続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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愛し子の帰還

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「あーあ、ギルマス怒られる。」
「サブマス、怒ると怖いもんね。」
「それは2人が危ないことするからだよ。」
「サブマス優しいよ。」

 冒険者ギルドを出ても、まだ笑っている子供達の後をイオリとヒューゴは歩いていた。

「やっぱり、子供達はポーレットが好きなんですね。
 あんなに楽しんで。」

「そうだな。魔の森も自由で良いが、あいつらにとってポーレットも安心できる場所だからな。
 まあ、アレはギルマスで遊んでいる様に見えるが・・・クククっ。」

 イオリはヒューゴもまた、ポーレットに着いて楽しんでいるように見えた。

「「「「あー!!!」」」」

 子供達は“日暮れの暖炉”の看板を指さすと、我先にと駆けて行く。

『イオリ!僕達も行こう!早く!』 

 ゼンとアウラに押されイオリ達もまた、後を追うのだった。


_ _ _ _ _ _

 “日暮れの暖炉”はポーレットでも人気の宿屋である。
 店主夫婦はライオンの獣人で、夫は元は名うての冒険者だった。
 だから、ポーレットに訪れる冒険者達に理解があり、好んで“日暮れの暖炉”を選ぶ冒険者も多い。
 宿だけてはない。
 名物料理“ガーリックチキン”は大人気でレストランとして利用する者もいる。
 
 開店前の今もまさに、店主は客がいないカウンターでガーリックの品定めをしていたところだった。

「「「「ただいまー!!」」」」

「おう。おかえり・・・って、うぉぉぉぉぉ!お前ら!
 なんだ、帰って来たのか!?
 おかえり!!」

 突然の子供達の帰宅に、反応するのが遅れた店主のダンは大喜びで飛び出してきた。
 子供達は嬉々として飛びつくとダンにしがみついた。

「みんな大きくなったなぁ!
 3年かぁ?
 みんな無事なんだな?」

 ダンは一人一人の体を確認すると満足そうに頷いた。

「ただいま帰りました。」
「ただいまっす。」

 イオリとヒューゴが顔を出すと、ダンはより一層嬉しそうに近寄ってきた。

「おう。おかえり!
 お前らも無事だな?
 よく帰ってきた。
 エルノールとは別れたのか?」

「はい。
 先ほど、冒険者ギルドに寄って来ました。
 これからギルマスも忙しくなりそうですよ。
 随分、ラーラさんを困らせていた様ですから。」

 イオリが片眉を上げるとダンは笑い出した。

「ガハハハ!
 何度もここに逃げて来てはラーラに連れ戻されていたからな。
 エルノールならコジモも好きには出来ないな。」

 ご機嫌なダンのエプロンをパティが引っ張った。

「ねーねー。
 ダンさん。
 ベルちゃんはー?
 ローズさんはー?」

「あぁ、会ってやってくれ。
 今頃、昼寝から起きたろう。
 おい、ローズ!ローズ!」

 ダンの大きな声が宿に響き渡るると、ローズが何事かとやってきた。

「何よ。
 大きな声出して!
 って、きゃーーー!!
 みんな、お帰りなさい!」

 ローズの出現に子供達は大騒ぎだ。

「「「「ただいまー!ベルちゃんは?」」」」

「うふふ。今、連れてくるわ。」

 再び、ローズが姿を消すとイオリはダンに大きな麻袋を差し出した。

「直接言うのが遅くなって、すみません。
 ベルちゃんの誕生おめでとうございます。
 これ、お土産です。
 みんなで魔の森のフルーツ採ってきたんです。
 栄養も高いし、ベルちゃんも食べれますから。」

「おめでとうございます。」
 
 イオリとヒューゴにダンは顔を赤らめて微笑んだ。

「ありがとうよ。
 あの子は果物が大好きなんだ。
 俺が親になるなんてな。
 冒険者時代は考えもしなかったよ。」

 照れるダンにイオリは微笑んだ。
 そんなダンを腰をゼンとアウラが擦り寄った。

「そんな事、ありませんよ。
 得体も知らない俺達に親切にしてくれたダンさんです。
 子供達もダンさん達の優しさが分かっていたから、甘えるんですよ。
 そんな2人が良い親にならないはずがないです。」

「そうか・・・。そうかな。」

 ダンはイオリの言葉に照れたように微笑んだ。

「ほら~。ベル。
 お兄ちゃんとお姉ちゃん達が帰って来たわよ~。」

 ローズに抱かれてきたのは、目をクリっとした可愛らしい女の子だった。
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