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愛し子の帰還
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店に入ってくるやヘミングはサガンを涼しい目で一瞥した。
「やはりオンリールの商人ですか・・・。はぁ。
その袋は賄賂でいいですね?
ポーレットではいかなる理由があろうと犯罪ですよ。
ロディ隊長。もしや受け取っていませんよね?」
ロディが無言で怒るのを見てヘミングは頷いた。
「それなら結構。
サガンさん。
我々ポーレット商人ギルドは貴方からの商売許可証を抹消いたします。
身柄を治安維持隊にお任せし、商人ギルドは貴方の行動により面倒を被った店や露天商に聞き取り調査を開始します。
その際、賠償金も発生する可能性がありますので御承知ください。
これよりサガンの店を商人ギルドが差し押さえます。
それでは私はこれで・・・ロディ隊長ここはお願いします。
私は一度ギルドに戻り、オンリールの商人ギルドの調査依頼を公爵様に提出して参ります。
オンリール出身の商人達の多くが問題を起こしているんです。
現地も異常な状況と考えるべきですのでね。」
「了解。相変わらず、商人ギルドは仕事が早いな。」
「当然です。
それが商売と言うものです。
イオリ様には後程にご挨拶に上がるとお伝えください。
それでは。
全く!イオリ様にまで迷惑かけて・・・ブツブツブツ。」
文句を言いながら、そそくさとサガンの店を出て行くヘミングにロディは苦笑すると廃人のようになったサガンに視線を落とした。
「悪いな。
この街はお前のような輩が一番嫌いなんだ。
カッチェの店はホワイトキャビン預かりだ。
ポーレットで好かれているホワイトキャビンを敵に回すとは街全体を敵に回すと同じ事なんだよ。」
中には納得いっていない従業員もいて騒いでいたが、その日のうちにサガンの店は差し押さえられた。
現在、参入を望む声が多いポーレットで店の空きがあるのはサガンのような連中が商人ギルドに追い出されているからだと、イオリは後に知る事になる。
今回の事でイオリは基本何もしていない。
しかし、美味しい料理屋が増えればいいと願っていた彼にとって残念な一面を見てしまった事になる。
カッチェの店は、その日より嫌がられなどされる事がなくなった。
1つ1つの店が正しく成長していく、それもまた大切なのだと学んだイオリだった。
________
「おい。イオリ。
そういえば、カサドが今日中に来いって言っていたぞ。」
同じテーブルでシチューを頬張る冒険者ギルドマスター・コジモの言葉にイオリは興奮して立ち上がった。
「早く言って下さいよ!
みんな!カサドさんのところに行こう。」
「これで仕事につけるな。」
馴染みの武器が手元になかったヒューゴはホッとしたようだった。
それから数十分後、カサドの工房の扉を力強く叩く双子と、それに怒鳴るドワーフの姿が見られたのであった。
「毎度、毎度・・・
うるせーなぁぁぁぁ!!!」
「「「「キャハハハハ!」」」」
『これ、毎回やるの?』
ゼンは呆れた顔をしているが尻尾をブンブンと振っているところをみると、子供達と同じ様にカサドの怒鳴り声を気に入っているのだとイオリは苦笑した。
「みんな程々にね・・・。」
「やはりオンリールの商人ですか・・・。はぁ。
その袋は賄賂でいいですね?
ポーレットではいかなる理由があろうと犯罪ですよ。
ロディ隊長。もしや受け取っていませんよね?」
ロディが無言で怒るのを見てヘミングは頷いた。
「それなら結構。
サガンさん。
我々ポーレット商人ギルドは貴方からの商売許可証を抹消いたします。
身柄を治安維持隊にお任せし、商人ギルドは貴方の行動により面倒を被った店や露天商に聞き取り調査を開始します。
その際、賠償金も発生する可能性がありますので御承知ください。
これよりサガンの店を商人ギルドが差し押さえます。
それでは私はこれで・・・ロディ隊長ここはお願いします。
私は一度ギルドに戻り、オンリールの商人ギルドの調査依頼を公爵様に提出して参ります。
オンリール出身の商人達の多くが問題を起こしているんです。
現地も異常な状況と考えるべきですのでね。」
「了解。相変わらず、商人ギルドは仕事が早いな。」
「当然です。
それが商売と言うものです。
イオリ様には後程にご挨拶に上がるとお伝えください。
それでは。
全く!イオリ様にまで迷惑かけて・・・ブツブツブツ。」
文句を言いながら、そそくさとサガンの店を出て行くヘミングにロディは苦笑すると廃人のようになったサガンに視線を落とした。
「悪いな。
この街はお前のような輩が一番嫌いなんだ。
カッチェの店はホワイトキャビン預かりだ。
ポーレットで好かれているホワイトキャビンを敵に回すとは街全体を敵に回すと同じ事なんだよ。」
中には納得いっていない従業員もいて騒いでいたが、その日のうちにサガンの店は差し押さえられた。
現在、参入を望む声が多いポーレットで店の空きがあるのはサガンのような連中が商人ギルドに追い出されているからだと、イオリは後に知る事になる。
今回の事でイオリは基本何もしていない。
しかし、美味しい料理屋が増えればいいと願っていた彼にとって残念な一面を見てしまった事になる。
カッチェの店は、その日より嫌がられなどされる事がなくなった。
1つ1つの店が正しく成長していく、それもまた大切なのだと学んだイオリだった。
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「おい。イオリ。
そういえば、カサドが今日中に来いって言っていたぞ。」
同じテーブルでシチューを頬張る冒険者ギルドマスター・コジモの言葉にイオリは興奮して立ち上がった。
「早く言って下さいよ!
みんな!カサドさんのところに行こう。」
「これで仕事につけるな。」
馴染みの武器が手元になかったヒューゴはホッとしたようだった。
それから数十分後、カサドの工房の扉を力強く叩く双子と、それに怒鳴るドワーフの姿が見られたのであった。
「毎度、毎度・・・
うるせーなぁぁぁぁ!!!」
「「「「キャハハハハ!」」」」
『これ、毎回やるの?』
ゼンは呆れた顔をしているが尻尾をブンブンと振っているところをみると、子供達と同じ様にカサドの怒鳴り声を気に入っているのだとイオリは苦笑した。
「みんな程々にね・・・。」
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