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旅路〜王都〜
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「ポーションは持ったか?
食べ物や飲み物は十分か?」
「・・・イオリ達にはソルがいます。
食べ物はイベントリだけでなく、冷蔵庫や冷凍庫にも詰め込みましたし、イオリには無限に出る水筒があります。」
「本当に、もう行くのか?
あと1日・・・いや1週間。
せめて1ヶ月先でも良いのだぞ?」
「先方にも連絡を入れているのです。
1ヶ月って・・・。
何故、どんどん伸ばすのです。
早くいけば行くほど、イオリにとっては安心でしょう。
ほら、離してください。」
名残惜しい国王アルフレッドに冷たい宰相グレンの姿にイオリは苦笑した。
今もアルフレッドは小さなニナを抱き上げ、決して離さないとばかりに首を振る。
「アルちゃん。
寂しくないよいうに、おまじない。」
ニナの手がアルフレッドの首に回されギュッと抱きついた。
3年前には小さい上に痩せ、声を失っていた少女の成長にアルフレッドは微笑んだ。
「ニナ。
再び会う時には、もっと大きくなっているのだろうな。
ワシは楽しみに待っているぞ。」
「うん!
みんな一緒!」
アルフレッドから降りるとニナはヒューゴに抱きついた。
「バイバイ!」
ニナが小さな手を振るとヒューゴは頭を深く下げた。
「行ってきます。」
「イオリや子供達を頼む。」
そんなヒューゴに王太子ギルバートが肩を叩いた。
「はい。
お任せ下さい。
その為の3年です。」
ヒューゴの言葉にギルバートは満足そうだった。
「ギル。
オーブリーは?」
パティが探す様にキョロキョロと首を動かした。
そんなパティにギルバートは眉を下げた。
「すまんな。
仕事で街外へ行っている。
こんな時でも真面目なんだ。
与えられた任務を放棄は出来ない女性でな。
・・・パティはオーブリーが好きか?」
「うん!
パティね。
強い女の人が好き!
オーブリーはパティの憧れだよ。」
ニッコリするパティにギルバートは目を緩めた。
「そうか。
私もだ。
伝えておくよ。
ありがとう。」
「エヘヘ」と照れるパティをスコルが引っ張った。
「パティがオーブリーが目標なら、俺はザックス・ヒル将軍を目指そうかな。」
それには、大人達が慌てて止めた。
「「「「絶対に駄目だ!」」」」
するとスコルはケラケラと笑った。
「アハハハ!分かってるよ。
どう頑張ってもゴリマッチョにはなれないもん。
俺はイオリの俊敏さとヒューゴのパワーを持った剣士になるんだ。」
胸を張るスコルに宰相グレンは安心した様だった。
「あんな、脳筋は1人で十分です。
貴方は賢いのです。
その年で自分の戦い方が分かっているのですから。
どうか弟と妹達の見本におなりなさい。」
「うん。
俺は長男だからね。」
長男としての自覚があるスコルにイオリは微笑んだ。
横を見るとココ・リードがナギの前にしゃがんでいた。
「これは海の向こうに生息する植物の図鑑ですよ。
ナギちゃんの役に立つでしょうか?
持って行って下さい。」
「いいの?!
ありがとう!
海の向こうの子達と会えるのも楽しみなんだ。
ココちゃん!絶対に読むよ!」
ココはナギの煌めく薄緑の髪を優しく撫でた。
「喜んでもらえて良かった。
でも、本に夢中になってご飯を食べないなんて事がないようにね。」
すると第2王子ディビットがココの肩に手を置いた。
「それはココの事でしょう?
本に夢中になると周りが見えないんだから。」
婚約者の告発にココは顔を赤らめてナギと肩をすくめて微笑んだ。
ナギは内緒話をするようにココの耳に近づいた。
「ちゃんとご飯を食べるよ。
でも、時々怒られちゃうかも。」
「分かります。
でも、イオリさんのご飯は美味しいから。
忘れる事なんてありませんよ。」
本大好き同士の話は尽きない。
「それじゃ、行きます。
お世話になりました。」
イオリがソルが乗った頭を下げるとヒューゴや子供達も同じく頭を下げた。
「うむ。
達者でな。
連絡はマメにな。
テオルドも心配する。」
「はい。
・・・忘れなかったら。」
「だから、忘れるなと言うとるに!!
まったく・・・其方は。
しっかりとしているかと思えば、大概が天然で抜けておるからな。
“デザリア”の王は豪快で大らかな男だ。
まず大丈夫かと思うが、事は国の外だ。
気を引き締めよ。」
「はい。
それでは!」
「「「「行ってきま~す!!」」」」
「ヒヒン!」
「失礼します。」
イオリ達が歩き出すと国王アルフレッドは溜息を吐いた。
「・・・本当に大丈夫か?」
『大丈夫だよ。
イオリには僕が付いてるもん。』
残っていたゼンがアルフレッドを見上げていた。
「神獣フェンリル。
どうか、我らの愛し子を頼む。
イオリは“神の愛し子”と言うだけでなく、今や我らにとっとも愛し子だ。」
『フフフ。
それを聞いたら、リュオン様も喜ぶと思うよ。
任せて、僕はイオリの相棒だからね。』
そう言うと、ゼンは主人を追いかけるように走り出した。
「どうか・・・彼らの行く先の災いが、少しでも和らぎますように。」
「大丈夫よ。
あの子達なら・・・全員揃って笑顔で帰ってくるわ。」
祈るアルフレッドの手を王妃シシリアが握りしめた。
食べ物や飲み物は十分か?」
「・・・イオリ達にはソルがいます。
食べ物はイベントリだけでなく、冷蔵庫や冷凍庫にも詰め込みましたし、イオリには無限に出る水筒があります。」
「本当に、もう行くのか?
