続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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愛し子の帰還

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 すっかり、小さなベルに魅了された子供達は我先にと構い倒していた。
 当初は戸惑っていたベルであったが、お兄さん・お姉さんに囲まれて、今やご機嫌だ。

 ナギが奏でるライヤーの音でダンスを踊る花にベルは夢中で、双子が差し出すオヤツを自動的に口にしていた。

「無事に帰ってきてくれて有難うね。
 あの子にも、ずっと皆んなの事を話していたのよ。
 遊んでもらって喜んでるわ。」

 ベルを子供達に任せた事でゆっくりしているローズは嬉しそうに微笑んだ。

「あの子達もベルちゃんに会いたがっていましたよ。
 見て下さい。一番小さかったニナがお姉さんをしてますよ。」

 ベルの綺麗な赤毛を三つ編みにするニナをイオリはクスクスと笑った。

「お前やあの子達に影響されているからな。
 妹や弟が欲しかったんだろう。
 あんな姿を見れば成長を感じるよ。」

 ヒューゴは妹の成長に考え深げだ。

「3年よ!?3年!
 そりゃ、あの子達も大きくなるわよね。
 見てよ!
 あんなにソックリだった双子だったのに、スコルの方が大きくなってるわ。
 むしろ、パティよりナギの方が少し大きいんじゃない?」

 驚くローズにイオリは苦笑した。

「あまり、言わないでやって下さい。
 パティは気にしてますから。
 男の方が平均身長が高いなんて、あの子には関係ないんです。
 負けたって泣いた事もあるんです。」

「まぁ・・・。あんなに可憐で可愛いのに。
 やっぱり、冒険者ね。」

 3年の間に当然ながら変化はあった。
 身長も瓜二つだった双子も明確にスコルの方が身長が高くなり、平均身長が高いエルフであるナギも年上であるパティの身長に追いついたのだ。
 身体能力には自信のあったパティにとって、同じ子供である2人に置いていかれたようで落ち込んだのだった。
 しかし、イオリ達としては可愛いパティのままでいてほしいとも願う為に彼女に良い助言が出来ていなかった。

「パティ!おいで!」

 呼ぶと笑顔で近づくパティにローズは髪を梳かしてやった。

「あぁ、相変わらず綺麗な髪ね。
 柔らかくて素敵よ。」

「ありがとう!
 とっても気持ちいい。」

「ねぇ、パティ。
 身長の事で悩んでるんだって?」

 パティはハッとイオリを見て、気まずそうに俯いた。

「・・・うん。」

「私達は、今のままのパティが好きよ。
 すぐに大人になんてならないで良いのよ?」

 優しく話すローズにパティは振り向いた。

「でも、スコル大きくなっちゃうし・・・ナギもこれから大きくなるの。
 パティはちっちゃいまま。」

「比べちゃダメよ。
 あなたはあなたよ。
 素敵な自分に目を背けないで。
 それに、女には女の持ち味が沢山あるわ。」

「・・・どんな?」

 伺うように言うパティは期待を込めてローズを見た。

「辛抱強いってところかしらね。
いざって言う時はパティがニナと力を合わせて家族を支えなさい。
 男は弱いから・・・フフフ。
 うちの人なんて、小さな棘でピーピー泣くのよ?」

 パティはローズの話にクスクス笑い出した。

「ほら、あなたには魅力的な笑顔がある。
 スコルにはスコルの魅力がナギにはナギの魅力が、ニナにはニナの魅力が貴方にも沢山あるわ。
 美味しそうにご飯食べるとことか、素直なところ、優しいところ。
 皆んなに愛されるところ・・・ほら、あげたらキリがないわ。
 ね?」

 そう言うと、ローズはイオリとヒューゴを見上げた。

「ええ。ローズさんの言う通りです。」

「どんなパティでも俺たちは好きだよ。」

 2人に言われパティはにっこりした。

「それにな。」

 キッチンにいたダンが笑顔で現れた。

「それにな。 
 冒険者としても、お前の戦い方に小さい体は合ってるよ。
 ヒューゴよりパワーがなくても、スコルほど致命傷を与えられなくても、パーティーの中で一番すばしっこくて体力のあるパティは標的の懐に飛び込むのに適してる。
 手数を与え標的がお前を狙っている間にみんなが攻撃に回れる。
 ヒューゴにもスコルにもできない事だ。
 お前の小ささに価値を与えのはお前次第だよ。」

 ダンの大きな手で頭を撫でられるとパティはにっこりと頷いた。

「そっか・・・。
 パティ・・・小さな体、好きかも。
 皆んなにはできない事でみんなを助ける事ができるもんね。」

 そんなパティにイオリはホッとし、ローズとダンに感謝したのだった。
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