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旅路〜イルツク〜

100 〜記念〜 一方その頃。

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 一方その頃・・・ポーレット公爵家の次男の執務室では・・・

「しょうがないだろう。
 私だって旅はしたいがイオリとずっと一緒にいるわけにはいかないんだ。」

 従魔のクロムスから蹴りを入れられながらも、ヴァルトは書類にサインをしていた。

『クロムスはもっとゼンや子供達と遊びたかったのでしょう。』

 母であるルチアの言葉にクロムスは頷きながらも甘えている。

「分かっているさ。
 私だってイオリともっと話したかったのだから・・・。」

 ヴァルトは剥れると、涼しい顔をしたまま仕事をこなすトゥーレに目をやった。

「・・・何です。
 私を睨んだところで、その書類の束は減りませんよ。
 ヴァルトも聞いているでしょう?
 今や、オンリールの街の不穏な報告はポーレットの問題だけではないんですよ。」

「・・・分かっている。」

「でしたら、早く書類仕事を終えてください。
 はい。
 こちらは王都から送られてきた図書館の蔵書のリストです。
 確認したらオルガ様に提出してくださいね。」

 再び積み上げられた書類にヴァルトは溜息を吐いた。

「・・・甘い物が食べたい。」

 甘いものと聞いてクロムスの耳がピーンと立った。

「はぁ。
 仕方がないですね。
 見繕ってもらいに行ってきます。
 その間、仕事を進めてくださいよ。」

 トゥーレが部屋を出て行ったのを確認すると、ヴァルトは椅子の背もたれに体重を預け天井を見上げた。

「今頃は、“深淵のダンジョン”か・・・。」

『そうですね。
 イオリの事です。
 ダンジョン内でも料理をして快適に凄いしているのでしょうね。』

 ヴァルトはルチアの言葉に肩を震わせ笑い出した。
 
 その時だった。
 バタバタと足音がするとヴァルトは慌てて書類に目を落とした。

「おい!ヴァルト!」

 もう1人の従者であるマルクルがノックもなしに部屋の扉を開けた。

「どうした?」

 顔を上げたヴァルトにマルクルはニヤリとした。

「イオリ達が“深淵のダンジョン”を攻略して“エルフの里の戦士”を拘束したってよ。」

 イオリが“エルフの里の戦士”に負けるはずがない。
 信じていたがヴァルトはニッコリと微笑んだ。

「そうか・・・。
 よかった。」

 そう言うとヴァルトは読んでいた書類を投げ出してクロムスを抱きしめた。

「やると思ってたんだ!!」

 
 プリンを持って帰ってきたトゥーレは喜ぶヴァルトとクロムス、そしてマルクスに怒りの雷を落とした。

 その様子を気にするでもなく、ルチアは1人穏やかに昼寝をしていた。
 
 そんな中、マルクスが1つの爆弾を落とした。

「そうだ、お前らポップコーンって知ってるか?」
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