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旅路〜王都〜
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《コイツは何を言っている?
私が父の子ではない・・・?
そんな事。
ありえない!!》
コンタンは怒りに染まった顔でイオリを睨みつけると、暴れ出した。
「黙れ!小僧!!
どこの馬の骨とも分からん、下民が!
私を・・・侮辱するとは許さんぞ!」
汚い言葉で喚くコンタンをイオリは涼しい顔で見下ろした。
「何故、今まで貴方が自身の事を分かっていないのでしょう?
貴族の子なら、一度ならずとも何度か儀式などで自身を調べる機会があるのではないですか?」
「叔父上が!
そこに横たわっている男が、私に儀式を受けさせなかったのだ!
何が家族だ!
自分の懐に入れておいて、貴族としての立場を一縷も許さなかったのだぞ!
この男は温厚な慈悲深い男などではない!!」
コンタンの言葉にイオリは納得したように青白い顔で横たわる老人に目をやった。
「それでいて、学園にも入れず、馬車馬のように働かせ、領地から出すこともなく、私を監視していたのだ!
あははははは!
この男の裏をかいてやった!
グアァァ・・・ウグゥ。」
品なく笑うコンタンをヒューゴが力任せに押さえつけた。
「それ以上、俺の主に汚い言葉を聞かせるな。」
怒りの目をしたヒューゴの顔はコンタンには見えていないだろう。
イオリはヒューゴに優しく微笑んだ。
「恐らく・・・アマンドさんは知っていたのでしょう。
貴方が兄フォダンの子ではない事を。」
コンタンは血走った目を見開いて、暴れるのをやめた。
「それは、本当か?」
国王アルフレッドはイオリに答えを求めるように一歩近づいた。
「多分ですよ。多分。
ポーレットでクリストフさんに聞いた事があるんです。」
イオリが突然、ポーレット公爵家の筆頭執事の名を持ち出し一同は首を捻った。
「貴族は生まれた時と14歳と成人の時に儀式をするって。」
「あぁ、そうだ。
生まれながらのスキルの確認と、学園に入る15歳の前の年に一度、それから成人貴族としての決意の為に儀式を行う。
その際、スキルだけでなく個人情報も国に知られる事になり、情報は管理される。
言わば、貴族の戸籍だな。」
ギルバートの説明にイオリは満足そうに頷いた。
「ほら、やっぱりそうだ。
アマンドさんは最初から知ってたんですよ。
コンタンがオンリールの血筋ではないと!
儀式を受けさせたら、個人情報がバレるんでしょ?
今までは伯爵の甥の立場だったけど、バレたら一般の市民ですよ。」
ハッとしたギルバートは頷いた。
「それに、仕事を押し付けてと言いましたが、学園に行く代わりに領地経営を教え込んでいたのではないですか?
いつか自分が死んだ後も幼い孫を助けてくれると信じて。」
「嘘だ!!そんな訳ない!
そいつは、善人を被った非道な男だ!」
信じられないとコンタンは必死に首を振っている。
「・・・コンタンさん。
思い出して下さい。
本当にオンリール伯爵は非道な人ですか?
一度も貴方に笑いかけた事もない?
優しくしてくれた事もない?
そんな人が、血筋でない人間を伯爵家に迎え入れるでしょうか?」
コンタンは呆然とソファに横たわり医療師に介護されている男を見上げた。
叔父と思っていた男。
非道と教えられた男。
教えられた・・・?
次の瞬間、コンタンは思い出した。
初めてあった時、優しくも悲しそうな顔でコンタンの頭を撫でた男。
教えられた事をこなすと、自分の事のように喜ぶ男。
母に叩かれていた頬を優しく撫でた男。
兄弟のように一緒に走り回ったジレの横顔・・・。
「あぁぁぁ・・・あぁぁ。
叔父上・・・叔父上・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
すがるように、這いずるコンタンをイオリは悲しそうな顔で見つめた。
私が父の子ではない・・・?
