264 / 782
旅路〜デザリア・王宮〜
272
しおりを挟む
「あはははは!
そうか、イオリとヒューゴの服が、毎度変わらないのが気に入らないのか?」
用意されたサロンで朝食を共にしていたディビットが笑い出すと、パティが頬を膨らませた。
「そうなの!
いつも同じで良いって言うの。」
パティに睨まれてイオリとヒューゴは顔を逸らした。
スープカップを置いたナギがディビットの服を見て問いかけた。
「ディビットもデザリアの服着ないの?」
「私はアースガイルの代表でデザリアに来ているからね。
この場合はアースガイルの正装が正しいんだよ。
アレックスとロジャーは着ても良いんだよ?」
揶揄うようなディビットにアレックスは苦笑した。
「俺はいいです。
いつもの方が仕事がしやすい。」
「真面目だね~。
俺は着てもいいよ。
だって、デザリアの服って着心地良さそうで動くのも楽そう。」
朝から肉を頬張るロジャーにアレックスは呆れた顔をした。
「忘れてるだろうけど、俺達は護衛で来ているからね?」
人間達の事などお構いなしでゼンはバクバクと肉の塊を食べていた。
アウラも野菜を中心に補給をしている。
眠そうだったソルがピクリとした。
「賑やかな事だ。
皆、よく眠れたかな?」
そこに、デザリア王・ダマンが宰相ナロ・シウバ、そして筆頭魔法使いシモン・ヤティムを連れて姿を現したのだった。
「デザリア王、おはようございます。
有り難く朝食を堪能していたとこです。
ご一緒にいかがですか?」
ディビットが答えると、王は顔を横に振った。
「私はすでに食べてきた。
茶でも貰おう。」
それを聞き、侍っていた侍従が用意しに行った。
「イオリ殿、そして皆も。
昨日はご苦労であった。
改めて礼を言う。」
昨夜、イオリの見解で発覚した、砂漠の中にできた国が創られた物だと周知されれば国の混乱に繋がるとして、此度の話は王家の秘密として秘匿する事になった。
深夜までかかった話し合いでイオリは王・ダマンと気兼ねなく話せるようになっていた。
子供達はデザリア王と会うのは初めてだ。
でも、アースガイル王アルフレッドとは、また違う包容力を感じ取ったのか4人ともニコニコとしている。
「何か、褒美を取らせたいのだが何が良いだろうか?」
ダマンの視線を受け、イオリは考え込むような仕草をした。
「・・・そうですね。
では、この国の姫君にお会いしたいですね。」
唐突なイオリの話に王は顔を硬らせた。
「娘・・・バシラ・フレールにか・・・?
しかし、娘は・・・。」
王は娘に対する処罰の矛をおさめられずにいた。
国を護る騎士を己の欲で危険に晒した娘を、安易に許せば国民の反感も買うだろう。
「王よ!!」
悩む王に筆頭魔法使いシモン・ヤティムが膝をついて頭を下げた。
「どうか・・・どうか!
イオリ殿を信じて下さいませ。
我らの姫君の事もイオリ殿なら、解決してくださる・・・。
私は共に行動し、そう確信しております。」
シモン・ヤティムの必死な様子にダマンは小さく頷いた。
「・・・分かった。
バシラ・フレールを塔より呼び出して参れ。」
王の苦悩をよそにイオリはニッコリと微笑んだ。
そうか、イオリとヒューゴの服が、毎度変わらないのが気に入らないのか?」
用意されたサロンで朝食を共にしていたディビットが笑い出すと、パティが頬を膨らませた。
「そうなの!
