続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜王都〜

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「よしっ!バッチリ!!
 イオリ準備できたよー!」

 パティの掛け声にイオリは立ち上がった。
 部屋から出てきた子供達はお揃いのワンピースやサロペット姿をしていた。

「わぁ。みんな似合ってるよ。
 あれ、スコルは蝶ネクタイしないの?」

 ナギについている紺色の蝶ネクタイを指摘するとスコルは小さい声でモジモジと話す。

「ん?」

「・・・恥ずかしいから。」

「そっか。」

 クスクス笑いながら頭を撫でるとスコルは顔を赤くして横を向いた。

 基本的に普段着はイオリがグラトニー商会に注文した物をパティを中心に選んでいる。
 ニナも女の子だけあって拘りがある。
 ナギは言われた通りに着るが、スコルは違う。
 パティの希望を叶えつつ、嫌な事はパティの気分を害さずに拒否をしていた。
 今日も、蝶ネクタイは嫌だったのだろう。
 サロペット姿で胸元を開けてラフさを感じさせていた。

「イオリとヒューゴはいつもと一緒?」

 どこか不満そうなパティにイオリは苦笑した。

「そうだね。
 俺はこの格好でいいよ。」

「俺も。」

 イオリは戦闘服以外に持っている全身が黒い緩めの服を着ていて、ヒューゴも同じく茶色と深緑の服を着ていた。

 パティとニナは呆れたように首を振っているが、ナギが近くに寄ってきて小さい声で

「2人には一番似合ってるよ。」

 と言ってくれたのに満足する。

「準備が出来ましたら、参りましょう。
 皆さまもお揃いのようでございます。」

 ハミルトンは扉を大きく開けイオリ達を促した。

「よろしくお願いします。
 皆、行くよー。」

「「「「はーい。」」」」

 子供達とアウラがハミルトンについて行き、肩にソルを乗せたイオリの側をゼンが歩き、最後にヒューゴが部屋を出た。

「本日は非公式だけあって、王室の皆様だけのご参加にございます。
 後ほど、宰相グレン・ターナー侯爵も交えて話し合いの場が設けられる事になっております。」

「はい、分かりました。」

 
 案内されたのは、イオリ達が滞在していた部屋よりも奥にあった。
 大きな扉には2人の兵士が立っていた。

「お客様のイオリ様とご家族です。」

 ハミルトンの言葉に兵士は扉を開いた。

 光が差し込む白い部屋に見知った顔が揃っていた。

「おぉ、来たか!
 さぁ、こちらへ。」

 イオリは頭を下げると子供達の背中を押して入った。

「改めまして、お久しぶりです。
 3年前はお世話になりました。
 再び、皆さんにお会いできて嬉しいです。」

 イオリの挨拶に続き、ヒューゴは深々と頭を下げた。
 子供達も頭を下げると、アルフレッドが笑い声を上げた。

「ワハハハ。
 固苦しい挨拶は終わりだ。
 今日とういう日を楽しみにしていたぞ。」

「キャー!みんな揃って可愛いわ。
 さぁ、いらっしゃい。
 私に可愛い笑顔を見せて頂戴。」

 国王に続き王妃であるシシリアが子供達を潰さん限りに抱きしめた。
 子供達もキャッキャッと嬉しそうだ。

「昨日は騒がせて悪かったな。
 眠れたか?」

 王太子であるギルバートが進み出ると、隣に女性がついて来た。

「えぇ、熟睡でした。
 お久しぶりです。オーブリーさん。」

 3年前に王太子の婚約者になったオーブリー・ポートマン公爵令嬢は軍の副官として現在も職を全うしている。
 加え王太子妃として教育を受けているとかで身のこなしは令嬢その者だ。

「お久しぶりです。
 魔の森での暮らしは如何でしたか? 
 興味深い報告を聞いています。
 後で聞かせてください。」

「はい。」

 すると第2王子であるディビットが婚約者であるココ・クラーク伯爵令嬢を連れてやってきた。

「私たちの図書館の話も聞いてくれると嬉しいです。
 ココも再会を楽しみにしていたんですよ。ね?」

「はい。
 ご無事のお戻りに安心しております。」

 イオリはニッコリすると頷いた。

「お久しぶりです。ココさん。
 ポーレットの図書館でも多くの本を見ました。
 是非、お話を聞かせてください。
 我が家には本好きの子がいるので、ココさんに会えるのを楽しみにしていたんですよ。」

 一通りの挨拶が済むと、アルフレッドが声をかけた。

「時間はある。じっくりと話せばいい。
 始めよう。」

 するとメイドや執事が動き出した。
 イオリ達もハミルトンに案内された席に座るのだった。
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