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愛し子の帰還
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アースガイルという国において、なくてはならない商会がある。
国中に店舗を持ち、その地域に沿った商売を行い、労働提供や寄付などで貢献していく・・・。
代々の会頭達の言葉は貴族ですら無視する事など出来なかった。
特質すべきは《富は民に返すべき》という一族共通の倫理の元、悪事を働く貴族や商人達を潰してきた歴史がある。
その商会の支店がポーレットにも存在する。
その名を“グラトニー商会”と言う。
イオリ達は今、そのグラトニー商会のポーレット支部にある1つの部屋に通されていた。
「申し訳ありません。
もう暫くしましたら、バート様も手があくと思うのですが・・・。」
イオリ達を案内してきたエルフのメルロスがソワソワしすると、イオリはニッコリと首を横に振った。
「俺達が連絡もなく来たんです。
お構いなく、それよりも沢山お菓子を用意して下さって有難うございます。」
ついて早々に子供達が漁っているお菓子の山を見てイオリは苦笑して見ていた。
「いえいえ、イオリさん達には沢山食べて頂いて批評して頂きたいので遠慮はいりません。」
出会った時こそ挑発的だったメルロスであるが、今やイオリを尊敬し主人に負けじと崇拝している。
「如何ですか?以前より商品も増えているのですが?」
メルロスが興味深げに聞くと、子供達は手早く選別していった。
「このスポンジは硬くてダメ。
コッチの飴もザラつきが目立つ。」
「そうだね。
こっちのプリンは砂糖で誤魔化してるけど、なめらかさが足りないし生臭い。」
「これって、カステラ?
卵をケチってるんじゃない?
濃厚さが足りないよ。」
「見て!これって、クッキー?
石でも食べてるのかと思った。」
予想以上に辛辣な批評にメルロスは溜息を吐いた。
「流石、イオリさんのお子さん達です。
1番良い物を食べているせいか手厳しいですね。
ここにあるのは、割と売れている商品なのですが・・・。」
肩を落とすメルロスが気の毒になってイオリはフォローを試みた。
「お菓子は好みもありますからね。
人気なら良いのではないですか?」
「それではダメなのです!
最近では王都でも菓子を売る店が増えまして、ポーレットに追いつけ追い越せと騒がしいのです。
負けてられません!
皆さんには是非にも試食の続きを!!」
熱烈な視線を送られ、子供達は使命感に駆られているようだがイオリとヒューゴは若干引いていた。
そんな中、ゼンがイオリをツンツンとして1枚のクッキーを差し出した。
「ん?これを食べるの??
どれどれ・・・
あぁ・・・これは良いんじゃないですか?」
イオリの一言で子供達も頷き出した。
「そう。それは良い。」
「うん。そのクッキーは紅茶の風味も出てるしね。
紅茶クッキーならあったかい牛乳に合わせると良いよ。」
「口溶けも良いんだよね。
だから、紅茶の香りが後から引き立つんだよ。」
「ニナは牛乳に浸して食べたいな。」
大人顔負けの批評を繰り出している子供達は他にも良い物をピックアップしていく。
「あら・・・。
全て、同じ店ですね・・・。」
腕を組んで考え込むメルロスにイオリは首を傾げた。
「全部同じ店なんですか?
それは凄いな。
センスの良い職人さんがいらっしゃるんですね。」
「あー・・・ええ・・。
まぁ・・・そうなんですが、中々風変わりな店でして。
売り上げはイマイチなんですよ。」
「ハッ?なんで何です?」
「店主が変わった趣味の大男なんですよ。」
別の声にイオリ達が反応をすると、そこにいたのは、扉から顔を覗かせたのはニッコリしたバートの姿だった。
国中に店舗を持ち、その地域に沿った商売を行い、労働提供や寄付などで貢献していく・・・。
代々の会頭達の言葉は貴族ですら無視する事など出来なかった。
特質すべきは《富は民に返すべき》という一族共通の倫理の元、悪事を働く貴族や商人達を潰してきた歴史がある。
その商会の支店がポーレットにも存在する。
その名を“グラトニー商会”と言う。
イオリ達は今、そのグラトニー商会のポーレット支部にある1つの部屋に通されていた。
「申し訳ありません。
もう暫くしましたら、バート様も手があくと思うのですが・・・。」
イオリ達を案内してきたエルフのメルロスがソワソワしすると、イオリはニッコリと首を横に振った。
「俺達が連絡もなく来たんです。
お構いなく、それよりも沢山お菓子を用意して下さって有難うございます。」
ついて早々に子供達が漁っているお菓子の山を見てイオリは苦笑して見ていた。
「いえいえ、イオリさん達には沢山食べて頂いて批評して頂きたいので遠慮はいりません。」
出会った時こそ挑発的だったメルロスであるが、今やイオリを尊敬し主人に負けじと崇拝している。
「如何ですか?以前より商品も増えているのですが?」
メルロスが興味深げに聞くと、子供達は手早く選別していった。
「このスポンジは硬くてダメ。
コッチの飴もザラつきが目立つ。」
「そうだね。
こっちのプリンは砂糖で誤魔化してるけど、なめらかさが足りないし生臭い。」
「これって、カステラ?
卵をケチってるんじゃない?
濃厚さが足りないよ。」
「見て!これって、クッキー?
石でも食べてるのかと思った。」
予想以上に辛辣な批評にメルロスは溜息を吐いた。
「流石、イオリさんのお子さん達です。
1番良い物を食べているせいか手厳しいですね。
ここにあるのは、割と売れている商品なのですが・・・。」
肩を落とすメルロスが気の毒になってイオリはフォローを試みた。
「お菓子は好みもありますからね。
人気なら良いのではないですか?」
「それではダメなのです!
最近では王都でも菓子を売る店が増えまして、ポーレットに追いつけ追い越せと騒がしいのです。
負けてられません!
皆さんには是非にも試食の続きを!!」
熱烈な視線を送られ、子供達は使命感に駆られているようだがイオリとヒューゴは若干引いていた。
そんな中、ゼンがイオリをツンツンとして1枚のクッキーを差し出した。
「ん?これを食べるの??
どれどれ・・・
あぁ・・・これは良いんじゃないですか?」
イオリの一言で子供達も頷き出した。
「そう。それは良い。」
「うん。そのクッキーは紅茶の風味も出てるしね。
紅茶クッキーならあったかい牛乳に合わせると良いよ。」
「口溶けも良いんだよね。
だから、紅茶の香りが後から引き立つんだよ。」
「ニナは牛乳に浸して食べたいな。」
大人顔負けの批評を繰り出している子供達は他にも良い物をピックアップしていく。
「あら・・・。
全て、同じ店ですね・・・。」
腕を組んで考え込むメルロスにイオリは首を傾げた。
「全部同じ店なんですか?
それは凄いな。
センスの良い職人さんがいらっしゃるんですね。」
「あー・・・ええ・・。
まぁ・・・そうなんですが、中々風変わりな店でして。
売り上げはイマイチなんですよ。」
「ハッ?なんで何です?」
「店主が変わった趣味の大男なんですよ。」
別の声にイオリ達が反応をすると、そこにいたのは、扉から顔を覗かせたのはニッコリしたバートの姿だった。
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