いつも同じで良いって言うの。」
パティに睨まれてイオリとヒューゴは顔を逸らした。
スープカップを置いたナギがディビットの服を見て問いかけた。
「ディビットもデザリアの服着ないの?」
「私はアースガイルの代表でデザリアに来ているからね。
この場合はアースガイルの正装が正しいんだよ。
アレックスとロジャーは着ても良いんだよ?」
揶揄うようなディビットにアレックスは苦笑した。
「俺はいいです。
いつもの方が仕事がしやすい。」
「真面目だね~。
俺は着てもいいよ。
だって、デザリアの服って着心地良さそうで動くのも楽そう。」
朝から肉を頬張るロジャーにアレックスは呆れた顔をした。
「忘れてるだろうけど、俺達は護衛で来ているからね?」
人間達の事などお構いなしでゼンはバクバクと肉の塊を食べていた。
アウラも野菜を中心に補給をしている。
眠そうだったソルがピクリとした。
「賑やかな事だ。
皆、よく眠れたかな?」
そこに、デザリア王・ダマンが宰相ナロ・シウバ、そして筆頭魔法使いシモン・ヤティムを連れて姿を現したのだった。
「デザリア王、おはようございます。
有り難く朝食を堪能していたとこです。
ご一緒にいかがですか?」
ディビットが答えると、王は顔を横に振った。
「私はすでに食べてきた。
茶でも貰おう。」
それを聞き、侍っていた侍従が用意しに行った。
「イオリ殿、そして皆も。
昨日はご苦労であった。
改めて礼を言う。」
昨夜、イオリの見解で発覚した、砂漠の中にできた国が創られた物だと周知されれば国の混乱に繋がるとして、此度の話は王家の秘密として秘匿する事になった。
深夜までかかった話し合いでイオリは王・ダマンと気兼ねなく話せるようになっていた。
子供達はデザリア王と会うのは初めてだ。
でも、アースガイル王アルフレッドとは、また違う包容力を感じ取ったのか4人ともニコニコとしている。
「何か、褒美を取らせたいのだが何が良いだろうか?」
ダマンの視線を受け、イオリは考え込むような仕草をした。
「・・・そうですね。
では、この国の姫君にお会いしたいですね。」
唐突なイオリの話に王は顔を硬らせた。
「娘・・・バシラ・フレールにか・・・?
しかし、娘は・・・。」
王は娘に対する処罰の矛をおさめられずにいた。
国を護る騎士を己の欲で危険に晒した娘を、安易に許せば国民の反感も買うだろう。
「王よ!!」
悩む王に筆頭魔法使いシモン・ヤティムが膝をついて頭を下げた。
「どうか・・・どうか!
イオリ殿を信じて下さいませ。
我らの姫君の事もイオリ殿なら、解決してくださる・・・。
私は共に行動し、そう確信しております。」
シモン・ヤティムの必死な様子にダマンは小さく頷いた。
「・・・分かった。
バシラ・フレールを塔より呼び出して参れ。」
王の苦悩をよそにイオリはニッコリと微笑んだ。
895
お気に入りに追加
10,436
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
簡易説明
転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です
詳細説明
生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。
そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。
そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。
しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。
赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。
色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。
家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。
※小説家になろう様でも投稿しております
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
【完結】月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
※本編完結しました。お付き合いいただいた皆様、有難うございました!※
両親を事故で亡くしたティナは、膨大な量の光の魔力を持つ為に聖女にされてしまう。
多忙なティナが学院を休んでいる間に、男爵令嬢のマリーから悪い噂を吹き込まれた王子はティナに婚約破棄を告げる。
大喜びで婚約破棄を受け入れたティナは憧れの冒険者になるが、両親が残した幻の花の種を育てる為に、栽培場所を探す旅に出る事を決意する。
そんなティナに、何故か同級生だったトールが同行を申し出て……?
*HOTランキング1位、エールに感想有難うございます!とても励みになっています!

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉
陣ノ内猫子
ファンタジー
神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。
お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。
チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO!
ーーーーーーーーー
これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。
ご都合主義、あるかもしれません。
一話一話が短いです。
週一回を目標に投稿したと思います。
面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。
誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。
感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)

辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~
あきさけ
ファンタジー
とある平民の少女は四歳のときに受けた魔力検査で魔力なしと判定されてしまう。
その結果、森の奥深くに捨てられてしまった少女だが、獣に襲われる寸前、聖獣フラッシュリンクスに助けられ一命を取り留める。
その後、フラッシュリンクスに引き取られた少女はノヴァと名付けられた。
さらに、幼いフラッシュリンクスの子と従魔契約を果たし、その眠っていた才能を開花させた。
様々な属性の魔法が使えるようになったノヴァだったが、その中でもとりわけ珍しかったのが、素材の声を聞き取り、それに応えて別のものに作り替える〝錬金術〟の素養。
ノヴァを助けたフラッシュリンクスは母となり、その才能を育て上げ、人の社会でも一人前になれるようノヴァを導きともに暮らしていく。
そして、旅立ちの日。
母フラッシュリンクスから一人前と見なされたノヴァは、姉妹のように育った末っ子のフラッシュリンクス『シシ』とともに新米錬金術士として辺境の街へと足を踏み入れることとなる。
まだ六歳という幼さで。
※この小説はカクヨム様、アルファポリス様で連載中です。
上記サイト以外では連載しておりません。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる