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旅路〜イルツク〜
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かつて虹色の神を靡かせた男に魅了されたソレ達は絶対神リュオンが散りばめた生命の源を守り始めた。
自分達の地を愛したソレ達の力は様々な生き物に影響を与えた。
枯れた地に水を注ぎ、実りを与えた。
荒れた海に平穏をもたらし、生きとし生けるものに活力を与えた。
怒り狂った空が爽やかな青色に染まり、大地を温める太陽が照らされた。
世界の均衡が保たれる為に力を注ぐ彼等の存在など生きている人間達は知るよしもなかった。
ー ー ー ー ー ー ー
『“パライソのアマメ”も我らと同じ存在だ。
自然を司る生命の源の1つだよ。
我等はアマメを通じイオリの存在を知ったのだ。』
“深淵のダンジョン”の主にして“イルツクの守護者”であるオリオンの言葉を誰しもが聞き耳を立てていた。
「と言う事は、他にも多くの“守護者”がいると言う事ですね?」
アレックスは思わずオリオンに声をかけた。
『その通りだ。若者よ。
イルツクの街に通じるエネルギーは、このオリオンの内なるモノが護る務めだ。』
「・・・知らなんだ。
我らの領主。アナスタシア様もご存知ないだろう。」
ディエゴ・ギロックは屋敷で待つ妻の顔を思い描いた。
「その生命の源なる物はオリオン様、その物という事ですか?」
ヒューゴが話しかけるとオリオンはゆっくりと頷いた。
『そうだ。
我らは様々な姿をしておる。
イオリの言う、アマメが鹿の姿をしているように・・・私が亀の姿をしているように。」
ディエゴ・ギロックは跪くと首を垂れた。
「オリオン様。
・・・どうか、我らイルツクの民をお許し下さい。
貴方の存在を忘れ、感謝もせずに生きる我らを・・・。」
するとオリオンは愛おしそうにディエゴ・ギロックを見下ろした。
「思い詰めるでない。イルツクの民よ。
この地を護るのは、オリオンの務め。
そなたらは街を愛すれば良いのだ。
さぁ、イオリと仲間達よ。別れの時だ。
“深淵のダンジョン”の最終の部屋の攻略は討伐にあらず。
絶対神より預かった地の守り主より、お前達に防御の力を与えよう。
どんな攻撃にも耐えられる未曾有の力だ。
世界が再び混沌とした闇に包まれようとしている今。
お前達なら使い方を間違えぬであろう。」
全員が光に包まれるとオリオンの笑みが霧に包まれ始めた。
「オリオンさん!!」
慌てるイオリにオリオンが微笑んだ。
『会えて良かった。
絶対神の愛しい子。
大きな優しさを持ち合わせたお前なら、闇を払う事が出来るだろう。
傷を治してくれて感謝する。
お前の進む厳しき道が少しでも楽なものになるように、この地より祈っておるぞ。』
「ありがとう!オリオンさん!
また、会いにきます!
また、ポップコーン作りますから!」
『フォフォフォ・・・。
楽しみだ。』
オリオンの全てが霧に包まれ、イオリ達が地上へと送り出されてい時。
イルツクの街に鳴るはずのないベルの音が響き渡ったのであった。
自分達の地を愛したソレ達の力は様々な生き物に影響を与えた。
枯れた地に水を注ぎ、実りを与えた。
荒れた海に平穏をもたらし、生きとし生けるものに活力を与えた。
怒り狂った空が爽やかな青色に染まり、大地を温める太陽が照らされた。
世界の均衡が保たれる為に力を注ぐ彼等の存在など生きている人間達は知るよしもなかった。
ー ー ー ー ー ー ー
『“パライソのアマメ”も我らと同じ存在だ。
自然を司る生命の源の1つだよ。
我等はアマメを通じイオリの存在を知ったのだ。』
“深淵のダンジョン”の主にして“イルツクの守護者”であるオリオンの言葉を誰しもが聞き耳を立てていた。
「と言う事は、他にも多くの“守護者”がいると言う事ですね?」
アレックスは思わずオリオンに声をかけた。
『その通りだ。若者よ。
イルツクの街に通じるエネルギーは、このオリオンの内なるモノが護る務めだ。』
「・・・知らなんだ。
我らの領主。アナスタシア様もご存知ないだろう。」
ディエゴ・ギロックは屋敷で待つ妻の顔を思い描いた。
「その生命の源なる物はオリオン様、その物という事ですか?」
ヒューゴが話しかけるとオリオンはゆっくりと頷いた。
『そうだ。
我らは様々な姿をしておる。
イオリの言う、アマメが鹿の姿をしているように・・・私が亀の姿をしているように。」
ディエゴ・ギロックは跪くと首を垂れた。
「オリオン様。
・・・どうか、我らイルツクの民をお許し下さい。
貴方の存在を忘れ、感謝もせずに生きる我らを・・・。」
するとオリオンは愛おしそうにディエゴ・ギロックを見下ろした。
「思い詰めるでない。イルツクの民よ。
この地を護るのは、オリオンの務め。
そなたらは街を愛すれば良いのだ。
さぁ、イオリと仲間達よ。別れの時だ。
“深淵のダンジョン”の最終の部屋の攻略は討伐にあらず。
絶対神より預かった地の守り主より、お前達に防御の力を与えよう。
どんな攻撃にも耐えられる未曾有の力だ。
世界が再び混沌とした闇に包まれようとしている今。
お前達なら使い方を間違えぬであろう。」
全員が光に包まれるとオリオンの笑みが霧に包まれ始めた。
「オリオンさん!!」
慌てるイオリにオリオンが微笑んだ。
『会えて良かった。
絶対神の愛しい子。
大きな優しさを持ち合わせたお前なら、闇を払う事が出来るだろう。
傷を治してくれて感謝する。
お前の進む厳しき道が少しでも楽なものになるように、この地より祈っておるぞ。』
「ありがとう!オリオンさん!
また、会いにきます!
また、ポップコーン作りますから!」
『フォフォフォ・・・。
楽しみだ。』
オリオンの全てが霧に包まれ、イオリ達が地上へと送り出されてい時。
イルツクの街に鳴るはずのないベルの音が響き渡ったのであった。
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