128 / 781
旅路〜王都〜
136
しおりを挟む
「父上!!抜け駆けはダメって言ったではないですか!」
「まったく・・・油断もあったものではないですよ。
お邪魔しますよ。イオリ。」
穏やかな空気を切り裂くような声が響き、イオリ達が驚いて振り向くと2人の王子が仁王立ちしていた。
扉を開け放ち父王を睨みつけていたのは王太子ギルバートと第2王子ディビットだった。
「お前達まで来たのか?
会うのは明日であったろう?
ワシは偶然、子供達と会ったのだ。
イオリ達の元に送り届けたに過ぎん。
だから、良いだの!」
そんな息子達に臆するでもなく、アルフレッドは胸を張った。
「何を偉そうにしてるんです。
だったら、メイドに送らせれば良いでしょうに?
これ幸いにと約束を破ったのでしょう?
分かってますよ!」
腰に手を当てて怒るギルバートにイオリは首を傾げた。
「約束?」
ポンと肩を叩かれ視線を送ると溜息をはいたディビットが首を振っていた。
「イオリ達が王都に来たと聞いて、みんなで喜んでいたんだが、疲れているだろうから今日は休ませようと話し合っていたんです。
明日のランチには私達も参加する予定です。
その時に会う事を楽しみにしていたのに・・・。」
そして父王をディビットは睨みつけた。
「まぁ、良いではないか!
みんなで会えたのだから。
ワハハハ!」
陽気に笑うアルフレッドに2人の王子とハミルトンは諦めの溜息を吐いた。
「ほう。
一度、決めた事を反故にするとは一国の王の姿が聞いて呆れますね。」
次の瞬間、ブリザードが吹き込んできたかの様な声が響き渡った。
目を薄めて国王アルフレッドを睨みつけていたのは宰相であるグレン・ターナーであった。
「グッ・・・グレン!?」
本気の怒りを感じたのかアルフレッドは汗をダラダラと流しだした。
「当然、報告済みです。」
肩をすくめるディビットに「ヒィッ!」とアルフレッドは息を呑んだ。
「明日の昼に楽しめるように、今日も仕事を早めに切り上げてやったというのに、休ませてやれと言った私の言葉も聞かずに貴方は・・・。
そうですか、暇そうですので執務室にお戻り願いましょうか。
仕事はタンマリとあるのですよ。
なーに、明日のランチまでには間に合いますよ。」
耳を引っ張られていくアルフレッドを気の毒そうに見つめていたイオリにグレンは微笑んだ。
「元気な姿を見れて嬉しいです。
よく、私を頼ってくれました。
ハミルトンさんに全てを任せています。
今日はしっかりと休んでください。
また、明日に会いましょう。
ホラ、貴方も。」
再び耳をグィッと引っ張られアルフレッドは顔を歪めた。
「痛いってゆーとるに!
さぁ、ニナ。兄の元へ参れ。
イオリ、皆!明日じゃ!
グレンっ!少し手を緩めよ!」
「黙れ!駄王!黙って、歩け!」
貼り付けた笑顔で見送るとイオリは大きな息を吐いた。
「騒がせてスマンな。
こんな形だが、会えて嬉しい。
よく来てくれた。
我々も早々に退散するとしよう。」
「はい。兄上。
イオリ。皆。
明日にまた会いましょう。」
ギルバートはハミルトンに後を任せ、ディビットを連れて部屋を出て行った。
「・・・一瞬でした。
一瞬の間に国王陛下と王太子殿下、第2王子に宰相さんにまで会ってしまった。」
「確かに・・・怒涛の一瞬だったな。」
イオリとヒューゴは一気に疲れが出てきたのを感じた。
「申し訳ございません。
ただいま、ご夕食の用意をいたします。
どうぞ、湯浴みをしてお過ごしください。」
ハミルトンは気の毒そうに2人を見つめ、苦笑するのだった。
「まったく・・・油断もあったものではないですよ。
お邪魔しますよ。イオリ。」
穏やかな空気を切り裂くような声が響き、イオリ達が驚いて振り向くと2人の王子が仁王立ちしていた。
扉を開け放ち父王を睨みつけていたのは王太子ギルバートと第2王子ディビットだった。
「お前達まで来たのか?
会うのは明日であったろう?
ワシは偶然、子供達と会ったのだ。
イオリ達の元に送り届けたに過ぎん。
だから、良いだの!」
そんな息子達に臆するでもなく、アルフレッドは胸を張った。
「何を偉そうにしてるんです。
だったら、メイドに送らせれば良いでしょうに?
これ幸いにと約束を破ったのでしょう?
分かってますよ!」
腰に手を当てて怒るギルバートにイオリは首を傾げた。
「約束?」
ポンと肩を叩かれ視線を送ると溜息をはいたディビットが首を振っていた。
「イオリ達が王都に来たと聞いて、みんなで喜んでいたんだが、疲れているだろうから今日は休ませようと話し合っていたんです。
明日のランチには私達も参加する予定です。
その時に会う事を楽しみにしていたのに・・・。」
そして父王をディビットは睨みつけた。
「まぁ、良いではないか!
みんなで会えたのだから。
ワハハハ!」
陽気に笑うアルフレッドに2人の王子とハミルトンは諦めの溜息を吐いた。
「ほう。
一度、決めた事を反故にするとは一国の王の姿が聞いて呆れますね。」
次の瞬間、ブリザードが吹き込んできたかの様な声が響き渡った。
目を薄めて国王アルフレッドを睨みつけていたのは宰相であるグレン・ターナーであった。
「グッ・・・グレン!?」
本気の怒りを感じたのかアルフレッドは汗をダラダラと流しだした。
「当然、報告済みです。」
肩をすくめるディビットに「ヒィッ!」とアルフレッドは息を呑んだ。
「明日の昼に楽しめるように、今日も仕事を早めに切り上げてやったというのに、休ませてやれと言った私の言葉も聞かずに貴方は・・・。
そうですか、暇そうですので執務室にお戻り願いましょうか。
仕事はタンマリとあるのですよ。
なーに、明日のランチまでには間に合いますよ。」
耳を引っ張られていくアルフレッドを気の毒そうに見つめていたイオリにグレンは微笑んだ。
「元気な姿を見れて嬉しいです。
よく、私を頼ってくれました。
ハミルトンさんに全てを任せています。
今日はしっかりと休んでください。
また、明日に会いましょう。
ホラ、貴方も。」
再び耳をグィッと引っ張られアルフレッドは顔を歪めた。
「痛いってゆーとるに!
さぁ、ニナ。兄の元へ参れ。
イオリ、皆!明日じゃ!
グレンっ!少し手を緩めよ!」
「黙れ!駄王!黙って、歩け!」
貼り付けた笑顔で見送るとイオリは大きな息を吐いた。
「騒がせてスマンな。
こんな形だが、会えて嬉しい。
よく来てくれた。
我々も早々に退散するとしよう。」
「はい。兄上。
イオリ。皆。
明日にまた会いましょう。」
ギルバートはハミルトンに後を任せ、ディビットを連れて部屋を出て行った。
「・・・一瞬でした。
一瞬の間に国王陛下と王太子殿下、第2王子に宰相さんにまで会ってしまった。」
「確かに・・・怒涛の一瞬だったな。」
イオリとヒューゴは一気に疲れが出てきたのを感じた。
「申し訳ございません。
ただいま、ご夕食の用意をいたします。
どうぞ、湯浴みをしてお過ごしください。」
ハミルトンは気の毒そうに2人を見つめ、苦笑するのだった。
応援ありがとうございます!
278
お気に入りに追加
9,852
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる