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旅路〜デザリア・ダンジョン〜

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 朝の光が海を照らしている。

 “デザリア”を守る大きな門が開かれ、船からの積荷が順次に運ばれている。
 その脇には船から降りた人たちが入国をしようと並んでいた。

 一緒に“デザリア”入りをするゴヴァンとサミーとホセの案内で列に参加するとイオリは肩で眠っていたはずのソルが落ち着きがない事に気づいた。

「どうした?」

 頭を撫でてやると甘えるように擦り付いてくる。
 それでも何か気になるのか、むず痒いように「ピチチッ!」と癇癪を起こしている。

 そんなソルをヒューゴが不思議そうに見つめた。

「なんだろうな。
 ソルが機嫌を損ねるなんて事が珍しいな。」

「やっぱり、何かあるんでしょう。
 警戒しているんですよ。」

 列が進み順番が回ってくると、門兵にギルドカードを差し出した。

「ん?・・・Sランク。
 後はパーティーか?」

 門兵の問いにイオリが頷くとヒューゴや子供達のギルドカードも確認していく。

「球体に手を当てていってくれ。問題なければ入国出来る。
 ここでは国境を出入りする人間の情報を管理している。
 冒険者なら冒険者ギルドに行く事を勧める。
 入って、真っ直ぐ中央広場の西にある。」

「ありがとうございます。
 みんな聞いたね。
 手を当てるんだって。」

「「「「はーい!!」」」」

 子供の元気な返事を聞いて、門兵はやっと笑顔になった。

「ようこそ。
 デザリアの王都バッカスへ。」

 問題なく入国すると街並みが見えてきた。
 砂の国だけあって、家や店は岩や木だけでなく砂が利用されているようだ。

 キョロキョロと観察しているとゴヴァン達が合流した。

「お待たせしました。
 この国にも何度か来た事があるんです。
 冒険者ギルドもご案内しますよ。」

 ゴヴァンが歩き出すとサミーがイオリ達を守る様に背後に付き、ホセが何処かに姿を消して行った。

「・・・この街って危険なんですか?」

 不安そうなナギとニナを気遣い、イオリが尋ねるとゴヴァンは首を横に振った。

「デザリアの中でも王都だけあって、比較的に安全な街だって認識です。
 でも、街に入った瞬間、いつもの雰囲気と違うなって感じたんですよ。」

 ゴヴァンの言葉にヒューゴが眉間に皺を寄せた。

「何が違うんです?」

「まず、人の量が違います。
 いつもだったら、余裕がないくらい人が行きあっているんです。
 それに、以前来た時より閉まっている店が多い。
 ホセが情報を集めに向かいました。
 後ほど情勢が分かるでしょう。」

 元々暗部として暗躍していた彼らにとって、街に溶け込むのはお手のものなのだろう。
 体の大きなサミーでさえ、目立つどころか街に馴染んでいた。

 ゴヴァンの言った通り、王都というのにアースガイルの王都マテオールよりも多少静かさを感じる。
 お祭り好きの国であるならば、静かと言うべきなのかもしれない。

「冒険者が少ないんだ。」

 ヒューゴの呟きにゴヴァンが同意するように頷いた。

「どうやら、そのようですね。
 冒険者は街にとって仕事の依頼相手でもありますが金を落とす客でもある。
 冒険者が少ない街は金回りが悪いとも言えるんですよ。」

 未だに、全容を把握していないイオリにとってデザリアへの到着は少々不穏な物となった。
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