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旅路〜デザリア・ダンジョン〜
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“エルフの里の戦士”2人は近づいてきた若者に負けるなど考えてもいない。
地獄のような痛みは緩和されつつあるが、目の前に現れた子供達が襲ってきた事には確かに驚いた。
自分達の里にも、あんなに戦闘力のある子供はいない。
怒りに任せて子供達を襲うも、次に現れた男のスキルに阻まれた。
“シールドのスキル”
鬱陶しい奴が現れた。
スキル持ちとの戦いは相手を凌駕すれば、スキルの効果を弱める事が出来るが面倒である事は間違いない。
それに加えて唐突に周囲を土壁で覆われた。
逃げるなど“エルフの里の戦士”には考えもしないが、囲われているのは良い気がしない。
悠々と最後にやってきたのは変な奴だった。
戦闘だというのに笑っている。
《脆弱な人間は頭も愚かだ。》
2人のエルフは、そう思っていた。
それがどうだ。
今、目の前の若者の瞳は脆弱な人間のものではない。
ーーー狼。
《あれは捕食者の目だ。
やらなければ狩られる。》
2人のエルフは手に汗を掻いているのに気がついた。
《ありえない。
人間ごとに気に崇高な我々が恐れを抱くなど・・・。》
痺れる手に力を込めて剣のエルフが若者に襲いかかった。
「オラっ!」
若者はヒラリっと剣を避けて見せた。
いくら攻撃しても、若者は素早くエルフの剣技を避けていく。
「逃げるだけか!
情けない!」
そんな2人の戦いをシールドを張った男は手を貸す気はないようだ。
それもそうだ。
彼の役目は子供達を守る事。
若者が危険でない限り、彼の好きにさせるだろう。
そんな中、手首を撃ち抜かれた魔法のエルフは苦しみながらも、もう片方の手で杖を掴んだ。
シールドを相手にするよりかは、逃げ惑う若者を相方ごと攻撃してしまえばいい。
共に旅立った相方であるが、ここで命を散らしてもダークエルフ・ルミエール様の御霊の一部になれるなら本望であろう。
2人に狙いを定めて呪文を唱え出した。
「バウッ!!」
そんな魔法のエルフの考えを打ち砕くように、白い塊が襲いかかった。
「何っ!」
辛うじて避けた魔法のエルフの前に現れたのは・・・
「・・・フェンリル。」
《何故ここに、フェンリルが?
ダンジョンで現れたのか?
しかも“純白のフェンリル”だと・・・。》
戸惑う魔法のエルフを大きな体のフェンリルが威嚇する。
「ぅぅゔゔゔ・・バウッ!!」
フェンリルが放つ暴風に魔法のエルフは炎で防いだ。
しかし炎の勢いを強くするのは風だ。
魔法のエルフの繰り出した炎は彼のコントロールを失いつつあった。
「なんて事だ・・・ついていない。
こんなところでフェンリルとは。」
何とか力を制御しようとする魔法のエルフの背後から声が飛んだ。
「こらっ!ゼン!
炎がこっちまでくるよ。
何とかしてよ。」
相方と戦っていた若者の声に魔法のエルフは動きを止めた。
『ごめん!
だって、この人さ。
イオリに魔法使おうとするんだもん。』
「心配してくれてるのは分かってるよ。
でも、火はダメ。
風は火を大きくするからアブナイ。
熱いのツライ。」
何故かカタコトの若者にフェンリルが楽しそうに笑った。
『分かったぁ。
噛み付く事にする!』
若者がフェンリルと会話している。
魔法のエルフは瞠目した。
そんな訳がないのだ。
《伝説の魔獣であるフェンリル。
しかも純白のフェンリルだ。
その純白のフェンリルが人に従っているだと》
「・・・そんな事、あってたまるかぁぁぁぁ!!」
魔法のエルフは炎を膨大にしてイオリに投げつけたのだった。
地獄のような痛みは緩和されつつあるが、目の前に現れた子供達が襲ってきた事には確かに驚いた。
自分達の里にも、あんなに戦闘力のある子供はいない。
怒りに任せて子供達を襲うも、次に現れた男のスキルに阻まれた。
“シールドのスキル”
鬱陶しい奴が現れた。
スキル持ちとの戦いは相手を凌駕すれば、スキルの効果を弱める事が出来るが面倒である事は間違いない。
それに加えて唐突に周囲を土壁で覆われた。
逃げるなど“エルフの里の戦士”には考えもしないが、囲われているのは良い気がしない。
悠々と最後にやってきたのは変な奴だった。
戦闘だというのに笑っている。
《脆弱な人間は頭も愚かだ。》
2人のエルフは、そう思っていた。
それがどうだ。
今、目の前の若者の瞳は脆弱な人間のものではない。
ーーー狼。
《あれは捕食者の目だ。
やらなければ狩られる。》
2人のエルフは手に汗を掻いているのに気がついた。
《ありえない。
人間ごとに気に崇高な我々が恐れを抱くなど・・・。》
痺れる手に力を込めて剣のエルフが若者に襲いかかった。
「オラっ!」
若者はヒラリっと剣を避けて見せた。
いくら攻撃しても、若者は素早くエルフの剣技を避けていく。
「逃げるだけか!
情けない!」
そんな2人の戦いをシールドを張った男は手を貸す気はないようだ。
それもそうだ。
彼の役目は子供達を守る事。
若者が危険でない限り、彼の好きにさせるだろう。
そんな中、手首を撃ち抜かれた魔法のエルフは苦しみながらも、もう片方の手で杖を掴んだ。
シールドを相手にするよりかは、逃げ惑う若者を相方ごと攻撃してしまえばいい。
共に旅立った相方であるが、ここで命を散らしてもダークエルフ・ルミエール様の御霊の一部になれるなら本望であろう。
2人に狙いを定めて呪文を唱え出した。
「バウッ!!」
そんな魔法のエルフの考えを打ち砕くように、白い塊が襲いかかった。
「何っ!」
辛うじて避けた魔法のエルフの前に現れたのは・・・
「・・・フェンリル。」
《何故ここに、フェンリルが?
ダンジョンで現れたのか?
しかも“純白のフェンリル”だと・・・。》
戸惑う魔法のエルフを大きな体のフェンリルが威嚇する。
「ぅぅゔゔゔ・・バウッ!!」
フェンリルが放つ暴風に魔法のエルフは炎で防いだ。
しかし炎の勢いを強くするのは風だ。
魔法のエルフの繰り出した炎は彼のコントロールを失いつつあった。
「なんて事だ・・・ついていない。
こんなところでフェンリルとは。」
何とか力を制御しようとする魔法のエルフの背後から声が飛んだ。
「こらっ!ゼン!
炎がこっちまでくるよ。
何とかしてよ。」
相方と戦っていた若者の声に魔法のエルフは動きを止めた。
『ごめん!
だって、この人さ。
イオリに魔法使おうとするんだもん。』
「心配してくれてるのは分かってるよ。
でも、火はダメ。
風は火を大きくするからアブナイ。
熱いのツライ。」
何故かカタコトの若者にフェンリルが楽しそうに笑った。
『分かったぁ。
噛み付く事にする!』
若者がフェンリルと会話している。
魔法のエルフは瞠目した。
そんな訳がないのだ。
《伝説の魔獣であるフェンリル。
しかも純白のフェンリルだ。
その純白のフェンリルが人に従っているだと》
「・・・そんな事、あってたまるかぁぁぁぁ!!」
魔法のエルフは炎を膨大にしてイオリに投げつけたのだった。
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