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旅路〜イルツク〜
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息も絶え絶えなエルフを見下ろすイオリにアレックスは驚いていた。
《先程まで柔和だったイオリはどこに行った?
なんて目をするんだ。
あんなに美しい青い目が怒りに燃えている。》
するとアレックスの視界にイオリの背後に立つヒューゴが入り納得した。
ーーー普段のイオリは温厚で優しい奴なんですがね。
アイツにとって絶対に譲れない物があるんです。
イオリにとって家族を傷つける者は許さない。
それが例え、貴族だろうと王族だろうとね。ーーー
確かにヒューゴがギルドで言っていたではないか。
ナギに攻撃をした・・・いや、それよりも根深く“エルフの里の戦士”はイオリの怒りを買っているのだろう。
Sランクの称号を得ているアレックスでさえ、今のイオリを纏う空気にゾクゾクとした。
「ハァ ハァ ハァ・・・。
何なのだ。貴様は・・・。」
“エルフの里の戦士”は思わず、足を引きずりながら距離を取った。
「俺が、誰だろうと構わないでしょう?
それより、あとの2人は何処です?
・・・あぁ、奥でやり合っているんですか。
貴方は逃げてきたんですか?」
イオリの挑発に“エルフの里の戦士”は獣の様な目で怒りだした。
「貴様!!
我を愚弄するか!」
「・・・愚弄?
愚弄しているのは貴方達でしょう?
過去に生きたエルフに囚われ、周りが見えていない。
仲間だけが世界で、それ以外を排除する。
自分達の思う様にいかないと癇癪を起こす。
世界はね・・・。
世界はもっと広いんだ!
《井の中の蛙》も大概にしろよ!!」
イオリは両手に構えた銃を放つと“エルフの里の戦士”の額に撃ち込んだ。
「グアァ!」
一瞬だった。
一瞬でエルフが崩れるとイオリを見守っていた仲間達が息を吐いた。
「・・・凄い。
凄いよ!!イオリ!!
“エルフの里の戦士”を一瞬で倒しちゃった。」
興奮気味にパティが飛びつくと、イオリはニッコリとして頭を撫でた。
「気絶させただけだよ。
止血してあげて。
地上に連れて行くのに大変だからね。」
「分かった。ポーションかけてくる。
飲ませなくて良いよね?
オレ、アイツら嫌いだもん。」
スコルは腰バックからポーションと取り出すとパティを連れて、気を失っている“エルフの里の戦士”の元に走っていった。
「イオリ!」
呼ばれたイオリは振り向くと飛び込んできたナギを抱きとめた。
「見たかい?」
イオリが囁くとナギはコクンと頷いた。
「怒ってやるって、言ったろう?
怖がらなくていいよ。
彼らだって、生きとし生ける物の一部だよ。
ナギが怖がる必要はないんだ。」
「うん。うん。」
ナギは何度も頷いた。
泣いてはいない。
ナギだって強くなったのだ。
イオリから離れるとニッコリ笑った。
「僕、あの人の事、縛ってくるね。」
笑いながらスコルとパティに走り寄るナギをイオリはホッとした様に見送った。
「素晴らしい戦いだった。
危なげなく、誰にも怪我をさせない。
“エルフの里の戦士”相手に、圧倒的な攻撃力とは恐れ入った。」
ディエゴ・ギロック騎士団長の褒め言葉にイオリは静かに頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「仕留めないとは、優しい事だな。
・・・いや。
母から聞いていたイオリらしい考えだ。
とりあえず、1人だな。」
アレックスはイオリ達に合流すると奥を睨みつけた。
「はい。
ゼンが言うには、奥に2人の気配と凄まじい存在感を放つ何かがいるそうです。」
「凄まじい何か?
例の“守りの堅いヤツ”だな。
三つ巴になるわけか・・・。」
考え込むアレックスにイオリは囁いた。
「その事なんですが・・・。」
イオリの言葉にアレックスは、実に以外そうな顔で驚いた。
「なるほどな。」
その後の戦い方を相談すると、イオリ達は奥へと足を進めた。
《先程まで柔和だったイオリはどこに行った?
なんて目をするんだ。
あんなに美しい青い目が怒りに燃えている。》
するとアレックスの視界にイオリの背後に立つヒューゴが入り納得した。
ーーー普段のイオリは温厚で優しい奴なんですがね。
アイツにとって絶対に譲れない物があるんです。
イオリにとって家族を傷つける者は許さない。
それが例え、貴族だろうと王族だろうとね。ーーー
確かにヒューゴがギルドで言っていたではないか。
ナギに攻撃をした・・・いや、それよりも根深く“エルフの里の戦士”はイオリの怒りを買っているのだろう。
Sランクの称号を得ているアレックスでさえ、今のイオリを纏う空気にゾクゾクとした。
「ハァ ハァ ハァ・・・。
何なのだ。貴様は・・・。」
“エルフの里の戦士”は思わず、足を引きずりながら距離を取った。
「俺が、誰だろうと構わないでしょう?
それより、あとの2人は何処です?
・・・あぁ、奥でやり合っているんですか。
貴方は逃げてきたんですか?」
イオリの挑発に“エルフの里の戦士”は獣の様な目で怒りだした。
「貴様!!
我を愚弄するか!」
「・・・愚弄?
愚弄しているのは貴方達でしょう?
過去に生きたエルフに囚われ、周りが見えていない。
仲間だけが世界で、それ以外を排除する。
自分達の思う様にいかないと癇癪を起こす。
世界はね・・・。
世界はもっと広いんだ!
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イオリは両手に構えた銃を放つと“エルフの里の戦士”の額に撃ち込んだ。
「グアァ!」
一瞬だった。
一瞬でエルフが崩れるとイオリを見守っていた仲間達が息を吐いた。
「・・・凄い。
凄いよ!!イオリ!!
“エルフの里の戦士”を一瞬で倒しちゃった。」
興奮気味にパティが飛びつくと、イオリはニッコリとして頭を撫でた。
「気絶させただけだよ。
止血してあげて。
地上に連れて行くのに大変だからね。」
「分かった。ポーションかけてくる。
飲ませなくて良いよね?
オレ、アイツら嫌いだもん。」
スコルは腰バックからポーションと取り出すとパティを連れて、気を失っている“エルフの里の戦士”の元に走っていった。
「イオリ!」
呼ばれたイオリは振り向くと飛び込んできたナギを抱きとめた。
「見たかい?」
イオリが囁くとナギはコクンと頷いた。
「怒ってやるって、言ったろう?
怖がらなくていいよ。
彼らだって、生きとし生ける物の一部だよ。
ナギが怖がる必要はないんだ。」
「うん。うん。」
ナギは何度も頷いた。
泣いてはいない。
ナギだって強くなったのだ。
イオリから離れるとニッコリ笑った。
「僕、あの人の事、縛ってくるね。」
笑いながらスコルとパティに走り寄るナギをイオリはホッとした様に見送った。
「素晴らしい戦いだった。
危なげなく、誰にも怪我をさせない。
“エルフの里の戦士”相手に、圧倒的な攻撃力とは恐れ入った。」
ディエゴ・ギロック騎士団長の褒め言葉にイオリは静かに頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「仕留めないとは、優しい事だな。
・・・いや。
母から聞いていたイオリらしい考えだ。
とりあえず、1人だな。」
アレックスはイオリ達に合流すると奥を睨みつけた。
「はい。
ゼンが言うには、奥に2人の気配と凄まじい存在感を放つ何かがいるそうです。」
「凄まじい何か?
例の“守りの堅いヤツ”だな。
三つ巴になるわけか・・・。」
考え込むアレックスにイオリは囁いた。
「その事なんですが・・・。」
イオリの言葉にアレックスは、実に以外そうな顔で驚いた。
「なるほどな。」
その後の戦い方を相談すると、イオリ達は奥へと足を進めた。
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