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旅路〜王都〜
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昔。昔。火に愛された国に1匹のドラゴンがいました。
静かに眠る事が大好きなドラゴンは1年に1度、大嫌いな日があります。
それは一日中ドンドコ ドンドコと鳴り響く人間のお祭りの日です。
今年もその日が近づいてきました。
『あー。嫌だ。嫌だ。
毎年、この位になると五月蝿くて敵わないんだよ。
そうだ。
今の内に邪魔してやろう。
そうすれば祭りとやらも、やらずに済むだろう。』
意地悪な事を思いついたドラゴンは浸かっていた火の川から起き上がり、山から降りようと一歩踏み出しました。
その時です。
『痛い!!
いでででででででで!!』
ドラゴンの足に激痛が走ったのです。
『なんだ?
どうした?
痛い!
痛い!』
ドラゴンは、今まで感じた事のない痛みに泣きはじめました。
『痛い!痛いよ!』
ドラゴンは地団駄を踏み、痛みを和らげようとします。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドラゴンの地団駄は大地を揺らしました。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドラゴンが痛みと戦っていたその時です。
「お~い。泣いているのは誰だい?」
小さな声が聞こえました。
『痛い!痛いよ!』
ドラゴンは地団駄を踏みます。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
「お~い。
誰だか知らないけど、泣くのはおよしよ。
山が揺れているよ。
オイラの羊が怯えているんだ。」
小さな声にドラゴンは答えました。
『そんな事言ったって、痛いんだ。
足が痛いんだよ。』
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
小さな声は答えます。
「そいつは大変だ。
オイラが直してやろうか?
見せてごらん。
だから、暴れるのはやめとくれよ。」
『分かったよ。
だから、足の痛みを取ってくれよ。』
「待っておくれ。
今、行くから。」
それから、しばらくたってから1人の少年がドラゴンの前に現れました。
「おや、ドラゴンさん。
一体、どうしたって言うんだい?」
『痛いんだ。
足が痛くて、こんな事初めてなんだ!』
「こっちの足だね?
おや、棘が刺さっているよ。
これなら、オイラが抜いてあげるよ。」
ドラゴンが差し出す足を覗き、少年は棘を見つけた。
ドラゴンの大きな足によじ登り、件を棘を引っ張りました。
「これでどうだい?」
『あ~。痛くない。
これで痛くないよ。
人間の童。ありがとう。』
少年は満足そうに微笑むと、ドラゴンを見上げた。
「一体、どうして棘なんて刺さったんだい?
ドラゴンの皮膚は硬いはずだろう?」
ドラゴンは恥ずかしそうに言いました。
『毎年、この時期になると五月蝿いから邪魔してやろうと思って川から上がったんだ。
罰が当ったんだね。神様に怒られたんだよ。』
「何だ~。
ドラゴンさんは祭りが嫌いなのかい?
祭りは一年に一度の収穫祭だよ。
今年も食べさせてくれて有難うございます。
って、神様にお礼をするんだ。」
『神様にお礼か・・・。
だから、神様は怒ったんだね。
ごめんなさい。』
「ドラゴンさんも1人で山に篭ってないで、一緒に祭りを楽しもうよ。
そうしたら、五月蝿いなんて気にならないさ。」
『良いのかい?
だって邪魔しようとしたんだよ?』
「もう、罰は受けたんだろう?
だったら、良いじゃないか。
オイラが村の皆んなに伝えておくよ。
一緒に祭りを楽しもう。」
こうして、帰った羊飼いの少年の言葉を村人は快く受け入れました。
ドラゴンに酒や収穫した野菜を振る舞ったのです。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドラゴンは初めてのお祭りを大いに楽しみました。
大嫌いだった太鼓の音に首を振って音頭を取り、村人と一緒に大笑いです。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
人の楽しみを邪魔しようとして、罰が当たったドラゴンは反省して謝りました。
ドラゴンの謝罪を受け入れた人間達とも仲良くなり、一年に一度のお祭りが大好きになったのです。
年月が経ち、今もドラゴンはお祭りを楽しみにしています。
今年も鳴り響く太鼓の音を
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
おしまい。
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昔。昔。火に愛された国に1匹のドラゴンがいました。
静かに眠る事が大好きなドラゴンは1年に1度、大嫌いな日があります。
それは一日中ドンドコ ドンドコと鳴り響く人間のお祭りの日です。
今年もその日が近づいてきました。
『あー。嫌だ。嫌だ。
毎年、この位になると五月蝿くて敵わないんだよ。
そうだ。
今の内に邪魔してやろう。
そうすれば祭りとやらも、やらずに済むだろう。』
意地悪な事を思いついたドラゴンは浸かっていた火の川から起き上がり、山から降りようと一歩踏み出しました。
その時です。
『痛い!!
