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旅路〜デザリア・王宮〜

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「あはははは!
 そうか、イオリとヒューゴの服が、毎度変わらないのが気に入らないのか?」

 用意されたサロンで朝食を共にしていたディビットが笑い出すと、パティが頬を膨らませた。

「そうなの!
 いつも同じで良いって言うの。」

 パティに睨まれてイオリとヒューゴは顔を逸らした。
 スープカップを置いたナギがディビットの服を見て問いかけた。

「ディビットもデザリアの服着ないの?」

「私はアースガイルの代表でデザリアに来ているからね。
 この場合はアースガイルの正装が正しいんだよ。
 アレックスとロジャーは着ても良いんだよ?」

 揶揄うようなディビットにアレックスは苦笑した。

「俺はいいです。
 いつもの方が仕事がしやすい。」

「真面目だね~。
 俺は着てもいいよ。
 だって、デザリアの服って着心地良さそうで動くのも楽そう。」

 朝から肉を頬張るロジャーにアレックスは呆れた顔をした。

「忘れてるだろうけど、俺達は護衛で来ているからね?」

 人間達の事などお構いなしでゼンはバクバクと肉の塊を食べていた。
 アウラも野菜を中心に補給をしている。
 眠そうだったソルがピクリとした。

「賑やかな事だ。
 皆、よく眠れたかな?」

 そこに、デザリア王・ダマンが宰相ナロ・シウバ、そして筆頭魔法使いシモン・ヤティムを連れて姿を現したのだった。

「デザリア王、おはようございます。
 有り難く朝食を堪能していたとこです。
 ご一緒にいかがですか?」

 ディビットが答えると、王は顔を横に振った。

「私はすでに食べてきた。
 茶でも貰おう。」

 それを聞き、侍っていた侍従が用意しに行った。

「イオリ殿、そして皆も。
 昨日はご苦労であった。
 改めて礼を言う。」

 昨夜、イオリの見解で発覚した、砂漠の中にできた国が創られた物だと周知されれば国の混乱に繋がるとして、此度の話は王家の秘密として秘匿する事になった。
 深夜までかかった話し合いでイオリは王・ダマンと気兼ねなく話せるようになっていた。

 子供達はデザリア王と会うのは初めてだ。
 でも、アースガイル王アルフレッドとは、また違う包容力を感じ取ったのか4人ともニコニコとしている。

「何か、褒美を取らせたいのだが何が良いだろうか?」

 ダマンの視線を受け、イオリは考え込むような仕草をした。

「・・・そうですね。
 では、この国の姫君にお会いしたいですね。」

 唐突なイオリの話に王は顔を硬らせた。

「娘・・・バシラ・フレールにか・・・?
 しかし、娘は・・・。」

 王は娘に対する処罰の矛をおさめられずにいた。
 国を護る騎士を己の欲で危険に晒した娘を、安易に許せば国民の反感も買うだろう。

「王よ!!」

 悩む王に筆頭魔法使いシモン・ヤティムが膝をついて頭を下げた。

「どうか・・・どうか!
 イオリ殿を信じて下さいませ。
 我らの姫君の事もイオリ殿なら、解決してくださる・・・。
 私は共に行動し、そう確信しております。」

 シモン・ヤティムの必死な様子にダマンは小さく頷いた。

「・・・分かった。
 バシラ・フレールを塔より呼び出して参れ。」

 王の苦悩をよそにイオリはニッコリと微笑んだ。
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