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旅路〜デザリア・ダンジョン〜
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生きとし生けるものがいない砂漠の地を離れ“アースガイル”と言う、希望の国に向かう決意をしたアーマッド・デザリア。
そして仲間達は助け合いながら、砂漠を歩き続けた。
歩いて、歩いて、歩いて・・・・彼らは絶望する事になる。
大きな海が彼らとアースガイルを分断していたのだ。
果てしなく続く海を睨みつけアーマッド・デザリアは涙を流した。
「ただ、幸せを願った。
仲間の命が脅かされなければ、それで良いのに・・・。
何故だ!
神は我々を見捨てたのか!!」
流した涙が無常に砂に染みていく。
次の瞬間だった。
『そんな事ない。』
『そんな事ないよ。』
突然の声に慌てて顔を上げたアーマッドの目の前に美しい翼を持つ鳥がいた。
『何を願う?』
『何をしたい?』
問う鳥にアーマッドは戸惑うように答えた。
「仲間を危険から守り、安心して休ませたい。」
するとアーマッドが流した涙の跡に小さな芽が出ていた。
その小さな芽は、あれよあれよと大樹に育ち、その周りは緑が息づく森林へと変わった。
『いいよー。』
『他は?他は?』
信じられない物を見たとアーマッドが硬直していると、鳥は悪戯が成功したとばかりに楽しそうに笑っている。
「この地は海水ばかりで、飲める水がない。」
すると今度はキラキラと光が降ってきて、枯れた地に水が湧き出始めた。
『はい、どうぞー。』
『他は?他は?』
食べ物を乞えば実をつけた果樹園が現れ、突如できた洞窟からは動物の声がし始めた。
アーマッドは奇跡を与えてくれた美しい鳥に感謝し祈った。
「仲間を助けてくれて有難う御座います。
私は貴方に何を返せば、良いのでしょう。」
美しい鳥は楽しそうに答えた。
『困った人が来たら助けてあげると良いよ。』
『そうだよ。リュオン様が喜ぶよ。』
絶対神の名を出され、目の前の美しい鳥は神が自分達の為に寄越したのだと感涙した。
「約束しましょう。
この砂漠の地で、弱き者に助けを求められたら手を差し伸べましょう。
怪我をしていれば癒やし、喉が乾いたていたら泉の水をやり、腹をすかしていたら木の実や洞窟で狩りをして来ましょう。
神が我らを見捨てなかった様に我らも人の助けになりましょう。」
アーマッド・デザリアの誓いに美しい鳥は満足したのか、光の玉となって突然できた不思議な洞窟に吸い込まれるようにして姿を消していった。
美しい鳥が与えてくれた恩恵に感謝しアーマッドを筆頭に人々は砂漠で生きる決意をした。
水や緑ができ始めると、農作物も出来た。
厳しい砂漠を越えてやって来た人々は、その地を“オアシス”と呼び、命の泉を大切に守り続けた。
国を創ったアーマッド・デザリアは、誓いのとおり助けを求めてきた流民達を受け入れた。
そして、彼らを助けた美しい鳥が入っていった洞窟に“余慶”と名をつけて終生、大切に祈り続けたという。
その後、美しい鳥を見た者は誰1人としていなかった。
それでも建国の父であるアーマッド・デザリアを助けた美しい鳥を人々が忘れたわけではない。
幻の願いを叶える鳥はいつでも“デザリア”を見守っていてくれる守護神なのだ・・・。
ー ー ー ー ー ー
“余慶のダンジョン”の奥深く。
誰も辿り着く事のできない遥か奥で楽しそうな声が聞こえる。
『愛し子。
笑ってたね・・・。』
『愛し子。
気づかれちゃったね・・・。』
青空が広がるお気に入りの大地で、こっそりと覗いていたのがバレたとクスクスと彼らの笑い声が聞こえる。
『もう少しで会えるね。』
『お迎え♪お迎え♪』
そして仲間達は助け合いながら、砂漠を歩き続けた。
歩いて、歩いて、歩いて・・・・彼らは絶望する事になる。
大きな海が彼らとアースガイルを分断していたのだ。
果てしなく続く海を睨みつけアーマッド・デザリアは涙を流した。
「ただ、幸せを願った。
仲間の命が脅かされなければ、それで良いのに・・・。
何故だ!
神は我々を見捨てたのか!!」
流した涙が無常に砂に染みていく。
次の瞬間だった。
『そんな事ない。』
『そんな事ないよ。』
突然の声に慌てて顔を上げたアーマッドの目の前に美しい翼を持つ鳥がいた。
『何を願う?』
『何をしたい?』
問う鳥にアーマッドは戸惑うように答えた。
「仲間を危険から守り、安心して休ませたい。」
するとアーマッドが流した涙の跡に小さな芽が出ていた。
その小さな芽は、あれよあれよと大樹に育ち、その周りは緑が息づく森林へと変わった。
『いいよー。』
『他は?他は?』
信じられない物を見たとアーマッドが硬直していると、鳥は悪戯が成功したとばかりに楽しそうに笑っている。
「この地は海水ばかりで、飲める水がない。」
すると今度はキラキラと光が降ってきて、枯れた地に水が湧き出始めた。
『はい、どうぞー。』
『他は?他は?』
食べ物を乞えば実をつけた果樹園が現れ、突如できた洞窟からは動物の声がし始めた。
アーマッドは奇跡を与えてくれた美しい鳥に感謝し祈った。
「仲間を助けてくれて有難う御座います。
私は貴方に何を返せば、良いのでしょう。」
美しい鳥は楽しそうに答えた。
『困った人が来たら助けてあげると良いよ。』
『そうだよ。リュオン様が喜ぶよ。』
絶対神の名を出され、目の前の美しい鳥は神が自分達の為に寄越したのだと感涙した。
「約束しましょう。
この砂漠の地で、弱き者に助けを求められたら手を差し伸べましょう。
怪我をしていれば癒やし、喉が乾いたていたら泉の水をやり、腹をすかしていたら木の実や洞窟で狩りをして来ましょう。
神が我らを見捨てなかった様に我らも人の助けになりましょう。」
アーマッド・デザリアの誓いに美しい鳥は満足したのか、光の玉となって突然できた不思議な洞窟に吸い込まれるようにして姿を消していった。
美しい鳥が与えてくれた恩恵に感謝しアーマッドを筆頭に人々は砂漠で生きる決意をした。
水や緑ができ始めると、農作物も出来た。
厳しい砂漠を越えてやって来た人々は、その地を“オアシス”と呼び、命の泉を大切に守り続けた。
国を創ったアーマッド・デザリアは、誓いのとおり助けを求めてきた流民達を受け入れた。
そして、彼らを助けた美しい鳥が入っていった洞窟に“余慶”と名をつけて終生、大切に祈り続けたという。
その後、美しい鳥を見た者は誰1人としていなかった。
それでも建国の父であるアーマッド・デザリアを助けた美しい鳥を人々が忘れたわけではない。
幻の願いを叶える鳥はいつでも“デザリア”を見守っていてくれる守護神なのだ・・・。
ー ー ー ー ー ー
“余慶のダンジョン”の奥深く。
誰も辿り着く事のできない遥か奥で楽しそうな声が聞こえる。
『愛し子。
笑ってたね・・・。』
『愛し子。
気づかれちゃったね・・・。』
青空が広がるお気に入りの大地で、こっそりと覗いていたのがバレたとクスクスと彼らの笑い声が聞こえる。
『もう少しで会えるね。』
『お迎え♪お迎え♪』
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