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旅路〜デザリア・ダンジョン〜
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「・・・何故。」
ステルス魔法で姿が見えなくなっている筈の自分を若者は正確に捉えていた。
戸惑う魔法のエルフなどお構いなしに若者の怒りが鉄筒を通じて感じ取れる。
「何故?
そんなに殺気を轟かせといて姿を消すもないだろう。」
鳥肌が立ち、震える己の腕を目にして魔法のエルフは驚愕した。
《これは何だ?
今までに感じた事のない。
言われようのない情動が何なのか分からない。
まさか・・・これが恐怖?
私は今、この男を恐れている・・・。
馬鹿な事を・・・あり得ぬ。あり得ぬ!!》
魔法のエルフは形振り構わず杖を振り回し、至る所に火の玉をぶつけた。
イオリと距離を取ると、充血した何を見ていない目が魔法のエルフの気迫を増幅させている。
「弱いモノから狙って何が悪い!
弱いモノから死ぬ。
当たり前の事だ!
どうせ、貴様らは死に行くのだ。
順番など関係ないだろう!」
弱肉強食・優勝劣敗・・・
それは、弱き者が強き者の為に犠牲になる世界で生きてきた彼の心からの叫びだった。
迷いもない、疑いもない、自分の里の教えを守る男にとってイオリ達の方が間違っているのだ。
「自然とは・・・生きるとは・・・
そんな単純な話じゃないよ。」
どこか哀しみを憂いた瞳でイオリは呟いた。
バチバチバチ!
何もない空から音がする。
「おかえし!!」
無邪気な声が響いた次の瞬間、魔法のエルフの頭上から雷が落ちた。
「ギャーーー!!」
強い衝撃が当たり叫ぶ魔法のエルフは口から煙を出している。
振り返ろうとした時だった。
ニョキニョキと地面から蔓が伸び始め、魔法のエルフの体に巻き付き始めた。
「何だ!
やめろ!」
何とか意識を保っていた魔法のエルフは絡み付く蔓を剥がそうともがくが、蔓はお構いなしに這い上がってきて体の自由を奪っていく。
ポロン ポロン♪
弦楽器の音色が耳をくすぐる。
振り返ることも出来ずにいる魔法のエルフにとって確認のしようもないが、確かに場違いな軽やかな楽器の音が聞こえてくる。
「どうです?
貴方が弱いと言った、子供にやり込められた気分は。」
いつの間にか目の前にいたイオリに魔法のエルフは悔しそうに歯を食いしばった。
「子供だと?
私が子供如きの魔法にやられるはずが・・・。」
信じられないと目を見開く魔法のエルフの首だけを蔓が誘導する。
そこには傷一つ付いていない馬車と手を振るニナとナギの姿があった。
現実を受け入れられない魔法のエルフにイオリは囁いた。
「あの子達は弱いんじゃない。
自分のやれる事に一生懸命で守られているばかりのお飾りでもない。
寧ろ、俺には貴方達の方が何かに怯えているように見えるよ。
まるで怖がって噛み付く子犬と一緒だ。
ルミエールを慕う貴方達は何を恐れているんです?」
驚愕した魔法のエルフは目の前の若者にダークエルフの幻影を見た気がした。
ハッキリと恐怖を感じた魔法のエルフはカタカタと震え始めた。
「おっ・・・お前は・・・誰・・だ?」
そんな魔法のエルフの疑問に答える事もなくイオリはニッコリと微笑んだ。
「おやすみなさい。」
眉間に突きつけられた鉄筒が何なのかも分からずに魔法のエルフは自分の最後を悟った。
ドンッ!!
イオリが放った銃弾で魔法のエルフは痛みも感じる事もなく眠りについたのだった。
ステルス魔法で姿が見えなくなっている筈の自分を若者は正確に捉えていた。
戸惑う魔法のエルフなどお構いなしに若者の怒りが鉄筒を通じて感じ取れる。
「何故?
そんなに殺気を轟かせといて姿を消すもないだろう。」
鳥肌が立ち、震える己の腕を目にして魔法のエルフは驚愕した。
《これは何だ?
今までに感じた事のない。
言われようのない情動が何なのか分からない。
まさか・・・これが恐怖?
私は今、この男を恐れている・・・。
馬鹿な事を・・・あり得ぬ。あり得ぬ!!》
魔法のエルフは形振り構わず杖を振り回し、至る所に火の玉をぶつけた。
イオリと距離を取ると、充血した何を見ていない目が魔法のエルフの気迫を増幅させている。
「弱いモノから狙って何が悪い!
弱いモノから死ぬ。
当たり前の事だ!
どうせ、貴様らは死に行くのだ。
順番など関係ないだろう!」
弱肉強食・優勝劣敗・・・
それは、弱き者が強き者の為に犠牲になる世界で生きてきた彼の心からの叫びだった。
迷いもない、疑いもない、自分の里の教えを守る男にとってイオリ達の方が間違っているのだ。
「自然とは・・・生きるとは・・・
そんな単純な話じゃないよ。」
どこか哀しみを憂いた瞳でイオリは呟いた。
バチバチバチ!
何もない空から音がする。
「おかえし!!」
無邪気な声が響いた次の瞬間、魔法のエルフの頭上から雷が落ちた。
「ギャーーー!!」
強い衝撃が当たり叫ぶ魔法のエルフは口から煙を出している。
振り返ろうとした時だった。
ニョキニョキと地面から蔓が伸び始め、魔法のエルフの体に巻き付き始めた。
「何だ!
やめろ!」
何とか意識を保っていた魔法のエルフは絡み付く蔓を剥がそうともがくが、蔓はお構いなしに這い上がってきて体の自由を奪っていく。
ポロン ポロン♪
弦楽器の音色が耳をくすぐる。
振り返ることも出来ずにいる魔法のエルフにとって確認のしようもないが、確かに場違いな軽やかな楽器の音が聞こえてくる。
「どうです?
貴方が弱いと言った、子供にやり込められた気分は。」
いつの間にか目の前にいたイオリに魔法のエルフは悔しそうに歯を食いしばった。
「子供だと?
私が子供如きの魔法にやられるはずが・・・。」
信じられないと目を見開く魔法のエルフの首だけを蔓が誘導する。
そこには傷一つ付いていない馬車と手を振るニナとナギの姿があった。
現実を受け入れられない魔法のエルフにイオリは囁いた。
「あの子達は弱いんじゃない。
自分のやれる事に一生懸命で守られているばかりのお飾りでもない。
寧ろ、俺には貴方達の方が何かに怯えているように見えるよ。
まるで怖がって噛み付く子犬と一緒だ。
ルミエールを慕う貴方達は何を恐れているんです?」
驚愕した魔法のエルフは目の前の若者にダークエルフの幻影を見た気がした。
ハッキリと恐怖を感じた魔法のエルフはカタカタと震え始めた。
「おっ・・・お前は・・・誰・・だ?」
そんな魔法のエルフの疑問に答える事もなくイオリはニッコリと微笑んだ。
「おやすみなさい。」
眉間に突きつけられた鉄筒が何なのかも分からずに魔法のエルフは自分の最後を悟った。
ドンッ!!
イオリが放った銃弾で魔法のエルフは痛みも感じる事もなく眠りについたのだった。
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