あと1日・・・いや1週間。
せめて1ヶ月先でも良いのだぞ?」
「先方にも連絡を入れているのです。
1ヶ月って・・・。
何故、どんどん伸ばすのです。
早くいけば行くほど、イオリにとっては安心でしょう。
ほら、離してください。」
名残惜しい国王アルフレッドに冷たい宰相グレンの姿にイオリは苦笑した。
今もアルフレッドは小さなニナを抱き上げ、決して離さないとばかりに首を振る。
「アルちゃん。
寂しくないよいうに、おまじない。」
ニナの手がアルフレッドの首に回されギュッと抱きついた。
3年前には小さい上に痩せ、声を失っていた少女の成長にアルフレッドは微笑んだ。
「ニナ。
再び会う時には、もっと大きくなっているのだろうな。
ワシは楽しみに待っているぞ。」
「うん!
みんな一緒!」
アルフレッドから降りるとニナはヒューゴに抱きついた。
「バイバイ!」
ニナが小さな手を振るとヒューゴは頭を深く下げた。
「行ってきます。」
「イオリや子供達を頼む。」
そんなヒューゴに王太子ギルバートが肩を叩いた。
「はい。
お任せ下さい。
その為の3年です。」
ヒューゴの言葉にギルバートは満足そうだった。
「ギル。
オーブリーは?」
パティが探す様にキョロキョロと首を動かした。
そんなパティにギルバートは眉を下げた。
「すまんな。
仕事で街外へ行っている。
こんな時でも真面目なんだ。
与えられた任務を放棄は出来ない女性でな。
・・・パティはオーブリーが好きか?」
「うん!
パティね。
強い女の人が好き!
オーブリーはパティの憧れだよ。」
ニッコリするパティにギルバートは目を緩めた。
「そうか。
私もだ。
伝えておくよ。
ありがとう。」
「エヘヘ」と照れるパティをスコルが引っ張った。
「パティがオーブリーが目標なら、俺はザックス・ヒル将軍を目指そうかな。」
それには、大人達が慌てて止めた。
「「「「絶対に駄目だ!」」」」
するとスコルはケラケラと笑った。
「アハハハ!分かってるよ。
どう頑張ってもゴリマッチョにはなれないもん。
俺はイオリの俊敏さとヒューゴのパワーを持った剣士になるんだ。」
胸を張るスコルに宰相グレンは安心した様だった。
「あんな、脳筋は1人で十分です。
貴方は賢いのです。
その年で自分の戦い方が分かっているのですから。
どうか弟と妹達の見本におなりなさい。」
「うん。
俺は長男だからね。」
長男としての自覚があるスコルにイオリは微笑んだ。
横を見るとココ・リードがナギの前にしゃがんでいた。
「これは海の向こうに生息する植物の図鑑ですよ。
ナギちゃんの役に立つでしょうか?
持って行って下さい。」
「いいの?!
ありがとう!
海の向こうの子達と会えるのも楽しみなんだ。
ココちゃん!絶対に読むよ!」
ココはナギの煌めく薄緑の髪を優しく撫でた。
「喜んでもらえて良かった。
でも、本に夢中になってご飯を食べないなんて事がないようにね。」
すると第2王子ディビットがココの肩に手を置いた。
「それはココの事でしょう?
本に夢中になると周りが見えないんだから。」
婚約者の告発にココは顔を赤らめてナギと肩をすくめて微笑んだ。
ナギは内緒話をするようにココの耳に近づいた。
「ちゃんとご飯を食べるよ。
でも、時々怒られちゃうかも。」
「分かります。
でも、イオリさんのご飯は美味しいから。
忘れる事なんてありませんよ。」
本大好き同士の話は尽きない。
「それじゃ、行きます。
お世話になりました。」
イオリがソルが乗った頭を下げるとヒューゴや子供達も同じく頭を下げた。
「うむ。
達者でな。
連絡はマメにな。
テオルドも心配する。」
「はい。
・・・忘れなかったら。」
「だから、忘れるなと言うとるに!!
まったく・・・其方は。
しっかりとしているかと思えば、大概が天然で抜けておるからな。
“デザリア”の王は豪快で大らかな男だ。
まず大丈夫かと思うが、事は国の外だ。
気を引き締めよ。」
「はい。
それでは!」
「「「「行ってきま~す!!」」」」
「ヒヒン!」
「失礼します。」
イオリ達が歩き出すと国王アルフレッドは溜息を吐いた。
「・・・本当に大丈夫か?」
『大丈夫だよ。
イオリには僕が付いてるもん。』
残っていたゼンがアルフレッドを見上げていた。
「神獣フェンリル。
どうか、我らの愛し子を頼む。
イオリは“神の愛し子”と言うだけでなく、今や我らにとっとも愛し子だ。」
『フフフ。
それを聞いたら、リュオン様も喜ぶと思うよ。
任せて、僕はイオリの相棒だからね。』
そう言うと、ゼンは主人を追いかけるように走り出した。
「どうか・・・彼らの行く先の災いが、少しでも和らぎますように。」
「大丈夫よ。
あの子達なら・・・全員揃って笑顔で帰ってくるわ。」
祈るアルフレッドの手を王妃シシリアが握りしめた。
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