そんな事。
ありえない!!》
コンタンは怒りに染まった顔でイオリを睨みつけると、暴れ出した。
「黙れ!小僧!!
どこの馬の骨とも分からん、下民が!
私を・・・侮辱するとは許さんぞ!」
汚い言葉で喚くコンタンをイオリは涼しい顔で見下ろした。
「何故、今まで貴方が自身の事を分かっていないのでしょう?
貴族の子なら、一度ならずとも何度か儀式などで自身を調べる機会があるのではないですか?」
「叔父上が!
そこに横たわっている男が、私に儀式を受けさせなかったのだ!
何が家族だ!
自分の懐に入れておいて、貴族としての立場を一縷も許さなかったのだぞ!
この男は温厚な慈悲深い男などではない!!」
コンタンの言葉にイオリは納得したように青白い顔で横たわる老人に目をやった。
「それでいて、学園にも入れず、馬車馬のように働かせ、領地から出すこともなく、私を監視していたのだ!
あははははは!
この男の裏をかいてやった!
グアァァ・・・ウグゥ。」
品なく笑うコンタンをヒューゴが力任せに押さえつけた。
「それ以上、俺の主に汚い言葉を聞かせるな。」
怒りの目をしたヒューゴの顔はコンタンには見えていないだろう。
イオリはヒューゴに優しく微笑んだ。
「恐らく・・・アマンドさんは知っていたのでしょう。
貴方が兄フォダンの子ではない事を。」
コンタンは血走った目を見開いて、暴れるのをやめた。
「それは、本当か?」
国王アルフレッドはイオリに答えを求めるように一歩近づいた。
「多分ですよ。多分。
ポーレットでクリストフさんに聞いた事があるんです。」
イオリが突然、ポーレット公爵家の筆頭執事の名を持ち出し一同は首を捻った。
「貴族は生まれた時と14歳と成人の時に儀式をするって。」
「あぁ、そうだ。
生まれながらのスキルの確認と、学園に入る15歳の前の年に一度、それから成人貴族としての決意の為に儀式を行う。
その際、スキルだけでなく個人情報も国に知られる事になり、情報は管理される。
言わば、貴族の戸籍だな。」
ギルバートの説明にイオリは満足そうに頷いた。
「ほら、やっぱりそうだ。
アマンドさんは最初から知ってたんですよ。
コンタンがオンリールの血筋ではないと!
儀式を受けさせたら、個人情報がバレるんでしょ?
今までは伯爵の甥の立場だったけど、バレたら一般の市民ですよ。」
ハッとしたギルバートは頷いた。
「それに、仕事を押し付けてと言いましたが、学園に行く代わりに領地経営を教え込んでいたのではないですか?
いつか自分が死んだ後も幼い孫を助けてくれると信じて。」
「嘘だ!!そんな訳ない!
そいつは、善人を被った非道な男だ!」
信じられないとコンタンは必死に首を振っている。
「・・・コンタンさん。
思い出して下さい。
本当にオンリール伯爵は非道な人ですか?
一度も貴方に笑いかけた事もない?
優しくしてくれた事もない?
そんな人が、血筋でない人間を伯爵家に迎え入れるでしょうか?」
コンタンは呆然とソファに横たわり医療師に介護されている男を見上げた。
叔父と思っていた男。
非道と教えられた男。
教えられた・・・?
次の瞬間、コンタンは思い出した。
初めてあった時、優しくも悲しそうな顔でコンタンの頭を撫でた男。
教えられた事をこなすと、自分の事のように喜ぶ男。
母に叩かれていた頬を優しく撫でた男。
兄弟のように一緒に走り回ったジレの横顔・・・。
「あぁぁぁ・・・あぁぁ。
叔父上・・・叔父上・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
すがるように、這いずるコンタンをイオリは悲しそうな顔で見つめた。
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