211 / 782
旅路〜デザリア・ダンジョン〜
219
しおりを挟む
サブマスであるフォートナムによって案内されると、そこには馴染みのアレックスとロジャーだけでなく、恐らくギルマスであろう男と誰だか検討もつかない人物がソファーに座っていた。
「お連れしました。
イオリ様。
中央にいるのがギルマスのウェッジさんで、もう一人はデザリアにおける魔法使いの頂点にいらっしゃる筆頭魔法使いのシモン・ヤティム様です。」
どこか誇らし気なフォートナムの紹介をシモン・ヤティムは不満なのか溜息を吐いていた。
「イオリ様とヒューゴ様のギルドカードを確認いたしました。
確かに、2人ともSランクです。」
ギルマス・ウェッジは納得したように頷くとイオリ達に座るように促した。
「会えて嬉しい。
到着早々に来てもらって悪いな。
それと、職員が失礼をしたようだ。
スマン。」
潔く頭を下げるギルマス・ウェッジにイオリは悪い印象は持たなかった。
「謝罪は本人に頂きました。
もう良いんですよ。
それよりも、偉い方々が俺に何かご用でしょうか?」
ニッコリと微笑むイオリにギルマス・ウェッジはイオリ達と共に入ってきたゴヴァンとサミーを気にした様に視線を向けた。
「イオリ様。
我々は一先ずお暇致します。」
ギルマスの極力人を減らしたい欲求を感じ取り、目立たぬうちに退散しようと言うのだ。
ホセと合流して情報を得ようとしているのだと気づき、イオリは頷いた。
「はい。分かりました。」
簡単な挨拶をして出ていく2人をアレックスが不思議そうに見つめた。
「イオリ。
今のは?
もう、知り合いが出来たのか?」
「あー。あの人達は・・・。」
「アースガイルで会った人達ですよ。
以前に手助けした事があって、港で再会した時にデザリアの入国時の手続きを手伝ってもらいました。」
誤魔化すのが苦手なイオリが余計な事を言わないようにか、ヒューゴが本当を織り交ぜて説明をした。
アレックスだけでなくギルマス・ウェッジやシモン・ヤティムも納得したのか、大して気にするでも無く頷いた。
「おい。お前ら、来いよ。
ここから王宮の屋根が見えるぞ。
あれ、全部宝石なんだってよ。」
ロジャーの手招きに誘われて子供達は嬉しそうに窓にしがみついた。
「本当だ!
船から見ると大きな1つの宝石かと思ったら、小さいのが何個もついてるんだ!」
「スコル。小さくないよ!
実際はもっと大きなラピスラズリだと思うよ。」
「ナギが言うなら、そうだね。
凄いな~。
もっと近くで見れないかな?」
「ニナ、20個までなら数えられたぁ!」
楽しそうな子供達にシモン・ヤティムは優しい顔を向けた。
「良い子達だな。
君の子供達かい?」
「えぇ、血は繋がってなくても家族です。」
席に着くとイオリが撫でる白い狼に見つめられている事に気づいたシモン・ヤティムは呟いた。
「“黒狼”か・・・。
まさか、会えるとは思っていなかった。
君になら任せてもいい。」
友人の言葉に驚きながら、ギルマス・ウェッジはイオリに告げた。
「デザリアの国主であるダマン・デザリア様から君に指名依頼がある。」
事態が大事になったとイオリは深く息を吐き出すのだった。
「お連れしました。
イオリ様。
中央にいるのがギルマスのウェッジさんで、もう一人はデザリアにおける魔法使いの頂点にいらっしゃる筆頭魔法使いのシモン・ヤティム様です。」
どこか誇らし気なフォートナムの紹介をシモン・ヤティムは不満なのか溜息を吐いていた。
「イオリ様とヒューゴ様のギルドカードを確認いたしました。
確かに、2人ともSランクです。」
ギルマス・ウェッジは納得したように頷くとイオリ達に座るように促した。
「会えて嬉しい。
到着早々に来てもらって悪いな。
それと、職員が失礼をしたようだ。
スマン。」
潔く頭を下げるギルマス・ウェッジにイオリは悪い印象は持たなかった。
「謝罪は本人に頂きました。
もう良いんですよ。
それよりも、偉い方々が俺に何かご用でしょうか?」
ニッコリと微笑むイオリにギルマス・ウェッジはイオリ達と共に入ってきたゴヴァンとサミーを気にした様に視線を向けた。
「イオリ様。
我々は一先ずお暇致します。」
ギルマスの極力人を減らしたい欲求を感じ取り、目立たぬうちに退散しようと言うのだ。
ホセと合流して情報を得ようとしているのだと気づき、イオリは頷いた。
「はい。分かりました。」
簡単な挨拶をして出ていく2人をアレックスが不思議そうに見つめた。
「イオリ。
今のは?
もう、知り合いが出来たのか?」
「あー。あの人達は・・・。」
「アースガイルで会った人達ですよ。
以前に手助けした事があって、港で再会した時にデザリアの入国時の手続きを手伝ってもらいました。」
誤魔化すのが苦手なイオリが余計な事を言わないようにか、ヒューゴが本当を織り交ぜて説明をした。
アレックスだけでなくギルマス・ウェッジやシモン・ヤティムも納得したのか、大して気にするでも無く頷いた。
「おい。お前ら、来いよ。
ここから王宮の屋根が見えるぞ。
あれ、全部宝石なんだってよ。」
ロジャーの手招きに誘われて子供達は嬉しそうに窓にしがみついた。
「本当だ!
船から見ると大きな1つの宝石かと思ったら、小さいのが何個もついてるんだ!」
「スコル。小さくないよ!
実際はもっと大きなラピスラズリだと思うよ。」
「ナギが言うなら、そうだね。
凄いな~。
もっと近くで見れないかな?」
「ニナ、20個までなら数えられたぁ!」
楽しそうな子供達にシモン・ヤティムは優しい顔を向けた。
「良い子達だな。
君の子供達かい?」
「えぇ、血は繋がってなくても家族です。」
席に着くとイオリが撫でる白い狼に見つめられている事に気づいたシモン・ヤティムは呟いた。
「“黒狼”か・・・。
まさか、会えるとは思っていなかった。
君になら任せてもいい。」
友人の言葉に驚きながら、ギルマス・ウェッジはイオリに告げた。
「デザリアの国主であるダマン・デザリア様から君に指名依頼がある。」
事態が大事になったとイオリは深く息を吐き出すのだった。
945
お気に入りに追加
10,436
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
簡易説明
転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です
詳細説明
生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。
そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。
そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。
しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。
赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。
色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。
家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。
※小説家になろう様でも投稿しております

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
【完結】月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
※本編完結しました。お付き合いいただいた皆様、有難うございました!※
両親を事故で亡くしたティナは、膨大な量の光の魔力を持つ為に聖女にされてしまう。
多忙なティナが学院を休んでいる間に、男爵令嬢のマリーから悪い噂を吹き込まれた王子はティナに婚約破棄を告げる。
大喜びで婚約破棄を受け入れたティナは憧れの冒険者になるが、両親が残した幻の花の種を育てる為に、栽培場所を探す旅に出る事を決意する。
そんなティナに、何故か同級生だったトールが同行を申し出て……?
*HOTランキング1位、エールに感想有難うございます!とても励みになっています!

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉
陣ノ内猫子
ファンタジー
神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。
お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。
チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO!
ーーーーーーーーー
これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。
ご都合主義、あるかもしれません。
一話一話が短いです。
週一回を目標に投稿したと思います。
面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。
誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。
感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる