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旅路〜デザリア・王宮〜
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「難儀な事だ・・・。」
ダマン・デザリアは青白い顔をした若者を前に気の毒そうに眉を下げた。
「・・・お初にお目にかかるのに、醜態を・・・お見せして・・・申し訳・・・うっぷ。」
偉業を成し遂げたと言われる若者を見て困惑したダマンは筆頭魔法使いシモン・ヤティムに視線を向けた。
「スルターン。王よ。
このイオリ殿がダンジョンの結界を解き、仲間達と共に“エルフの里の戦士”を捕獲し、最終の部屋でジョムシードを討伐した事は間違いありません。
このシモン・ヤティムが全てを確認致しました。
しかし、最後の部屋より先には共に進む事は出来ませなんだ。
選ばれたのはイオリ殿のみ。
報告はご本人にお聞き下さいませ。」
《お聞き下さいませ》と言われてもなぁ。
とばかりにダマンは今にも吐きそうな若者を見遣った。
「クククッ。
やっぱり、馬車ダメだったんだね。」
同席していたディビットが言うとイオリは恨みがましい顔で睨んだ。
「だって・・・。
人様の馬車ってだけで。」
何とか気持ち悪さを抑え込まそうとするイオリに紅茶が運ばれてきた。
「ジンジャーを加えてあります。
少々辛味がありますが、酔いなどには効きますゆえ。」
宰相ナロ・シウバが侍従に運ばせるとイオリは有り難く頂いた。
「ハァ。
美味しい。
有難うござます。
落ち着いてきました。
子供達は?」
イオリが聞くと、アレックスが苦笑した。
「王宮に部屋をもらって休みにいってる。
ロジャーとヒューゴが付き添ってるよ。
アウラもいるから大丈夫だろう?」
ヒューゴと世話好きのアウラが一緒ならば問題ない。
イオリは改めて、挨拶をした。
「デザリア王。
初めまして、アースガイルで冒険者になりましたイオリと申します。
こちらは従魔のゼンとソル。
もう1匹、アウラという馬がいます。
双子のスコルとパティ。
エルフのナギと兄妹のヒューゴとニナがお世話になっている様です。
有難うございます。」
「おぉ。
私はダマン・デザリア。
デザリア国の今代の王である。
この度の国難において、国を救ってくれた事に礼を言う。
疲れているところ、申し訳ないが報告を聞きたい。」
イオリが復活し、本来の礼儀正しさが戻るとディビットは満足そうに微笑んだ。
「おかえり。
危険な役目を果たしてくれて有難う。」
「ただいま帰りました。
疲れましたけど、楽しいダンジョンでした。
可愛い子達との約束もありますし。
報告させて頂きます。」
イオリはジンジャーティーをグビッと飲むとニッコリした。
「まずは、ダンジョンの結界の事ですけど、頼んだら解除してくれました。」
「「「ハッ?」」」
ケロッとしたイオリの言葉に至る所から戸惑いの声が聞こえた。
「だから、《入れてくれないか》って頼んだら結界を解除してくれたんです。」
ニッコリするイオリにデザリア王を始めとして宰相やアレックスまでもが愕然としていた。
「《北風と太陽》ですよ。」
意味の分からない言葉にキョトンとする面々の中、1人だけ理解した人間がいた。
「・・・なるほどね。
クククッ。
さすが、イオリ。」
絵本の事業を成している婚約者がいるディビットだけが楽しげに笑うのだった。
ダマン・デザリアは青白い顔をした若者を前に気の毒そうに眉を下げた。
「・・・お初にお目にかかるのに、醜態を・・・お見せして・・・申し訳・・・うっぷ。」
偉業を成し遂げたと言われる若者を見て困惑したダマンは筆頭魔法使いシモン・ヤティムに視線を向けた。
「スルターン。王よ。
このイオリ殿がダンジョンの結界を解き、仲間達と共に“エルフの里の戦士”を捕獲し、最終の部屋でジョムシードを討伐した事は間違いありません。
このシモン・ヤティムが全てを確認致しました。
しかし、最後の部屋より先には共に進む事は出来ませなんだ。
選ばれたのはイオリ殿のみ。
報告はご本人にお聞き下さいませ。」
《お聞き下さいませ》と言われてもなぁ。
とばかりにダマンは今にも吐きそうな若者を見遣った。
「クククッ。
やっぱり、馬車ダメだったんだね。」
同席していたディビットが言うとイオリは恨みがましい顔で睨んだ。
「だって・・・。
人様の馬車ってだけで。」
何とか気持ち悪さを抑え込まそうとするイオリに紅茶が運ばれてきた。
「ジンジャーを加えてあります。
少々辛味がありますが、酔いなどには効きますゆえ。」
宰相ナロ・シウバが侍従に運ばせるとイオリは有り難く頂いた。
「ハァ。
美味しい。
有難うござます。
落ち着いてきました。
子供達は?」
イオリが聞くと、アレックスが苦笑した。
「王宮に部屋をもらって休みにいってる。
ロジャーとヒューゴが付き添ってるよ。
アウラもいるから大丈夫だろう?」
ヒューゴと世話好きのアウラが一緒ならば問題ない。
イオリは改めて、挨拶をした。
「デザリア王。
初めまして、アースガイルで冒険者になりましたイオリと申します。
こちらは従魔のゼンとソル。
もう1匹、アウラという馬がいます。
双子のスコルとパティ。
エルフのナギと兄妹のヒューゴとニナがお世話になっている様です。
有難うございます。」
「おぉ。
私はダマン・デザリア。
デザリア国の今代の王である。
この度の国難において、国を救ってくれた事に礼を言う。
疲れているところ、申し訳ないが報告を聞きたい。」
イオリが復活し、本来の礼儀正しさが戻るとディビットは満足そうに微笑んだ。
「おかえり。
危険な役目を果たしてくれて有難う。」
「ただいま帰りました。
疲れましたけど、楽しいダンジョンでした。
可愛い子達との約束もありますし。
報告させて頂きます。」
イオリはジンジャーティーをグビッと飲むとニッコリした。
「まずは、ダンジョンの結界の事ですけど、頼んだら解除してくれました。」
「「「ハッ?」」」
ケロッとしたイオリの言葉に至る所から戸惑いの声が聞こえた。
「だから、《入れてくれないか》って頼んだら結界を解除してくれたんです。」
ニッコリするイオリにデザリア王を始めとして宰相やアレックスまでもが愕然としていた。
「《北風と太陽》ですよ。」
意味の分からない言葉にキョトンとする面々の中、1人だけ理解した人間がいた。
「・・・なるほどね。
クククッ。
さすが、イオリ。」
絵本の事業を成している婚約者がいるディビットだけが楽しげに笑うのだった。
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