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旅路〜ダグスク〜
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アレックスはイオリ達にも分かりやすい様に説明をした。
「フィルディナンド・クロス伯爵は領地持ちでないダグスクの貴族なんだが、一年の大半を海で過ごされている。
今でこそ、平和な世の中だがザックス・ヒル将軍の様に国防の要が存在するだろう?
クロス伯爵も同じく海を守る事に命をかけておられる。
で、陸の守護者が将軍と呼ばれているのだから自分も何か欲しいと陛下に強請られた。
陛下は悩まれたそうだ。
ザックス・ヒル将軍は仮にも軍のトップだ。
将軍というのも陛下が与えた立派な役職だろう?
でも、クロス伯爵は船が好きで海に出ている一貴族に過ぎない。
物好きに称号は与えられんだろう?
だから、陛下は渾名で“閣下”と言われたんだ。
クロス伯爵は大層気に入られたらしい。
目上の人間だろうと陛下が与えられた渾名だ。
瞬く間に浸透してな。
今じゃ、誰もが閣下と呼ぶ。
だから、お前らも気にせずに閣下と呼ぶと良い。
喜ばれるだろうからな。」
そんな理由で呼び名が決まったのかと、引いていたのはイオリだけではなかった様だ。
ヒューゴも顔を引き攣らせていた。
ディビットは知っていたのだろう。
アレックスが話し始めると笑い出した。
「クロス伯爵の船好きは有名な話だ。
自身も財産や家財を売り払い、大型船を購入されて邸宅として利用しているんだそうだ。
奥方も巻き込んでの大騒動と王都でも話題になっていた。
今回、使節船の船長を頼むと快諾された理由も《使節船の船長になってみたかった。》
と言われたそうだ。
面白い人だろう?」
ディビットがここまで笑うのは珍しい。
それだけ、クロス伯爵という人物が稀有な人だという事だろう。
ゼンが警戒をしないのだから悪い人でない事は分かる。
ただ、ザックス・ヒルが引き合いに出て来た時点で、イオリは強烈なキャラを覚悟していた。
「ディビット殿下はこちらをお使いください。
皆様は向かいのお部屋をご用意いたしました。」
騎士に案内されたディビットの部屋はこじんまりとしているが、息苦しさもなくベットルームとリビングの2部屋続きだった。
「船は狭いのでご容赦を。」
そう伝える騎士にディビットは首を横に振った。
「十分です。
この使節船は歴史ある船です。
作られた時のままだと聞きます。
私にはその方が価値がある。
旅中は色々とみて回るつもりです。」
やはり、学者気質の第2王子だ。
歴史と聞いて興味が尽きないのだろう。
イオリ達はディビットをアレックス達に任せ、自分達の部屋に向かった。
ワンルームにベットが並ぶだけの部屋は家族6人と従魔3匹には狭く感じる。
それでもイオリは十分だと嬉しそうに部屋に入った。
「お食事は基本的にはいつでも食堂でご用意します。
お怪我などは救護室にて治療が受けられます。
お好きな場所に行かれても構いませんが、船底は浮力の関係上危険な為にご遠慮ください。」
騎士は説明をするとディビットの元へと帰っていった。
「狭いけど、いいね。
窓からは海が見えるよ。」
開かない窓を覗くと子供達も我先にと覗く。
「まぁ、過ごせなくはないから構わないんだがテントを出さないか?」
突然のヒューゴの提案にイオリは目を白黒させた。
「良いですよ。やっぱり広い方が良かったですか?」
ヒューゴは肩を竦めるとなんとも言えない顔をした。
「それもそうだが・・・絶対にお前、酔うだろう?」
「あっ・・・。」
自分の馬車以外で乗り物酔いをする自分の未来を予想するヒューゴにイオリは同じようになんとも言えない顔をするのだった。
「フィルディナンド・クロス伯爵は領地持ちでないダグスクの貴族なんだが、一年の大半を海で過ごされている。
今でこそ、平和な世の中だがザックス・ヒル将軍の様に国防の要が存在するだろう?
クロス伯爵も同じく海を守る事に命をかけておられる。
で、陸の守護者が将軍と呼ばれているのだから自分も何か欲しいと陛下に強請られた。
陛下は悩まれたそうだ。
ザックス・ヒル将軍は仮にも軍のトップだ。
将軍というのも陛下が与えた立派な役職だろう?
でも、クロス伯爵は船が好きで海に出ている一貴族に過ぎない。
物好きに称号は与えられんだろう?
だから、陛下は渾名で“閣下”と言われたんだ。
クロス伯爵は大層気に入られたらしい。
目上の人間だろうと陛下が与えられた渾名だ。
瞬く間に浸透してな。
今じゃ、誰もが閣下と呼ぶ。
だから、お前らも気にせずに閣下と呼ぶと良い。
喜ばれるだろうからな。」
そんな理由で呼び名が決まったのかと、引いていたのはイオリだけではなかった様だ。
ヒューゴも顔を引き攣らせていた。
ディビットは知っていたのだろう。
アレックスが話し始めると笑い出した。
「クロス伯爵の船好きは有名な話だ。
自身も財産や家財を売り払い、大型船を購入されて邸宅として利用しているんだそうだ。
奥方も巻き込んでの大騒動と王都でも話題になっていた。
今回、使節船の船長を頼むと快諾された理由も《使節船の船長になってみたかった。》
と言われたそうだ。
面白い人だろう?」
ディビットがここまで笑うのは珍しい。
それだけ、クロス伯爵という人物が稀有な人だという事だろう。
ゼンが警戒をしないのだから悪い人でない事は分かる。
ただ、ザックス・ヒルが引き合いに出て来た時点で、イオリは強烈なキャラを覚悟していた。
「ディビット殿下はこちらをお使いください。
皆様は向かいのお部屋をご用意いたしました。」
騎士に案内されたディビットの部屋はこじんまりとしているが、息苦しさもなくベットルームとリビングの2部屋続きだった。
「船は狭いのでご容赦を。」
そう伝える騎士にディビットは首を横に振った。
「十分です。
この使節船は歴史ある船です。
作られた時のままだと聞きます。
私にはその方が価値がある。
旅中は色々とみて回るつもりです。」
やはり、学者気質の第2王子だ。
歴史と聞いて興味が尽きないのだろう。
イオリ達はディビットをアレックス達に任せ、自分達の部屋に向かった。
ワンルームにベットが並ぶだけの部屋は家族6人と従魔3匹には狭く感じる。
それでもイオリは十分だと嬉しそうに部屋に入った。
「お食事は基本的にはいつでも食堂でご用意します。
お怪我などは救護室にて治療が受けられます。
お好きな場所に行かれても構いませんが、船底は浮力の関係上危険な為にご遠慮ください。」
騎士は説明をするとディビットの元へと帰っていった。
「狭いけど、いいね。
窓からは海が見えるよ。」
開かない窓を覗くと子供達も我先にと覗く。
「まぁ、過ごせなくはないから構わないんだがテントを出さないか?」
突然のヒューゴの提案にイオリは目を白黒させた。
「良いですよ。やっぱり広い方が良かったですか?」
ヒューゴは肩を竦めるとなんとも言えない顔をした。
「それもそうだが・・・絶対にお前、酔うだろう?」
「あっ・・・。」
自分の馬車以外で乗り物酔いをする自分の未来を予想するヒューゴにイオリは同じようになんとも言えない顔をするのだった。
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