が諌める。

「彼らには、探さなくてはならない物があるのだ。
 引き止めては申し訳ない。
 我らはイオリ殿達の安全を祈ろう。
 其方には返しきれない恩がある。
 何かあれば、いつでも申されよ。
 デザリアはいつでも力になる。」

「有難うございます。
 カカオの件で十分ですよ。」

 イオリがそう答えると、欲のない男だとダマン・デザリアは微笑んだ。

「また、旅のお話を聞かせてくれますか?」

 恥ずかしそうに言う、バシラ・フレールにイオリは頷いた。

「また、お会いしましょう。
 姫様。
 その時は、別の話をお聞かせできるでしょう。
 ね?皆んな。」

 料理を頬張る子供達にイオリが微笑むと、4人とも深く頷いた。

「姫様の代わりに、いろんなものを見てくるね。」

「大きな亀だけじゃないよ。
 世界には驚くような物が沢山あるんだ。」

「綺麗な植物や音もあるよ。」

「ニナ、会いに来るね。」

「「「「約束ね!」」」」

 パティ、スコル、ナギ、ニナが親指を立てるとバシラ・フレールとルビシアも真似して親指を立てた。

「「約束!」」

 すっかり仲良くなった子供達に大人達がほっこりする。


 別れはデザリアの面々達とだけではない。
 イオリは静かにスープを口にするディビットに視線を向けた。

「ディビットさん。ここでお別れです。
 お世話になりました。
 どうぞ、ご無事にお帰りください。」

「有難う。
 君たちとの旅は楽しかった。
 父上に報告するのが楽しみだ。」

 本当に楽しそうなディビットには、ここまで力になってもらった。
 イオリはアースガイルに帰る王子の無事を祈った。

「連絡は忘れないようにね。
 特に叔父上が気を揉んでいたよ。
 代わりにヒューゴがマメだから良いけど・・・
 ヒューゴ。
 イオリを・・・みんなを頼むよ。」

 王子の顔となったディビットにヒューゴは深く頷き胸に手を当てた。

「お任せください。」

 ディビットは子供達を見渡した。

「みんな。
 楽しんでおいで。
 私はアースガイルの地で待っているよ。
 父上も母上も兄上もオーブリーも、そしてココも。
 ポーレットの皆んなも同じさ。
 元気に帰ってくるんだよ。」

「「「「はーい!!」」」」

 元気に挨拶する子供達に満足したように微笑むディビットにスコルがすかさず言った。

「オレ達が早く帰らないと、ディビット、本のお姉さんと結婚できないもんね。」

「あっ!そうか。
 ギルとオーブリーの結婚よりも、ディビットとココちゃんの方が先って言ってたね。」

 パティが加わり、双子が揃ってニヤニヤとディビットを見つめる。

「ゴホッゴホッゴホッ!
 スコル!パティ!
 そういう話しではないぞ。」

 咳き込むディビットに一同は笑うのだった。
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