いでででででででで!!』
ドラゴンの足に激痛が走ったのです。
『なんだ?
どうした?
痛い!
痛い!』
ドラゴンは、今まで感じた事のない痛みに泣きはじめました。
『痛い!痛いよ!』
ドラゴンは地団駄を踏み、痛みを和らげようとします。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドラゴンの地団駄は大地を揺らしました。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドラゴンが痛みと戦っていたその時です。
「お~い。泣いているのは誰だい?」
小さな声が聞こえました。
『痛い!痛いよ!』
ドラゴンは地団駄を踏みます。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
「お~い。
誰だか知らないけど、泣くのはおよしよ。
山が揺れているよ。
オイラの羊が怯えているんだ。」
小さな声にドラゴンは答えました。
『そんな事言ったって、痛いんだ。
足が痛いんだよ。』
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
小さな声は答えます。
「そいつは大変だ。
オイラが直してやろうか?
見せてごらん。
だから、暴れるのはやめとくれよ。」
『分かったよ。
だから、足の痛みを取ってくれよ。』
「待っておくれ。
今、行くから。」
それから、しばらくたってから1人の少年がドラゴンの前に現れました。
「おや、ドラゴンさん。
一体、どうしたって言うんだい?」
『痛いんだ。
足が痛くて、こんな事初めてなんだ!』
「こっちの足だね?
おや、棘が刺さっているよ。
これなら、オイラが抜いてあげるよ。」
ドラゴンが差し出す足を覗き、少年は棘を見つけた。
ドラゴンの大きな足によじ登り、件を棘を引っ張りました。
「これでどうだい?」
『あ~。痛くない。
これで痛くないよ。
人間の童。ありがとう。』
少年は満足そうに微笑むと、ドラゴンを見上げた。
「一体、どうして棘なんて刺さったんだい?
ドラゴンの皮膚は硬いはずだろう?」
ドラゴンは恥ずかしそうに言いました。
『毎年、この時期になると五月蝿いから邪魔してやろうと思って川から上がったんだ。
罰が当ったんだね。神様に怒られたんだよ。』
「何だ~。
ドラゴンさんは祭りが嫌いなのかい?
祭りは一年に一度の収穫祭だよ。
今年も食べさせてくれて有難うございます。
って、神様にお礼をするんだ。」
『神様にお礼か・・・。
だから、神様は怒ったんだね。
ごめんなさい。』
「ドラゴンさんも1人で山に篭ってないで、一緒に祭りを楽しもうよ。
そうしたら、五月蝿いなんて気にならないさ。」
『良いのかい?
だって邪魔しようとしたんだよ?』
「もう、罰は受けたんだろう?
だったら、良いじゃないか。
オイラが村の皆んなに伝えておくよ。
一緒に祭りを楽しもう。」
こうして、帰った羊飼いの少年の言葉を村人は快く受け入れました。
ドラゴンに酒や収穫した野菜を振る舞ったのです。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドラゴンは初めてのお祭りを大いに楽しみました。
大嫌いだった太鼓の音に首を振って音頭を取り、村人と一緒に大笑いです。
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
人の楽しみを邪魔しようとして、罰が当たったドラゴンは反省して謝りました。
ドラゴンの謝罪を受け入れた人間達とも仲良くなり、一年に一度のお祭りが大好きになったのです。
年月が経ち、今もドラゴンはお祭りを楽しみにしています。
今年も鳴り響く太鼓の音を
ドンっ!ドンっ!ドドン!
ドンっ!ドドン!
おしまい。
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