続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜デザリア・王宮〜

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 日差しの強い光がイオリを目覚めさせた。

グルグル・・キュルルゥ~

「ふふふ。
 ゼン、お腹減ったの?
 おはよう。」

 イオリに寄り添い眠っていたゼンの豪快なお腹の虫が鳴いている。

「おはよう。イオリ。
 昨日の夜はお話ばっかりで全然食べられなかったよ・・・。」

 弱々しい声を出すゼンの頭を撫でるとイオリは起き上がった。

「子供達も起きてるかもね。
 朝ご飯にしよう。」

 デザリアの王宮に部屋を用意されたイオリ達は豪華な装飾の中、一夜を過ごした。
 昨夜は深夜までダマン・デザリア王やディビット王子達と話し込み、子供達は先に眠りについたのだ。

 イオリが起きたのを察したのか、侍従と侍女が部屋に入ってきた。

「おはようございます。
 ただ今、朝食のご用意をしております。 
 湯浴みの支度は整っておりますので、どうぞお召し替えにご利用下さい。
 お手伝いする事はございますか?」

「ありがとうございます。
 俺は1人で大丈夫です。
 子供達をお願いできますか?」

「承知いたしました。」

 すでに起きているであろう子供達を頼むとイオリは1人風呂に向かった。

 朝風呂を堪能し、身支度をして戻ってきたイオリの部屋で子供達が賑やかに騒いでいた。
 着せてもらったのか、子供達はそれぞれデザリア風のゆったりとしたパンツ衣装を身に纏っている。 
 スコルとナギはターバンを巻かれ、パティとニナはベールで口元を隠していた。

「おはよう。
 おっ!
 みんな、いいねー。」

 イオリが姿を表すと、子供達は嬉しそうに走り寄ってきた。

「見て!
 ターバン!
 見た目より、重くないんだ。」

「服もシルクでできてるからツルツルして着心地がいいよ。」

「ねー。
 ご飯食べるときはベール外していいかな?
 食べ辛い気がする。」

「ニナ、髪も綺麗に結ってもらったよ。」

 新しい事を体験して嬉しいのだろう。
 子供達は矢継ぎ早にイオリ話しかけてくる。
 しかし、それも普段通りのイオリを見て静かになった。

「また、同じ真っ黒ー。」

 不満そうな子供達を代表してパティが苦言するとイオリは苦笑した。

「ふふ。
 俺はこれでいいよ。」

「そんな事言って、面倒なだけでしょう?
 きっと、ヒューゴだって同じだよ。」

 スコルが呆れたように言った時だった。
 普段通り、深緑色のシャツに茶色のズボンにブーツ姿のヒューゴが現れると子供達は大ブーイングを始めた。

 訳が分からないヒューゴにイオリが笑いながら服を指差すと、理解したヒューゴは苦笑しながら頭を掻くのだった。



 案内されたのは明るい日差しが差し込む美しい庭が見えるサロンだった。

「みんな、おはよう。」

 優しい笑顔で待っていたのはアースガイルの第2王子ディビットと護衛役のアレックスとロジャーである。

「「「「ディビット!」」」」

 子供達は嬉しそうに走り寄ると3人に挨拶をした。

「おはようございます。」
 
 イオリが挨拶をすると3人は笑顔で答えた。

「昨日は会えなかったけど、みんなお疲れ様だったね。
 そして、ありがとう。
 帰ったら父上達にも報告するよ。
 見てよ。
 デザリア王の心使いで豪華な朝食だよ。
 さぁ、一緒に食べよう。」

 労うディビットと共にイオリ達は朝食を楽しむのだった。
 
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