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旅路〜ダグスク〜
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「うっぷ。」
顔を青白くしているイオリを家族は心配した顔で見守っていた。
『ヒューゴが悪いよ。
楽しそうにしてたのに気付かせちゃったんだから。』
「うっ・・・すまん。」
呆れるゼンにヒューゴは困り顔で謝った。
「イオリ大丈夫?
酔い止め飲む?」
スコルは腰バックから酔い止めのポーションを出しイオリに差し出した。
「・・・ありがとう。
でも、ポーションにばかり頼ってちゃダメだよね。」
イオリは一気に飲み干すとベットに横になった。
「とりあえず、テントを立てよう。
部屋の隅なら邪魔にならないし、テントの中ならイオリも平気だろう。」
子供達はいそいそとテントを設置し、イオリを放り込んだ。
「これで、イオリは安全だね。
ヒューゴ。探検して来ていい?」
スコルが言った探検の言葉にパティもナギもニナも瞳を輝かせた。
「アウラも一緒にな。
ただし、さっき言われた船底はダメだ。
危険な事はイオリが許さないぞ。
それに、働いてる人達の邪魔をするのもダメだぞ。」
「「「「了解!!」」」」
元気よく部屋を出て行った子供達に微笑むとヒューゴもまた部屋を後にする。
「ゼン。
ディビット様のところに行ってくる。
イオリが酔ったと報告しなきゃな。
後を頼む。」
『了解!!
イオリの事なら任せてよ。』
ゼンがテントに潜り込むのを確認するとヒューゴは部屋を出た。
部屋の前には騎士が護衛をしている。
ヒューゴが声をかけると扉を開けてくれた。
「おっ。
ヒューゴじゃん。
部屋どうだった?」
窓辺に立ち海を除いていたロジャーがご機嫌に手を振った。
「申し分ないです。
でも、イオリが酔っちゃいました。」
「あちゃー。
馬車だけじゃなく船もダメか・・・。
ぷぷっ。」
残念というにはロジャーは顔の笑みを隠さない。
イオリが乗り物に弱い事が可笑しくて仕方ないらしい。
「そうか。
酔い止めなど用意させよう。」
逆にディビットは眉を下げて心配そうだ。
「今、酔い止めを飲み終えました。
部屋にテントを設置させて頂きました。
テントの中ならイオリを守ってくれますから。」
「なるほど。
そんな使い方もできるのか。
それなら“デザリア”までなんとかなりそうだな。」
安堵するディビットにヒューゴが頷いた。
「アレックスさんは何処です?」
ロジャーは肩を竦めて苦笑した。
「探検に行った。
使節船なんて、人生で乗る事ないからね。
楽しくってしょうがないらしい。」
「意外ですね。
そういうのは、ロジャーさんの方が好きなんだと思っていました。」
「でしょ?
俺もそう思ってた。
今回はアレックスのテンションが異常に高かったから、先手を譲ったわけ。
まぁ、“デザリア”まで時間はたっぷりあるってね。
子供達は??」
「・・・探検しに行きました。」
ヒューゴが気まずそうに言うと、ロジャーは呆れながらも可笑そうに肩を揺らした。
「アレックス。
アイツ・・・子供と一緒かよ。」
船の旅は始まったばかり、山育ちで船など人生で乗った事もないイオリにとって未知の世界である。
順風にスタートした旅も問題は付きもの。
それすら忘れ、イオリはゼンに寄り添われて眠りに付くのだった。
顔を青白くしているイオリを家族は心配した顔で見守っていた。
『ヒューゴが悪いよ。
楽しそうにしてたのに気付かせちゃったんだから。』
「うっ・・・すまん。」
呆れるゼンにヒューゴは困り顔で謝った。
「イオリ大丈夫?
酔い止め飲む?」
スコルは腰バックから酔い止めのポーションを出しイオリに差し出した。
「・・・ありがとう。
でも、ポーションにばかり頼ってちゃダメだよね。」
イオリは一気に飲み干すとベットに横になった。
「とりあえず、テントを立てよう。
部屋の隅なら邪魔にならないし、テントの中ならイオリも平気だろう。」
子供達はいそいそとテントを設置し、イオリを放り込んだ。
「これで、イオリは安全だね。
ヒューゴ。探検して来ていい?」
スコルが言った探検の言葉にパティもナギもニナも瞳を輝かせた。
「アウラも一緒にな。
ただし、さっき言われた船底はダメだ。
危険な事はイオリが許さないぞ。
それに、働いてる人達の邪魔をするのもダメだぞ。」
「「「「了解!!」」」」
元気よく部屋を出て行った子供達に微笑むとヒューゴもまた部屋を後にする。
「ゼン。
ディビット様のところに行ってくる。
イオリが酔ったと報告しなきゃな。
後を頼む。」
『了解!!
イオリの事なら任せてよ。』
ゼンがテントに潜り込むのを確認するとヒューゴは部屋を出た。
部屋の前には騎士が護衛をしている。
ヒューゴが声をかけると扉を開けてくれた。
「おっ。
ヒューゴじゃん。
部屋どうだった?」
窓辺に立ち海を除いていたロジャーがご機嫌に手を振った。
「申し分ないです。
でも、イオリが酔っちゃいました。」
「あちゃー。
馬車だけじゃなく船もダメか・・・。
ぷぷっ。」
残念というにはロジャーは顔の笑みを隠さない。
イオリが乗り物に弱い事が可笑しくて仕方ないらしい。
「そうか。
酔い止めなど用意させよう。」
逆にディビットは眉を下げて心配そうだ。
「今、酔い止めを飲み終えました。
部屋にテントを設置させて頂きました。
テントの中ならイオリを守ってくれますから。」
「なるほど。
そんな使い方もできるのか。
それなら“デザリア”までなんとかなりそうだな。」
安堵するディビットにヒューゴが頷いた。
「アレックスさんは何処です?」
ロジャーは肩を竦めて苦笑した。
「探検に行った。
使節船なんて、人生で乗る事ないからね。
楽しくってしょうがないらしい。」
「意外ですね。
そういうのは、ロジャーさんの方が好きなんだと思っていました。」
「でしょ?
俺もそう思ってた。
今回はアレックスのテンションが異常に高かったから、先手を譲ったわけ。
まぁ、“デザリア”まで時間はたっぷりあるってね。
子供達は??」
「・・・探検しに行きました。」
ヒューゴが気まずそうに言うと、ロジャーは呆れながらも可笑そうに肩を揺らした。
「アレックス。
アイツ・・・子供と一緒かよ。」
船の旅は始まったばかり、山育ちで船など人生で乗った事もないイオリにとって未知の世界である。
順風にスタートした旅も問題は付きもの。
それすら忘れ、イオリはゼンに寄り添われて眠りに付くのだった。
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