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旅路〜デザリア・ダンジョン〜
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「それじゃ、開けるよ?」
ワクワク顔を隠さないスコルとナギがブンブンと頷く中、パティとニナの顔は硬い。
イオリが心配そうに伺うと2人はしっかりと頷いた。
「早く、終わらせてお風呂に入る!!」
「ニナも!」
決意表明をするパティとニナに微笑むとイオリは扉に手をかけた。
ギギギー。
時代を感じる音が響き、見ため以上に軽い扉が開かれる。
真っ暗かと思った最終の部屋は一瞬で光がもたらされ、一面の状況を把握する事ができた。
「・・・砂か。」
だだっ広い空間は全面砂で覆われていた。
砂以外何もない部屋を一同はキョロキョロと見渡していた。
「何もいないね。」
ナギの呟きにスコルが頷く。
「目の前にいないのなら・・・。
下だ!!」
イオリが叫んだ時だった。
ドーン!!
砂が爆発を起こしたように舞い上がり、最終の部屋の主が姿を現した。
「・・・何これ?」
「ハサミがある・・・格好良い!!」
「見て!尻尾もある!」
「気持ち悪ーい!!」
子供達の様々の反応の横でイオリは紫色の巨体な獲物を見上げていた。
「サソリ?」
しかし、目の前にいたソレはイオリの知っているサソリと少し違っていた。
大きなハサミと鋭い尻尾は分かるが足は毛がフサフサとあり、どちらかと言うと蜘蛛の様だった。
ニナが言う気持ち悪いも、あながち間違っていない。
「アレがジョムシードだ・・・。」
真剣な顔をするシモン・ヤティムは杖で尻尾を示した。
「尻尾には毒がある。
雨の様に飛ばしてくるぞ。」
シモン・ヤティムの言う事を証明する様に、ジョムシードは尻尾を振ると緑色の雨を降らした。
「「「「毒!!!」」」」
「落ち着け!
みんな、俺に近寄れ!」
騒ぐ子供達に檄を飛ばしヒューゴが広範囲にシールドを張った。
「あのせっかち野郎・・・。
自己紹介もまだだろうが。」
ヒューゴが舌打ちをしてシールドを見上げると、当たる緑の雨がジュッと煙を上げている。
毒攻撃が阻まれたジョムシードは無感情にハサミをガチンッと鳴らし、コチラを観察しているようだった。
「さて、シモンさん。
当然、あのハサミも硬いんでしょうね?」
イオリが伺うと筆頭魔法使いは渋い顔で頷いた。
「ミスリルに匹敵する硬さと言っていい。
奴にとって、ハサミは盾でもあり剣でもある。
最悪、砂に潜って仕舞えば雷攻撃だって無意味になる。
この砂は奴にとって最高な戦場なのだ。」
シモン・ヤティムの解説にスコルは目を輝かせた。
「最強じゃん!!」
ジョムシードの事は分かったところで、倒すのが難しいとシモン・ヤティムは知っていた。
シールド持ちがいたとしても、攻守の切り替えには隙が生まれやすい。
ソレで、何人もの冒険者が命を落としているのだ。
改めて、目の前で不遜に構えるジョムシードの恐ろしさを思い出していた。
「提案があるんだけど良いかな?」
緊迫は無縁の優しい声に視線が集まった。
「俺達にやらせてくれない?
“ エルフの里の戦士“との戦いはみんなが頑張ったから、俺の出る幕なかったでしょ?
アイツは俺が仕留めるよ。」
仲間達が驚く中、気負う事なくイオリはいつもの微笑みでジョムシードを見つめていた。
ワクワク顔を隠さないスコルとナギがブンブンと頷く中、パティとニナの顔は硬い。
イオリが心配そうに伺うと2人はしっかりと頷いた。
「早く、終わらせてお風呂に入る!!」
「ニナも!」
決意表明をするパティとニナに微笑むとイオリは扉に手をかけた。
ギギギー。
時代を感じる音が響き、見ため以上に軽い扉が開かれる。
真っ暗かと思った最終の部屋は一瞬で光がもたらされ、一面の状況を把握する事ができた。
「・・・砂か。」
だだっ広い空間は全面砂で覆われていた。
砂以外何もない部屋を一同はキョロキョロと見渡していた。
「何もいないね。」
ナギの呟きにスコルが頷く。
「目の前にいないのなら・・・。
下だ!!」
イオリが叫んだ時だった。
ドーン!!
砂が爆発を起こしたように舞い上がり、最終の部屋の主が姿を現した。
「・・・何これ?」
「ハサミがある・・・格好良い!!」
「見て!尻尾もある!」
「気持ち悪ーい!!」
子供達の様々の反応の横でイオリは紫色の巨体な獲物を見上げていた。
「サソリ?」
しかし、目の前にいたソレはイオリの知っているサソリと少し違っていた。
大きなハサミと鋭い尻尾は分かるが足は毛がフサフサとあり、どちらかと言うと蜘蛛の様だった。
ニナが言う気持ち悪いも、あながち間違っていない。
「アレがジョムシードだ・・・。」
真剣な顔をするシモン・ヤティムは杖で尻尾を示した。
「尻尾には毒がある。
雨の様に飛ばしてくるぞ。」
シモン・ヤティムの言う事を証明する様に、ジョムシードは尻尾を振ると緑色の雨を降らした。
「「「「毒!!!」」」」
「落ち着け!
みんな、俺に近寄れ!」
騒ぐ子供達に檄を飛ばしヒューゴが広範囲にシールドを張った。
「あのせっかち野郎・・・。
自己紹介もまだだろうが。」
ヒューゴが舌打ちをしてシールドを見上げると、当たる緑の雨がジュッと煙を上げている。
毒攻撃が阻まれたジョムシードは無感情にハサミをガチンッと鳴らし、コチラを観察しているようだった。
「さて、シモンさん。
当然、あのハサミも硬いんでしょうね?」
イオリが伺うと筆頭魔法使いは渋い顔で頷いた。
「ミスリルに匹敵する硬さと言っていい。
奴にとって、ハサミは盾でもあり剣でもある。
最悪、砂に潜って仕舞えば雷攻撃だって無意味になる。
この砂は奴にとって最高な戦場なのだ。」
シモン・ヤティムの解説にスコルは目を輝かせた。
「最強じゃん!!」
ジョムシードの事は分かったところで、倒すのが難しいとシモン・ヤティムは知っていた。
シールド持ちがいたとしても、攻守の切り替えには隙が生まれやすい。
ソレで、何人もの冒険者が命を落としているのだ。
改めて、目の前で不遜に構えるジョムシードの恐ろしさを思い出していた。
「提案があるんだけど良いかな?」
緊迫は無縁の優しい声に視線が集まった。
「俺達にやらせてくれない?
“ エルフの里の戦士“との戦いはみんなが頑張ったから、俺の出る幕なかったでしょ?
アイツは俺が仕留めるよ。」
仲間達が驚く中、気負う事なくイオリはいつもの微笑みでジョムシードを見つめていた。
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