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旅路〜デザリア・王宮〜
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シモン・ヤティムは安堵した。
自分の直感は正しかった。
イオリに任せて良かったのだ。
「姫がガラスの花を見かけた庭に案内して下さい。」
突然何を言い出すのかとイオリに頼まれた時は、ここまで好転するとは思っていなかった。
母妃ティエナに大切そうに連れていかれるバシラ・フレール姫を見送り宰相ナロ・シウバと共に微笑んだ。
王・ダマンが嬉しそうに帰ってきた。
「久々に茶会を楽しむそうだ。
私も後から行く約束をした。」
愛する幼子を罰する必要がないと分かり王は安心したようだ。
ここ数年の内で1番朗らかな顔をしている。
「それじゃ、ここからは大人の話ですよね。」
穏やかな空気の中、いつもと違うイオリの声が場を一気に緊張させた。
辺りを見渡せばイオリの子供達の姿も無くなっているのに気づいた。
「やっぱり、ただのハッピーエンドでは終わらないよね。」
予想していたのだろう。
アースガイルの第2王子は深い溜息を吐いた。
「どういう事だろうか?」
シモン・ヤティムが問いかけると王と宰相が真剣な目をイオリに向けていた。
「先程話した通り、“ガラスの花”と“願いを叶える鳥”については、弟君を思う姫様の優しさで理解できます。
でも、もう1つの噂。
“火の国の巫女”については・・・毛色が違う。」
「あっ・・・。」
シモン・ヤティムは思い出した。
ダンジョンで、この話をした時にイオリとヒューゴは確かに顔を顰めていた。
「“火の国の巫女”・・・バシラに会いたいと強請られた事は間違いない。
問題があるのだな?
教えてくれ。」
王・ダマンは最早、娘への疑いは全て消し去るつもりなのだ。
「それについては私から話した方が良いでしょう。
これは我が国の問題でもあります。
イオリが抱え込む事じゃない。」
そう言うと、ディビットは自国アースガイルで起こった事を話し始めた。
オンリールの地が“魅了の腕輪”を使った人間によって地政が崩壊された事。
その“魅了の腕輪”は《火の国の神の愛し子》によってもたらされた事。
デザリアの面々は苦渋の顔で話を聞いていた。
イオリの側に寄り添う真っ白な狼からは不穏な空気が漂っている。
「ただ、我が国では《神の愛し子》と言われていましたが、この国では《巫女》と言われているようですね。
ここに来て、性別が女性である事が分かりました。
恐れずに申し上げましょう。
我が国アースガイルでは《火の国》にて“神の愛し子”と名乗る者を危険視しております。」
肩をすくめたディビットは、自分の番は終わりだとイオリに頷いた。
「その人物を姫様が知る機会などあるのでしょうか?」
イオリの言った事は、王を含め宰相も筆頭魔法使いも同じ考えに辿り着いていた。
「誰か、姫の耳に入れた者がいるのでしょう。
そもそも、“ガラスの花”にしても“願いを叶える鳥”にしても、姫の言った事が湾曲して広められている様に感じます。
誰がわざわざ姫を・・・バシラ・フレール様を貶めようとしているのでしょうか?」
イオリが言い終わるのと同時に全ての視線が同じ所に集まった。
そこにはバシラ・フレールの侍従と侍女がブルブルと震えて立っていた。
自分の直感は正しかった。
イオリに任せて良かったのだ。
「姫がガラスの花を見かけた庭に案内して下さい。」
突然何を言い出すのかとイオリに頼まれた時は、ここまで好転するとは思っていなかった。
母妃ティエナに大切そうに連れていかれるバシラ・フレール姫を見送り宰相ナロ・シウバと共に微笑んだ。
王・ダマンが嬉しそうに帰ってきた。
「久々に茶会を楽しむそうだ。
私も後から行く約束をした。」
愛する幼子を罰する必要がないと分かり王は安心したようだ。
ここ数年の内で1番朗らかな顔をしている。
「それじゃ、ここからは大人の話ですよね。」
穏やかな空気の中、いつもと違うイオリの声が場を一気に緊張させた。
辺りを見渡せばイオリの子供達の姿も無くなっているのに気づいた。
「やっぱり、ただのハッピーエンドでは終わらないよね。」
予想していたのだろう。
アースガイルの第2王子は深い溜息を吐いた。
「どういう事だろうか?」
シモン・ヤティムが問いかけると王と宰相が真剣な目をイオリに向けていた。
「先程話した通り、“ガラスの花”と“願いを叶える鳥”については、弟君を思う姫様の優しさで理解できます。
でも、もう1つの噂。
“火の国の巫女”については・・・毛色が違う。」
「あっ・・・。」
シモン・ヤティムは思い出した。
ダンジョンで、この話をした時にイオリとヒューゴは確かに顔を顰めていた。
「“火の国の巫女”・・・バシラに会いたいと強請られた事は間違いない。
問題があるのだな?
教えてくれ。」
王・ダマンは最早、娘への疑いは全て消し去るつもりなのだ。
「それについては私から話した方が良いでしょう。
これは我が国の問題でもあります。
イオリが抱え込む事じゃない。」
そう言うと、ディビットは自国アースガイルで起こった事を話し始めた。
オンリールの地が“魅了の腕輪”を使った人間によって地政が崩壊された事。
その“魅了の腕輪”は《火の国の神の愛し子》によってもたらされた事。
デザリアの面々は苦渋の顔で話を聞いていた。
イオリの側に寄り添う真っ白な狼からは不穏な空気が漂っている。
「ただ、我が国では《神の愛し子》と言われていましたが、この国では《巫女》と言われているようですね。
ここに来て、性別が女性である事が分かりました。
恐れずに申し上げましょう。
我が国アースガイルでは《火の国》にて“神の愛し子”と名乗る者を危険視しております。」
肩をすくめたディビットは、自分の番は終わりだとイオリに頷いた。
「その人物を姫様が知る機会などあるのでしょうか?」
イオリの言った事は、王を含め宰相も筆頭魔法使いも同じ考えに辿り着いていた。
「誰か、姫の耳に入れた者がいるのでしょう。
そもそも、“ガラスの花”にしても“願いを叶える鳥”にしても、姫の言った事が湾曲して広められている様に感じます。
誰がわざわざ姫を・・・バシラ・フレール様を貶めようとしているのでしょうか?」
イオリが言い終わるのと同時に全ての視線が同じ所に集まった。
そこにはバシラ・フレールの侍従と侍女がブルブルと震えて立っていた。
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