続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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愛し子の帰還

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 ここからは大人の話とオルガ夫人に連れられ子供達は懐かしの裏庭に行ってしまった。

「帰ってきて早々にすまないな。
 お前には話しておかなければならない。
 各地で“エルフの里の戦士”の目撃証言がある。
 3年前に現れてから、積極的に動き始めたようだ。
 関連するか分からぬが、ダンジョンの消滅も多く聞かれている。」

 ポーレット公爵テオルドの苦悶の顔に続いて、ニコライが口を開いた。

「ダンジョンの消滅などは前からあった。
 現れ、消える・・・。
 これがダンジョンだからな。
 しかし、それにしても数がおかしい。
 関連していると危険視しているんだ。
 ダンジョンの存在で利益を得ていた領地が混乱している。
 それに・・・お前が攻略した“天空のダンジョン”・・・あれも。」

「消滅したんですね?」

 訳知り顔で頷くイオリに公爵家の面々は首を傾げた。

「知っていたのか?」

「ギルマスから聞きました。」

 イオリと顔を見合わせたゼンは頷くと代わりに話し始めた。

『リュオン様が言ってたんだ。
 スカイヤの宮殿が破壊されたって。』

「「「何っ!?絶対神が!」」」

 テオルドとニコライ、ヴァルトは驚くと思わず立ち上がった。

「全てを聞いた訳ではありません。
 以前も言いましたが、世界は生きている者達の物でありリュオン様は全てを愛し受け止める覚悟をしている。
 世界に問題があり解決するのは神であるリュオン様ではなく生きる者たちであると考えます。
 
 スカイヤは無事のようです。 
 ただ、エルフの里の戦士との戦いで彼の寝床が破壊されました。
 結果的に天空のダンジョンは消滅したのでしょう。
 他のダンジョンが、どんな状況なのかは分かりませんが、一概に無関係と片付けて良いとも思えません。
 
 次の旅はスカイヤに会いに行くのを目的にしようと思っています。
 その前にポーレットで準備をしないと。」

 イオリの話に深刻な顔になったテオルドは話を続けた。

「実はな。
 一番最近ではイルツクの街の近くで“エルフの里の戦士”が目撃されたのだ。
 彼の地にもダンジョンが何個か存在するが、今だに消滅はしていない。
 目的が何にしろ、やすやすと思い通りにさせる訳にもいかん。
 絶対神の覚悟を知った我らは可の方を安心させる義務がある。
 ダンジョンには護りも築いているようだが、奴らが本気を出せば被害も免れまい。」

「イルツク・・・。」

 テオルドの口からイルツクの名を聞きイオリは考え込んだ。

「どうした?」

 ヒューゴが怪訝そうに首を捻ると、イオリは小さく頷いた。

「以前、何処かで聞いたんですよね。
 イルツク・・・どこだっけな。」

「イルツクは北の地にある古い街だ。
 街の中心にはシンボルの大きなベルがある。
 今は鳴る事はないが、観光として人気なんだ。」

「北の地・・・大きなベル・・・!!」

 ヴァルトの説明にイオリは笑顔で大きな声を出した。

「ゼン!あの人だ!
 天空のダンジョンで出会った。
 レンさん!!」

『あー。あの時の・・・。
 確かに、イルツクって言ってたね。』

 イオリとゼンの会話についていけない大人達は怪訝そうに見つめていた。

「天空のダンジョンで出会った冒険者がいたんです。
 初めてのダンジョンだったから勝手が分からない俺達に親切にしてくれたんですよ。
 残念ながらダンジョンで大怪我をして離脱しましたが、その時ポーションを渡したんで命は取り留めました。
 彼らとは、その時別れましたが、確かに北の地のイルツクで冒険者をしてるって言ってました。
 
 怪我をした彼らは、その後ポーレットに向かったはずなのでギルドで記録が残っているはずです。
 そう言えば、約束したんですよ。
 いつかイルツクに行くって。
 
 スカイヤを探しながらイルツクに行くのも良いね。」

 ご機嫌なイオリにヒューゴは苦笑した。

「しかし、天空の主がアースガイルにいるとは限らないぞ?
 ドラゴンを探すのなら他国に行く事も覚悟しなきゃな。」

「確かに・・・まぁ、何とかなるでしょう。」

 相変わらずのイオリにテオルド達は脱力したのだった。
 

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