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旅路〜デザリア・ダンジョン〜
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「俺に指名依頼?
王様から?」
名誉な事にも関わらず、反応の良くないイオリにギルマス・ウェッジとサブマス・フォートナムは気まずそうに筆頭魔法使いの顔色を伺った。
当の筆頭魔法使いシモン・ヤティムは可笑そうに微笑んでいる。
「おいっ・・・スルターンからの依頼だぞ!?」
慌てたようなギルマスにイオリは首を傾げた。
「スルターン?」
「デザリアでは国主を王ともスルターンとも言う。
アースガイルと違って、我が王はあくまでも国主なのだ。
治政に不満があればいつでも引き摺り下ろされる。
以前に悪政を強いた王が家臣によって葬られ、新たな王が擁立された過去もある。
王は常に正しさを求められているのだ。」
シモン・ヤティムは丁寧に教えてくれた。
デザリアの王の立場が当たり前に盤石ではないという事にイオリは驚いた。
それでもシモン・ヤティムやギルマスの敬愛心を見れば、現代の王が良き王であるのだろうとイオリは想像した。
「それで?
我が王の依頼を受けて貰えるだろうか?」
本来なら拒否など出来るわけがない。
それでもイオリは1つ安全策をとった。
「俺達はアースガイルのポーレット公爵の専属冒険者です。
一度、確認を取らせて下さい。」
「それでは遅いのです!
事態は拮抗しているんですよ?
王の・・・デザリア王からの依頼なのです。」
我慢が出来なかったのか、サブマス・フォートナムの叫びに子供達もビクッとさせている。
アレックスはイオリとヒューゴに向けて手をヒラヒラとさせて間に入った。
「ディビット殿下は強制はできないと言った筈です。
それに、時間などかかりませんよ。」
アレックスがアゴで指すとイオリが指輪に向けて何かを話しかけていた。
「ポーレット公爵がイオリを心配して通信できる魔道具を持たせたそうです。
いつでもアチラに連絡が取れます。
あっ!
イオリを利用しようとしても無駄ですよ。
少しでもイオリに迷惑がかかればアースガイル王が機嫌を損ねます。
我らの王は“黒狼”を気に入っておられる。」
アレックスの脅しが効いたのかサブマス・フォートナムは大人しく頷いた。
イオリが困ったように微笑むと振り向いた。
「良いそうです。
ただし、貴国に詳細な報告を求めると言っています。」
安堵したギルマス・ウェッジは、疲れたような表情のイオリを伺うように問いかけた。
「それで?
何をそんなに困っている?」
気まずそうなイオリの代わりにヒューゴが肩をすくめた。
「連絡が遅いと怒られたんです。
いつでも連絡できるからか、イオリは連絡不精なんですよ。
毎度、怒られるから細かく連絡をと言っているのですがね。」
イオリは不貞腐れたようにヒューゴを見上げた。
「だったらヒューゴさんが連絡して下さいよ。」
「俺はマメに連絡している。
テオルド様はイオリの声が聞きたいんだよ。」
実家に連絡を入れるなんて考えが薄いイオリはヒューゴから頭を小突かれると、ひたすら苦笑するしかなかったのだった。
王様から?」
名誉な事にも関わらず、反応の良くないイオリにギルマス・ウェッジとサブマス・フォートナムは気まずそうに筆頭魔法使いの顔色を伺った。
当の筆頭魔法使いシモン・ヤティムは可笑そうに微笑んでいる。
「おいっ・・・スルターンからの依頼だぞ!?」
慌てたようなギルマスにイオリは首を傾げた。
「スルターン?」
「デザリアでは国主を王ともスルターンとも言う。
アースガイルと違って、我が王はあくまでも国主なのだ。
治政に不満があればいつでも引き摺り下ろされる。
以前に悪政を強いた王が家臣によって葬られ、新たな王が擁立された過去もある。
王は常に正しさを求められているのだ。」
シモン・ヤティムは丁寧に教えてくれた。
デザリアの王の立場が当たり前に盤石ではないという事にイオリは驚いた。
それでもシモン・ヤティムやギルマスの敬愛心を見れば、現代の王が良き王であるのだろうとイオリは想像した。
「それで?
我が王の依頼を受けて貰えるだろうか?」
本来なら拒否など出来るわけがない。
それでもイオリは1つ安全策をとった。
「俺達はアースガイルのポーレット公爵の専属冒険者です。
一度、確認を取らせて下さい。」
「それでは遅いのです!
事態は拮抗しているんですよ?
王の・・・デザリア王からの依頼なのです。」
我慢が出来なかったのか、サブマス・フォートナムの叫びに子供達もビクッとさせている。
アレックスはイオリとヒューゴに向けて手をヒラヒラとさせて間に入った。
「ディビット殿下は強制はできないと言った筈です。
それに、時間などかかりませんよ。」
アレックスがアゴで指すとイオリが指輪に向けて何かを話しかけていた。
「ポーレット公爵がイオリを心配して通信できる魔道具を持たせたそうです。
いつでもアチラに連絡が取れます。
あっ!
イオリを利用しようとしても無駄ですよ。
少しでもイオリに迷惑がかかればアースガイル王が機嫌を損ねます。
我らの王は“黒狼”を気に入っておられる。」
アレックスの脅しが効いたのかサブマス・フォートナムは大人しく頷いた。
イオリが困ったように微笑むと振り向いた。
「良いそうです。
ただし、貴国に詳細な報告を求めると言っています。」
安堵したギルマス・ウェッジは、疲れたような表情のイオリを伺うように問いかけた。
「それで?
何をそんなに困っている?」
気まずそうなイオリの代わりにヒューゴが肩をすくめた。
「連絡が遅いと怒られたんです。
いつでも連絡できるからか、イオリは連絡不精なんですよ。
毎度、怒られるから細かく連絡をと言っているのですがね。」
イオリは不貞腐れたようにヒューゴを見上げた。
「だったらヒューゴさんが連絡して下さいよ。」
「俺はマメに連絡している。
テオルド様はイオリの声が聞きたいんだよ。」
実家に連絡を入れるなんて考えが薄いイオリはヒューゴから頭を小突かれると、ひたすら苦笑するしかなかったのだった。
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