285 / 781
旅路〜デザリア・王宮〜
293
しおりを挟む
イオリ達がカウボラ神父と談笑していると、扉が開きシスター・シャナーが戻ってきた。
「お客様のお帰りですよ。」
シスター・シャナーの後ろから現れた人物にイオリ達は「あっ」と声を出した。
「イオリ様!」
ダンジョンで別れたゴヴァンがイオリに気付き嬉しそうに近づいてきた。
「まぁまぁまぁ。
旅商人のゴヴァンさんともお知り合い?」
「・・・ええ。
お世話になっています。」
慌ててイオリが微笑むとゴヴァンが困ったように首を振った。
「何を言っているんです!
お世話になったのは私どもの方です。
以前、危ないところを助けていただいた事がございまして。」
どうやらカウボラ神父とシスター・シャナーの2人はゴヴァンを普通の旅商人と思っているようだった。
戸惑いながらも話を合わせるイオリに対して、ヒューゴと子供達は黙って様子を伺っていた。
「ゴヴァンさんは色々なところに行かれるから、危険な事もあるでしょう。
何事もなくて良かったですよ。
ゴヴァンさんが卸してくださる魔道具は実に優秀なんです。
街の皆んなも喜んでいますよ。
こうやって、教会にも寄付に来てくれるんです。
ありがたい事です。」
「いやいやいや。
街が豊かであってこその我々の商売ですから・・・。」
カウボラ神父とゴヴァンの話を聞いていると、随分と長い付き合いのようだ。
「そうだ!
イオリ様。
ここで会ったのもご縁です。
これからラバン商会に行くんです。
ご一緒に如何ですか?
旅のご準備もおありでしょう?」
思いついたように言ったゴヴァンにシスター・シャナーが頷いた。
「あらあらあら!
そうよ!そうなさい。
ラバン商会はデザリア随一の大商会ですからね。
旅の道具なら、なんでも揃っていますよ。
初めてのお客さんだと、色々と手続きもありますけどゴヴァンさんが一緒なら大丈夫でしょう。
そうだ。ゴヴァンさん。
ラバン商会に頼んである、布があるんです。
早く届けてくれと言付けして下さいな。」
ここでも押しの強いシスター・シャナーの能力は発揮されていた。
ゴヴァンは苦笑しながらも頷くしかない。
「イオリ様。
我々の旅団長もいらしているんです。
どうぞ、お会いください。」
「旅団長・・・?」
首を捻るイオリにゴヴァンはニッコリして頷いた。
「はい。
ダグスクの街で最初にお目にかかった時より、旅団長もイオリ様には恩を感じていらっしゃいますから。
お目にかかれば喜ぶ事でしょう。」
わざわざゴヴァンが言うのだ。
ダグスクの街で最初に会った彼らの仲間となれば、彼女しか思いつかない。
「そうですか。
それは楽しみですね。」
イオリは微笑むと、ゴヴァンと共に教会を後にすることになった。
「お客様のお帰りですよ。」
シスター・シャナーの後ろから現れた人物にイオリ達は「あっ」と声を出した。
「イオリ様!」
ダンジョンで別れたゴヴァンがイオリに気付き嬉しそうに近づいてきた。
「まぁまぁまぁ。
旅商人のゴヴァンさんともお知り合い?」
「・・・ええ。
お世話になっています。」
慌ててイオリが微笑むとゴヴァンが困ったように首を振った。
「何を言っているんです!
お世話になったのは私どもの方です。
以前、危ないところを助けていただいた事がございまして。」
どうやらカウボラ神父とシスター・シャナーの2人はゴヴァンを普通の旅商人と思っているようだった。
戸惑いながらも話を合わせるイオリに対して、ヒューゴと子供達は黙って様子を伺っていた。
「ゴヴァンさんは色々なところに行かれるから、危険な事もあるでしょう。
何事もなくて良かったですよ。
ゴヴァンさんが卸してくださる魔道具は実に優秀なんです。
街の皆んなも喜んでいますよ。
こうやって、教会にも寄付に来てくれるんです。
ありがたい事です。」
「いやいやいや。
街が豊かであってこその我々の商売ですから・・・。」
カウボラ神父とゴヴァンの話を聞いていると、随分と長い付き合いのようだ。
「そうだ!
イオリ様。
ここで会ったのもご縁です。
これからラバン商会に行くんです。
ご一緒に如何ですか?
旅のご準備もおありでしょう?」
思いついたように言ったゴヴァンにシスター・シャナーが頷いた。
「あらあらあら!
そうよ!そうなさい。
ラバン商会はデザリア随一の大商会ですからね。
旅の道具なら、なんでも揃っていますよ。
初めてのお客さんだと、色々と手続きもありますけどゴヴァンさんが一緒なら大丈夫でしょう。
そうだ。ゴヴァンさん。
ラバン商会に頼んである、布があるんです。
早く届けてくれと言付けして下さいな。」
ここでも押しの強いシスター・シャナーの能力は発揮されていた。
ゴヴァンは苦笑しながらも頷くしかない。
「イオリ様。
我々の旅団長もいらしているんです。
どうぞ、お会いください。」
「旅団長・・・?」
首を捻るイオリにゴヴァンはニッコリして頷いた。
「はい。
ダグスクの街で最初にお目にかかった時より、旅団長もイオリ様には恩を感じていらっしゃいますから。
お目にかかれば喜ぶ事でしょう。」
わざわざゴヴァンが言うのだ。
ダグスクの街で最初に会った彼らの仲間となれば、彼女しか思いつかない。
「そうですか。
それは楽しみですね。」
イオリは微笑むと、ゴヴァンと共に教会を後にすることになった。
応援ありがとうございます!
213
お気に入りに追加
9,849
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる