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旅路〜デザリア・王宮〜
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ーーーホワイトキャビン
イオリの欲望と思い付きを商品化する事を目的とした商会は3年の間にアースガイルでは馴染みの名となっていた。
売り上げは公共事業に注ぎ込まれ、街の防衛や活性化に使われている。
アースガイルの大商人アーベル・グラトニーの助言を得て立ち上がったホワイトキャビンは現在、彼の大甥であるバートに丸投げしている状態だ。
商品を生産するのではなく、生み出すのが仕事である商会である為に旅団がある事が不思議だ。
「・・・なんでホワイトキャビンで旅団なんです?」
戸惑うイオリにゴヴァンはニヤニヤして大きな建物を指さした。
「それは、リルラとグラトニーの旦那さんに聞いてください。
ラバン商会に着きましたよ。
行きましょう。」
意気揚々と扉に向かうゴヴァンを子供達がワクワクしたように追いかける。
「・・・旅団って。
なんか面倒な事になってません?」
困ったようなイオリにヒューゴは苦笑するしかない。
「そりゃ、お前。
イオリが絡むとなんでも面倒事になるんだよ。」
「えーーー。」
心外だと頬を膨らますイオリをヒューゴは「クククっ」と笑いながらラバン商会に歩いて行った。
「ほら、行くぞ。
それとも、そこで不貞腐れているのか?」
「・・・行きますけど。」
イオリは渋々といった様子で着いて行くのだった。
___________
「うわぁぁぁ。広~い!」
「やっぱり、アースガイルとは違うね。」
1階のフロアの左側にはポーションや携帯食などの補給物資が陳列され、右側にはテントや寝袋などのキャンプ用品から照明道具やイベントリなどの旅に使える魔法具などが置かれていた。
パティとスコルは人が行き交う中を楽しそうにキョロキョロとしていた。
「このお店は冒険者専用なの?」
不思議そうなナギにゴヴァンは笑った。
「いいえ。
ダンジョンのお陰で冒険者が多いですからね。
確かに冒険者向けの商品は多いですが、2階では一般の商品を扱っているんです。
そちらはアースガイルと同じです。
商品を陳列してるのではなく、沢山のテーブルが並んでいて担当者が注文を聞いて客に届けるんですよ。」
「へ~。
国が違うとお店も少し違うもんなんだね。」
感心したように頷くナギにゴヴァンは微笑んだ。
店を自由に行動する双子の後を追いかけたいニナをアウラが必死に止めている。
大人達が慌ただしく歩き回っているから危ないと思っているのだろう。
「あれ?ゴヴァンさん、お帰りなさい。
お仕事は終わったんですか?
それに・・・お客様ですか?」
そこに黄色い制服を着た女性が声をかけてきた。
「あぁ、ゾイさん。
えぇ、終わったんで戻りました。
ウチの旅団長は、まだいますかね?
アースガイルでお世話になった冒険者さんと再会したんで旅団長に会って頂きたくてお連れしたんですよ。」
「そうでしたか。
はい。
まだ、会頭とお話ししてますよ。
グラトニー商会の会頭もいらっしゃいます。
ご案内しましょう。」
ゾイと呼ばれた女性に着いていくゴヴァンに手招きされ、イオリ達は階段に向かった。
「3階は特別な客が通される部屋があるんですよ。」
ゴヴァンが小さい声で囁くと勝手の分からなかったイオリ達は納得したように頷く。
「こちらです。
入っていいか、お伺いを立ててきます。
お待ちください。」
扉をノックして1人入ったゾイを見送るイオリ達だったが、懐かしい顔に会えるとあって、自ずと皆んな笑顔になるのだった。
イオリの欲望と思い付きを商品化する事を目的とした商会は3年の間にアースガイルでは馴染みの名となっていた。
売り上げは公共事業に注ぎ込まれ、街の防衛や活性化に使われている。
アースガイルの大商人アーベル・グラトニーの助言を得て立ち上がったホワイトキャビンは現在、彼の大甥であるバートに丸投げしている状態だ。
商品を生産するのではなく、生み出すのが仕事である商会である為に旅団がある事が不思議だ。
「・・・なんでホワイトキャビンで旅団なんです?」
戸惑うイオリにゴヴァンはニヤニヤして大きな建物を指さした。
「それは、リルラとグラトニーの旦那さんに聞いてください。
ラバン商会に着きましたよ。
行きましょう。」
意気揚々と扉に向かうゴヴァンを子供達がワクワクしたように追いかける。
「・・・旅団って。
なんか面倒な事になってません?」
困ったようなイオリにヒューゴは苦笑するしかない。
「そりゃ、お前。
イオリが絡むとなんでも面倒事になるんだよ。」
「えーーー。」
心外だと頬を膨らますイオリをヒューゴは「クククっ」と笑いながらラバン商会に歩いて行った。
「ほら、行くぞ。
それとも、そこで不貞腐れているのか?」
「・・・行きますけど。」
イオリは渋々といった様子で着いて行くのだった。
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「うわぁぁぁ。広~い!」
「やっぱり、アースガイルとは違うね。」
1階のフロアの左側にはポーションや携帯食などの補給物資が陳列され、右側にはテントや寝袋などのキャンプ用品から照明道具やイベントリなどの旅に使える魔法具などが置かれていた。
パティとスコルは人が行き交う中を楽しそうにキョロキョロとしていた。
「このお店は冒険者専用なの?」
不思議そうなナギにゴヴァンは笑った。
「いいえ。
ダンジョンのお陰で冒険者が多いですからね。
確かに冒険者向けの商品は多いですが、2階では一般の商品を扱っているんです。
そちらはアースガイルと同じです。
商品を陳列してるのではなく、沢山のテーブルが並んでいて担当者が注文を聞いて客に届けるんですよ。」
「へ~。
国が違うとお店も少し違うもんなんだね。」
感心したように頷くナギにゴヴァンは微笑んだ。
店を自由に行動する双子の後を追いかけたいニナをアウラが必死に止めている。
大人達が慌ただしく歩き回っているから危ないと思っているのだろう。
「あれ?ゴヴァンさん、お帰りなさい。
お仕事は終わったんですか?
それに・・・お客様ですか?」
そこに黄色い制服を着た女性が声をかけてきた。
「あぁ、ゾイさん。
えぇ、終わったんで戻りました。
ウチの旅団長は、まだいますかね?
アースガイルでお世話になった冒険者さんと再会したんで旅団長に会って頂きたくてお連れしたんですよ。」
「そうでしたか。
はい。
まだ、会頭とお話ししてますよ。
グラトニー商会の会頭もいらっしゃいます。
ご案内しましょう。」
ゾイと呼ばれた女性に着いていくゴヴァンに手招きされ、イオリ達は階段に向かった。
「3階は特別な客が通される部屋があるんですよ。」
ゴヴァンが小さい声で囁くと勝手の分からなかったイオリ達は納得したように頷く。
「こちらです。
入っていいか、お伺いを立ててきます。
お待ちください。」
扉をノックして1人入ったゾイを見送るイオリ達だったが、懐かしい顔に会えるとあって、自ずと皆んな笑顔になるのだった。
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