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旅路〜デザリア・王宮〜

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 教会を後にして暫くすると、我慢できなかったのか、パティがゴヴァンに問いかけた。

「ねー。
 ゴヴァンさんは商人さんなの?」

 するとゴヴァンは楽しそうに笑う。

「ははは。
 表向きはですよ。
 商会の旅団の1員として多くの国を出入りしてるんです。」

 ーーーその方が都合か良いですよ。

 そう言う、ゴヴァンに子供達が「へー。」と分かったような分からないような反応をした。

「どして教会に?」

 ヒューゴが問いかければ、ゴヴァンは嬉しそうに微笑んだ。

「イオリ様に会うのなら教会かなと、あたりをつけました。
 今日会えたのは幸運でした。
 王宮でお声がけするのも考えましたけど、自然に会えた方が良いですから。」

《まさか、王宮に忍び込んでたんですか?!》

 驚いたイオリに顔を向けられるとヒューゴは肩をすくめて苦笑した。
 イオリが王宮に滞在している今、簡単には連絡は付けられないのは理解できる。
 
《でも、王宮はマズいでしょう?》

 イオリが教会に来る時を見計らうあたりが諜報員としての彼らの能力の高さが窺える。

「・・・それで?
 彼女はラバン商会に?」

 イオリが聞けばゴヴァンは頷いた。

「えぇ。
 今頃、グラトニー商会の旦那さんと一緒かと思います。」

「それって、リルラの事?」

 ナギが見上げるように言うと双子が嬉しそうな反応をした。

「やっぱり!リルラの事だったんだね。」
「ラックは?ラックも一緒?」

「残念ですが、ラックは別行動です。
 恐らく“ルーシュピケ”で皆さんを待ってると思いますよ。
 リルラは今、旅団の団長という肩書きなんですよ。
 グラトニー商会の後ろ盾がありますからね。
 どの国でも信用があります。」

 かつてミズガルドの貴族に奴隷として使われていた彼らは商会の旅団として自由に国を渡り歩き、同じく売り払われた同胞を探していると言う。
 諜報員として一流の彼らは様々な国で情報を得ているのだろう。
 
「・・・実は。
 イオリ様に会う前からデザリアには来ていたんです。
 当時のミズガルドは王がアレでしたからね。 
 財政だけでなく資源や食物も逼迫していたんですよ。
 奴らにとって1番はアースガイルでしたけど、他の国にも目を向けていました。
 カウボラ神父とは、その時から知り合いで、旅団が移籍しましたと言っても、以前の付き合いをやめないでいてくれたんです。
 まぁ、以前の旅団はミズガルドの商会で今はアースガイルの商会ですからね。
 信頼できる所に移籍できて良かったと喜んでくれています。」

「そうでしたか。
 それで?皆さんの旅団って、どこの商会所属なんですか?」

 イオリの質問にゴヴァンはニヤニヤとした。

「何言っているんですか!
 勿論“ホワイトキャビン”に決まってるじゃないですか!
 俺達はイオリ様の商会の旅団ですよ。
 今じゃホワイトキャビンはアースガイルだけじゃなく、他国でも有名な商会なんですよ。」

「・・・・・はっ?」

 ゴヴァンの嬉しそうな顔にイオリはキョトンとするのだった。

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