続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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愛し子の帰還

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 嬉しい再会をした次の日ーーーー。
 
 スコルは目が覚めると他の兄弟が、まだ眠っているのを起こさないようにソロソロとベットを後にした。

 眠たい目を擦りながらボサボサの頭を掻くと一足先に起きていたイオリが声を掛けた。

「おはよう。今日は随分早起きだね。」

 スコルはニコっとすると、コクンと頷いた。

「今日はヴァルトも来るから早めに起きたんだ。」

「気合入ってるねー。
 お風呂入ってサッパリしておいで。
 ヒューゴさんが薪を割ってくれてるから、先に竈門に火を入れておくよ。」

「うん!」

 急いで風呂場に走っていくスコルを見送るとイオリは、既に目覚めていたアウラに子供達とゼンを頼み、小さく丸くなっていたソルを見て微笑みながらテントを出て行った。

 久々の公爵家裏の木々の中で迎えた朝の空気をイオリは目一杯吸い込んだ。
 魔の森とは違う匂いの、この場所もイオリにとっては落ち着く場所である。

カコーン!カコーン!

 その中をヒューゴーが薪割りする音が響いていた。
 ヒューゴにとって薪割りは体を鍛える1つである。
 今日も山積みの薪を小気味良いテンポで割り続けていた。

「スコルが起きましたよ。
 ヴァルトさんに食べてもらうから気合いが入っているみたいです。
 薪もらいますね。
 先に竈門に火をくべておきましょう。」

 タオルでお顔を拭うとヒューゴもニカッと笑った。

「それは楽しみだな。
 此処を離れた時はイオリの手伝いくらいだったが、今ではスコルも料理をするからな。
 ヴァルト様も驚くだろうな。」

 ヒューゴが再び薪割りに戻るとイオリは薪を手に竈門に向かうと火をつけ始めた。

 銃を通してしか魔法の使えないイオリは火魔法が使えない。
 魔道具をライターの様に使い炭にした布に火をつけ細い木に焚べていく。
 炎が大きくなって来ると薪を足し竈門の中の温度を均一にする為に手慣れたようにコントロールする。

 この炭にした布の存在は、現世でキャンプで使っていたチャークロスを試しに自作したところ、簡単に作れた事から使い始めた。
 イオリのチャークロスを初めて見たヒューゴは着火しやすい火種に驚いたものだった。

「お待たせ!」

 スコルはサッパリした顔でテントから出てくるとイオリがいる竈門に駆け寄ってきた。

「火の準備は出来てるよ。
 スープを作るかい?」

「うん。そうする。
 ヒューゴおはよう!
 今日はパンにするよ。」

 薪割りの手を止めてヒューゴはニッコリすると頷いた。

「楽しみだ。
 薪は任せろ。
 全部使っていいぞ。」

 ヒューゴの脇に積まれた多くの薪を見てスコルは大笑いした。

「そんなにいらないよ。
 ありがとう!
 じゃあ、イオリはパンをお願い。」

「了解。」

 2人はそれぞれ必要な物を持ち出し料理を開始し始めた。

「おはよう。」

 次にテントから出てきたのはナギだった。

「おはよう。ナギ。
 よく眠れた?」

 イオリの挨拶にナギはニッコリ頷いた。

「ニナも起きててアウラと一緒にパティとゼンちゃんを起こしてるよ。
 ボクはボーさんの手伝いをしてくる。」

 薄緑色の綺麗な髪を靡かせ走っていくナギを見送るとイオリは微笑んだ。

 ナギにとってボーは植物に関する先輩だ。
 以前も朝は2人にとって大切な学びの時間だった。
 今もそれは変わってない。
 ナギにとってポーレットに戻る楽しみの一つであった事をイオリは知っていた。

 そこから3人は黙々と自分の仕事を続けた。
 しばらくすると煙と共に良い匂いが広がり出したのだった。
 
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