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旅路〜デザリア〜
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砂の国“デザリア”は名の通りの砂漠と海に守られた稀有な土地である。
つまり、イオリ達が到着した港がある首都“バッカス”より先にはもっと広い砂漠地帯の領地が待っている事になる。
逆に陸続きの国々にとって王がいる首都までやってるのには骨がいる。
砂漠と言っても、オアシスと呼ばれる緑地帯や澄んだ泉や湖が点在して存在する為に農作物なども育つ環境は多々あり、生活に困る事はない。
しいて言うなら、砂塵被害があるというところだろうか。
派手好きと言われる王族であるが、民への還元も忘れない。
祭り好きの国民性もあってか、国のいずれかの地で毎月祭りが行われている。
そんな明るい国にも問題は起こるもので・・・。
ーーーー時は遡り、深夜の王宮にて
船を降りて馬車に乗り王宮に着いたディビットは身支度を整えるとデザリアの王が待つ謁見の間に案内された。
「アースガイル国 第2王子 ディビット・ドゥ・アースガイル殿下!!」
衛兵の名呼びを聞き、ディビットは歩みを早めた。
護衛役を務めるアレックスとロジャーを廊下で待機させ、従者と騎士を引き連れて開かれた扉を潜る。
夜も更けていたからか、待っていたのは王と宰相に残りは数人程度である。
ディビットが到着したのを確認すると、宰相ナロ・シウバによって謁見が始められた。
「王よ。
こちらがアースガイル国より使節団を代表して参られましたディビット・ドゥ・アースガイル第2王子殿下でございます。」
紹介され、胸に手を当て頭を下げたアースガイルの若き王子にデザリアの王は声をかけた。
「長旅ご苦労だった。
休んでもらわねばならんのに、この様な非礼を許されよ。
私が“デザリア”の国主“カラム・アッサム”である。」
「アッサム王に拝謁いたします。
ディビット・ドゥ・アースガイルでございます。
この度の受け入れに感謝いたします。
緊急事態において非礼も無礼講にこざいます。
私でお役に立つ事がございましょうか?」
微笑むディビットにアッサム王は安堵した様だった。
「本来ならば、国の恥ゆえ他国の王子に助けを求める事など出来ぬのだが、事が事なだけに助言が欲しいのだ。」
頷いたディビットに宰相ナロ・シウバが説明を始めた。
「我が国に存在するダンジョン・・・名を“余慶のダンジョン”と申しますが、この1ヶ月程の間に不明の結界が張られ出入りが出来なくなっているのです。」
「不明な結界?」
思案するディビットを観察するように王は強い視線を送っていた。
「はい。我が国の騎士達がダンジョンに入ったまま1ヶ月救出も出来ていません。
恐らく、多くの冒険者も閉じ込められている事でしょう。
何せ、事態が掴めないのです。」
「確かに、我が国でもダンジョンに纏わる問題が発生しておりました。
私自身、我が国の事件において報告書を全て読み漁りましたが、ダンジョンに結界とは初めて聞きました。」
ディビットの答えに一同に落胆の色が見えた。
「しかし・・・当てがないわけではありません。
適任者がおります。
彼もダンジョンについては興味がある事でしょう。」
ディビットの提案を藁をも掴む思いでアッサム王は了承したのであった。
つまり、イオリ達が到着した港がある首都“バッカス”より先にはもっと広い砂漠地帯の領地が待っている事になる。
逆に陸続きの国々にとって王がいる首都までやってるのには骨がいる。
砂漠と言っても、オアシスと呼ばれる緑地帯や澄んだ泉や湖が点在して存在する為に農作物なども育つ環境は多々あり、生活に困る事はない。
しいて言うなら、砂塵被害があるというところだろうか。
派手好きと言われる王族であるが、民への還元も忘れない。
祭り好きの国民性もあってか、国のいずれかの地で毎月祭りが行われている。
そんな明るい国にも問題は起こるもので・・・。
ーーーー時は遡り、深夜の王宮にて
船を降りて馬車に乗り王宮に着いたディビットは身支度を整えるとデザリアの王が待つ謁見の間に案内された。
「アースガイル国 第2王子 ディビット・ドゥ・アースガイル殿下!!」
衛兵の名呼びを聞き、ディビットは歩みを早めた。
護衛役を務めるアレックスとロジャーを廊下で待機させ、従者と騎士を引き連れて開かれた扉を潜る。
夜も更けていたからか、待っていたのは王と宰相に残りは数人程度である。
ディビットが到着したのを確認すると、宰相ナロ・シウバによって謁見が始められた。
「王よ。
こちらがアースガイル国より使節団を代表して参られましたディビット・ドゥ・アースガイル第2王子殿下でございます。」
紹介され、胸に手を当て頭を下げたアースガイルの若き王子にデザリアの王は声をかけた。
「長旅ご苦労だった。
休んでもらわねばならんのに、この様な非礼を許されよ。
私が“デザリア”の国主“カラム・アッサム”である。」
「アッサム王に拝謁いたします。
ディビット・ドゥ・アースガイルでございます。
この度の受け入れに感謝いたします。
緊急事態において非礼も無礼講にこざいます。
私でお役に立つ事がございましょうか?」
微笑むディビットにアッサム王は安堵した様だった。
「本来ならば、国の恥ゆえ他国の王子に助けを求める事など出来ぬのだが、事が事なだけに助言が欲しいのだ。」
頷いたディビットに宰相ナロ・シウバが説明を始めた。
「我が国に存在するダンジョン・・・名を“余慶のダンジョン”と申しますが、この1ヶ月程の間に不明の結界が張られ出入りが出来なくなっているのです。」
「不明な結界?」
思案するディビットを観察するように王は強い視線を送っていた。
「はい。我が国の騎士達がダンジョンに入ったまま1ヶ月救出も出来ていません。
恐らく、多くの冒険者も閉じ込められている事でしょう。
何せ、事態が掴めないのです。」
「確かに、我が国でもダンジョンに纏わる問題が発生しておりました。
私自身、我が国の事件において報告書を全て読み漁りましたが、ダンジョンに結界とは初めて聞きました。」
ディビットの答えに一同に落胆の色が見えた。
「しかし・・・当てがないわけではありません。
適任者がおります。
彼もダンジョンについては興味がある事でしょう。」
ディビットの提案を藁をも掴む思いでアッサム王は了承したのであった。
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