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旅路〜王都〜
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再び馬車を動かしたのは、休憩を終え夕飯の仕込みをしてからだった。
イオリの料理に満足したのかアレックスとロジャーも文句は言わなかった。
見た目よりも広い馬車が快適である事が分かったのか、今やリラックスをして子供達と談笑中だ。
すると周囲の見回りをしていたゼンが馬車に飛び込んできた。
「ゼンちゃん!バッチい!」
すかさずニナの洗浄魔法をかけられたゼンはお礼を言うように頬を舐めた。
キャッキャと笑ったニナは逃げるようにイオリの足の間に座り込む。
「どうだった?」
イオリに尋ねられてゼンは甘えるように擦り寄った。
『弱そうなのがいたけど、邪魔しないでってお願いしてきた。
それとソルがもう少し遊んでくるって。』
伝説級である純白のフィンリルのお願いを、弱そうな魔獣達が、どのように受け止めたかはイオリには分からないが、当分は安全に進む事ができそうだ。
久々に空を楽しむソルの気持ちが伝わって来てイオリはクスッとした。
「今日も出来るだけ王都に近づきたいから助かるよ。
ありがとう。」
『フフフ。今晩はロースカツでしょ?
楽しみなんだぁ。
早く目的地まで着けば野営の準備も早めに出来るしね。』
「あはは。
ロースカツが目当てか。
白米に味噌汁とサラダもつけるよ。
おやつは・・・。」
『おやつはフルーツ寒天が良い!!』
ゼンのリクエストを聞きながら、ニナと笑っているとイオリはギクっとした。
視線を感じればアレックスとロジャーがジッと見ていたのだ。
「どうしました?
ロースカツですか?
心配しなくても御2人の分も作りますよ。」
「・・・いや。
そこじゃない。
そのロースカツとやらも気にはなるが・・・。」
「ねー・・・。
ゼンが喋ってね?」
アレックスとロジャーの言っている事を理解し、イオリは首を捻った。
「あれ?初めてですか?
ゼンはしゃべりますよ。
だってフェンリルですもん。」
「「・・・・はっ!?痛っ!」」
驚いた2人は馬車の中で立ち上がり、頭をぶつけて呻いている。
「言ってませんでしたっけ?」
「言ってないな。」
御者席から振り向いたヒューゴは痛みで頭を抑える2人を気の毒そうに見ていた。
ケラケラと爆笑する子供達を恨めしそうに2人はムクれた。
「聞いていない!
まぁ、フェンリルだとしたら軽々しく言えるはずはないが突如としてゼンが話し始めるから驚いたぞ。
そうか・・・ゼンは純白のフェンリルか。」
現実離れしている事態に、どこか関心しているアレックスとは違いロジャーは堪える事なく涙を流した。
「ウグッ・・・スンッスンッ・・・グスッ。
ぼぉ・・・ほっ本当に・・・フェンリルなの?」
ゼンは2人に近寄ると胸を張り、澄ました顔で見つめた。
『そうだよ。
フェンリルだけどイオリの家族で相棒だよ。』
「うぉぉぉぉ。
ゼン!凄いや。凄いや。
俺!生きてる間に従魔になってるフェンリルに会えるなんて思ってもみなかった!
感動だぁぁぁぁ!」
ロジャーの涙と鼻水で汚れた顔を擦り付けられて、嫌そうに顔が歪むゼンを苦笑し、イオリはニナにこっそりと囁いた。
「後で洗浄魔法をかけてあげて。」
ニナはロジャーの反応にドン引きしながらも、小さく頷いた。
イオリの料理に満足したのかアレックスとロジャーも文句は言わなかった。
見た目よりも広い馬車が快適である事が分かったのか、今やリラックスをして子供達と談笑中だ。
すると周囲の見回りをしていたゼンが馬車に飛び込んできた。
「ゼンちゃん!バッチい!」
すかさずニナの洗浄魔法をかけられたゼンはお礼を言うように頬を舐めた。
キャッキャと笑ったニナは逃げるようにイオリの足の間に座り込む。
「どうだった?」
イオリに尋ねられてゼンは甘えるように擦り寄った。
『弱そうなのがいたけど、邪魔しないでってお願いしてきた。
それとソルがもう少し遊んでくるって。』
伝説級である純白のフィンリルのお願いを、弱そうな魔獣達が、どのように受け止めたかはイオリには分からないが、当分は安全に進む事ができそうだ。
久々に空を楽しむソルの気持ちが伝わって来てイオリはクスッとした。
「今日も出来るだけ王都に近づきたいから助かるよ。
ありがとう。」
『フフフ。今晩はロースカツでしょ?
楽しみなんだぁ。
早く目的地まで着けば野営の準備も早めに出来るしね。』
「あはは。
ロースカツが目当てか。
白米に味噌汁とサラダもつけるよ。
おやつは・・・。」
『おやつはフルーツ寒天が良い!!』
ゼンのリクエストを聞きながら、ニナと笑っているとイオリはギクっとした。
視線を感じればアレックスとロジャーがジッと見ていたのだ。
「どうしました?
ロースカツですか?
心配しなくても御2人の分も作りますよ。」
「・・・いや。
そこじゃない。
そのロースカツとやらも気にはなるが・・・。」
「ねー・・・。
ゼンが喋ってね?」
アレックスとロジャーの言っている事を理解し、イオリは首を捻った。
「あれ?初めてですか?
ゼンはしゃべりますよ。
だってフェンリルですもん。」
「「・・・・はっ!?痛っ!」」
驚いた2人は馬車の中で立ち上がり、頭をぶつけて呻いている。
「言ってませんでしたっけ?」
「言ってないな。」
御者席から振り向いたヒューゴは痛みで頭を抑える2人を気の毒そうに見ていた。
ケラケラと爆笑する子供達を恨めしそうに2人はムクれた。
「聞いていない!
まぁ、フェンリルだとしたら軽々しく言えるはずはないが突如としてゼンが話し始めるから驚いたぞ。
そうか・・・ゼンは純白のフェンリルか。」
現実離れしている事態に、どこか関心しているアレックスとは違いロジャーは堪える事なく涙を流した。
「ウグッ・・・スンッスンッ・・・グスッ。
ぼぉ・・・ほっ本当に・・・フェンリルなの?」
ゼンは2人に近寄ると胸を張り、澄ました顔で見つめた。
『そうだよ。
フェンリルだけどイオリの家族で相棒だよ。』
「うぉぉぉぉ。
ゼン!凄いや。凄いや。
俺!生きてる間に従魔になってるフェンリルに会えるなんて思ってもみなかった!
感動だぁぁぁぁ!」
ロジャーの涙と鼻水で汚れた顔を擦り付けられて、嫌そうに顔が歪むゼンを苦笑し、イオリはニナにこっそりと囁いた。
「後で洗浄魔法をかけてあげて。」
ニナはロジャーの反応にドン引きしながらも、小さく頷いた。
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