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旅路〜ダグスク〜
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再会に和やかな雰囲気の中、ロジャーがドカッとソファーに座った。
「ねー。オーウェン。
お嫁ちゃんと姫ちゃんは?」
「フフフ。
今頃、どんなおしゃぶりにするか争っているんじゃないかな?
最近、娘は好き嫌いが出始めたようでね。
妻やメイドが選んだ服も気に入らなければ嫌がるんだ。
この間は真っ赤なリボンを放り投げていたよ。」
思い出したように微笑むオーウェンにロジャーはゲラゲラ笑い出した。
「いいねー。
お転婆な子、俺好きだよ。」
「お子さんが産まれたんですよね。
おめでとうございます。」
イオリが祝うとオーウェンは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「ありがとうございます。
全てはイオリさんに出会った、あの時に変わったと思っています。
感謝しようもありません。」
「いいえ。
オーウェンさんの努力したからですよ。」
イオリは三年前と変わらぬ真面目なオーウェンの姿に頬を緩めた。
「オーウェン。
各地で聞かれるオンリール関連の被害ははないか?」
アレックスが尋ねるとオーウェンは頷いた。
「塩の生成方法を探る連中が現れたが、騎士団が捕縛した。
他にも、エナ達の乾物が狙われたがグラトニー商会が対処したよ。
俺がわざわざ出る幕もなく、街中で守り合っていたよ。」
「ダグスクの根性を舐めんなよ。
街は皆んなで守んだ。」
苦笑するオーウェンに街育ちにロジャーが胸を張っていた。
「エナばあちゃんはお健在ですか?」
「えぇ、今や乾物はダグスクの隠れた特産ですからね。
国王陛下も御用達と聞けば、使用方法と品物を求めて各地からエナに会いに商人や料理人がやって来るそうです。
何でも大師匠と崇められているそうですよ。」
「あははは。
きっと面倒臭そうな顔をしているんでしょうね。
まぁ、テンさんとディスさんがいるから大丈夫でしょうが。」
「息子のテンと孫のディスですね。
えぇ、グラトニーの力を借りて商会を作り頑張っているそうです。
どうぞ、会いに行ってやってください。」
「是非。」
互いの現状報告をして和やかな時間を過ごしている時だった。
「失礼します。
貴方、お客様のご到着と聞きまして御挨拶に参りました。」
そこに可愛らしい女性が小さな赤ちゃんを大切そうに抱いてやってきた。
「リサ。
イオリさん御一家だ。
イオリさん。
妻のリサと娘のシノです。」
イオリはハッとして微笑むオーウェンとリサ、そして小さな赤ちゃんを交互に見た。
「先の英雄を生涯支えた女性から名を貰いました。
ダグスクの街に困難が訪れようとも、耐え凌ぎ領民を守ってくれるように願って。」
オーウェンの言葉にロジャーが頬を膨らませた。
「なんだ~。
やっぱり、意味あるじゃん。
何度聞いても教えてくれなかったのに・・・。」
「先の英雄とは国の礎に携わった遥か昔にいた“神の愛し子様”の事だろう?」
ロジャーに続きアレックスが問いかけた。
「ふふふ。
そうだよ。」
含みのあるオーウェンの笑顔に2人は、それ以上何も言わなかった。
そんな中、イオリは妻リサに抱かれている赤ちゃんをジッと見つめていた。
「・・・シノ。
そうですか。
・・・良い名前です。
抱かせていただいても?」
「勿論です。
お願いします。」
リサは嬉しそうにイオリに赤ちゃんを差し出した。
当初こそ泣きそうな顔をした赤ちゃんであったが、イオリの顔を見るなりキョトンとした顔をしてはジッと見上げていた。
「そうか。
シノちゃんか。
産まれてきてくれて有難う。
どうか、君の人生が愛で溢れますように。」
時が経って、この時の様子を見ていた周りの人間達は壊れ物を扱うように抱きしめるイオリと落ち着いて抱かれているシノの姿が光に包まれている・・・様な気がした。
と言っては、酒を交わしながら不思議がるのだった。
「ねー。オーウェン。
お嫁ちゃんと姫ちゃんは?」
「フフフ。
今頃、どんなおしゃぶりにするか争っているんじゃないかな?
最近、娘は好き嫌いが出始めたようでね。
妻やメイドが選んだ服も気に入らなければ嫌がるんだ。
この間は真っ赤なリボンを放り投げていたよ。」
思い出したように微笑むオーウェンにロジャーはゲラゲラ笑い出した。
「いいねー。
お転婆な子、俺好きだよ。」
「お子さんが産まれたんですよね。
おめでとうございます。」
イオリが祝うとオーウェンは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「ありがとうございます。
全てはイオリさんに出会った、あの時に変わったと思っています。
感謝しようもありません。」
「いいえ。
オーウェンさんの努力したからですよ。」
イオリは三年前と変わらぬ真面目なオーウェンの姿に頬を緩めた。
「オーウェン。
各地で聞かれるオンリール関連の被害ははないか?」
アレックスが尋ねるとオーウェンは頷いた。
「塩の生成方法を探る連中が現れたが、騎士団が捕縛した。
他にも、エナ達の乾物が狙われたがグラトニー商会が対処したよ。
俺がわざわざ出る幕もなく、街中で守り合っていたよ。」
「ダグスクの根性を舐めんなよ。
街は皆んなで守んだ。」
苦笑するオーウェンに街育ちにロジャーが胸を張っていた。
「エナばあちゃんはお健在ですか?」
「えぇ、今や乾物はダグスクの隠れた特産ですからね。
国王陛下も御用達と聞けば、使用方法と品物を求めて各地からエナに会いに商人や料理人がやって来るそうです。
何でも大師匠と崇められているそうですよ。」
「あははは。
きっと面倒臭そうな顔をしているんでしょうね。
まぁ、テンさんとディスさんがいるから大丈夫でしょうが。」
「息子のテンと孫のディスですね。
えぇ、グラトニーの力を借りて商会を作り頑張っているそうです。
どうぞ、会いに行ってやってください。」
「是非。」
互いの現状報告をして和やかな時間を過ごしている時だった。
「失礼します。
貴方、お客様のご到着と聞きまして御挨拶に参りました。」
そこに可愛らしい女性が小さな赤ちゃんを大切そうに抱いてやってきた。
「リサ。
イオリさん御一家だ。
イオリさん。
妻のリサと娘のシノです。」
イオリはハッとして微笑むオーウェンとリサ、そして小さな赤ちゃんを交互に見た。
「先の英雄を生涯支えた女性から名を貰いました。
ダグスクの街に困難が訪れようとも、耐え凌ぎ領民を守ってくれるように願って。」
オーウェンの言葉にロジャーが頬を膨らませた。
「なんだ~。
やっぱり、意味あるじゃん。
何度聞いても教えてくれなかったのに・・・。」
「先の英雄とは国の礎に携わった遥か昔にいた“神の愛し子様”の事だろう?」
ロジャーに続きアレックスが問いかけた。
「ふふふ。
そうだよ。」
含みのあるオーウェンの笑顔に2人は、それ以上何も言わなかった。
そんな中、イオリは妻リサに抱かれている赤ちゃんをジッと見つめていた。
「・・・シノ。
そうですか。
・・・良い名前です。
抱かせていただいても?」
「勿論です。
お願いします。」
リサは嬉しそうにイオリに赤ちゃんを差し出した。
当初こそ泣きそうな顔をした赤ちゃんであったが、イオリの顔を見るなりキョトンとした顔をしてはジッと見上げていた。
「そうか。
シノちゃんか。
産まれてきてくれて有難う。
どうか、君の人生が愛で溢れますように。」
時が経って、この時の様子を見ていた周りの人間達は壊れ物を扱うように抱きしめるイオリと落ち着いて抱かれているシノの姿が光に包まれている・・・様な気がした。
と言っては、酒を交わしながら不思議がるのだった。
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