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愛し子の帰還
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ここはアースガイルという国の1つの街ポーレット。
王弟でもあるポーレット公爵が統治する大きな街である。
アースガイルは人に優しく、獣人やエルフ・・・ましてや奴隷にも人権のある優しい国だ。
当然、ポーレットの街も市民が穏やかに暮らせる街であるが、1つだけ大きな問題がある。
近くにある、魔獣達が生息する“明けない魔の森”と呼ばれる大きな森の存在である。。
この魔の森が暴走し、過去に何度か街が魔獣達に破壊されてきた。
その為、街は大きな壁で囲まれ脅威から守られていた。
しかし、時に牙を剥く“明けない魔の森”は人々にとっては生活の一部でもあり、多くの冒険者にとっては恰好の稼ぎ場である。
ポーレットに集まるのは冒険者だけではない。
3年前からポーレットでは食文化への意識が高まり、今では王都でも食べられないような美味なる味を求めて、貴族や商人を始めとした旅人も多く訪れていた。
そんな大きな壁の中に造られた山型の街の頂上に、その屋敷はあった。
そして今、その屋敷の主人が難しい顔で報告書を読んでいた。
「父上、お呼びですか?」
ポーレット公爵テオルドは執務室にやって来た嫡男ニコライに書類を渡した。
「少し前から王都より報告があったな。
各地で“エルフの里の戦士”が目撃されるようになったと。
今回はダンジョンだ。」
「ダンジョンですか・・・
やはり、宝や武器を狙っているのでしょうか?」
テオルドと同じく顔を顰めたニコライは書類を読み進めた。
「うむ。今回の報告書には“天空のダンジョン”が消滅したとある。
自然と消え去ったのか、人為的か・・・。
どちらにせよ、調査をしなくてはならん。」
「すぐに準備しましょう。
・・・。
その“天空のダンジョン”の唯一の攻略者は今頃、どうしているでしょうね。」
ニコライの言葉にテオルドは微笑んだ。
「今頃、相棒と狩りでもしているのではないか?」
2人は顔を見合わせ微笑んだ。
そんな時だった。
バンッ!!
「父上!あっ!兄上もおられたのですね。」
「どうした。騒々しい。」
もう1人の息子、次男ヴァルトが慌てて部屋に入ってくるとテオルドは呆れた様に眉間に皺を作った。
「申し訳ありません、急いで来たもので・・・。」
「で?どうした?ヴァルト。
今夜の夕飯の話かい?」
兄に揶揄われているのが分かるとヴァルトは不機嫌そうに首を横に振った。
「違いますよ。今、ソルがやって来まして・・・。
あれ?」
ヴァルトは先程まで自分の肩に乗っていた小さな鳥を探しに廊下に出ると、真紅の小鳥が自身の従魔であるカーバンクルのクロムスと戯れているのを見て、溜息を吐いた。
「おいおいおい・・・。
頼むよ。ソル。
父上宛に大切なお使いを頼まれたのだろう?」
ヴァルトの小言を気にするでもなく、赤い小鳥はテオルドの執務机まで羽ばたき紙をぽとりと落とした。
「オツカイ オツカイ ソル エライ?」
「あぁ、よく届けてくれたな。」
テオルドが頭を撫でてやると、赤い小鳥は嬉しそうにステップを踏み、ニコライが差し出す水をコクコクと飲んだ。
「通信用の指輪を渡したというのに、アイツは・・・。
今度も手紙ですか?」
「火球の知らせではないのだろう。
クククっ。」
テオルドは笑いながら小鳥が運んで来た手紙を広げた。
「おぉ・・・。」
テオルドの嬉しそうな顔を見た息子2人は何事かと首を捻った。
「帰ってくるそうだ。」
父の言葉に2人の息子は満面の笑みを浮かべた。
「ソル、着いた頃かな?
ヴァルトさん達、元気かな~。」
真っ黒な戦闘服に身を包んだ青年は大木の頂上に腰掛け、ニッコリとした。
ここはアースガイルという国の1つの街ポーレット。
王弟でもあるポーレット公爵が統治する大きな街である。
アースガイルは人に優しく、獣人やエルフ・・・ましてや奴隷にも人権のある優しい国だ。
当然、ポーレットの街も市民が穏やかに暮らせる街であるが、1つだけ大きな問題がある。
近くにある、魔獣達が生息する“明けない魔の森”と呼ばれる大きな森の存在である。。
この魔の森が暴走し、過去に何度か街が魔獣達に破壊されてきた。
その為、街は大きな壁で囲まれ脅威から守られていた。
しかし、時に牙を剥く“明けない魔の森”は人々にとっては生活の一部でもあり、多くの冒険者にとっては恰好の稼ぎ場である。
ポーレットに集まるのは冒険者だけではない。
3年前からポーレットでは食文化への意識が高まり、今では王都でも食べられないような美味なる味を求めて、貴族や商人を始めとした旅人も多く訪れていた。
そんな大きな壁の中に造られた山型の街の頂上に、その屋敷はあった。
そして今、その屋敷の主人が難しい顔で報告書を読んでいた。
「父上、お呼びですか?」
ポーレット公爵テオルドは執務室にやって来た嫡男ニコライに書類を渡した。
「少し前から王都より報告があったな。
各地で“エルフの里の戦士”が目撃されるようになったと。
今回はダンジョンだ。」
「ダンジョンですか・・・
やはり、宝や武器を狙っているのでしょうか?」
テオルドと同じく顔を顰めたニコライは書類を読み進めた。
「うむ。今回の報告書には“天空のダンジョン”が消滅したとある。
自然と消え去ったのか、人為的か・・・。
どちらにせよ、調査をしなくてはならん。」
「すぐに準備しましょう。
・・・。
その“天空のダンジョン”の唯一の攻略者は今頃、どうしているでしょうね。」
ニコライの言葉にテオルドは微笑んだ。
「今頃、相棒と狩りでもしているのではないか?」
2人は顔を見合わせ微笑んだ。
そんな時だった。
バンッ!!
「父上!あっ!兄上もおられたのですね。」
「どうした。騒々しい。」
もう1人の息子、次男ヴァルトが慌てて部屋に入ってくるとテオルドは呆れた様に眉間に皺を作った。
「申し訳ありません、急いで来たもので・・・。」
「で?どうした?ヴァルト。
今夜の夕飯の話かい?」
兄に揶揄われているのが分かるとヴァルトは不機嫌そうに首を横に振った。
「違いますよ。今、ソルがやって来まして・・・。
あれ?」
ヴァルトは先程まで自分の肩に乗っていた小さな鳥を探しに廊下に出ると、真紅の小鳥が自身の従魔であるカーバンクルのクロムスと戯れているのを見て、溜息を吐いた。
「おいおいおい・・・。
頼むよ。ソル。
父上宛に大切なお使いを頼まれたのだろう?」
ヴァルトの小言を気にするでもなく、赤い小鳥はテオルドの執務机まで羽ばたき紙をぽとりと落とした。
「オツカイ オツカイ ソル エライ?」
「あぁ、よく届けてくれたな。」
テオルドが頭を撫でてやると、赤い小鳥は嬉しそうにステップを踏み、ニコライが差し出す水をコクコクと飲んだ。
「通信用の指輪を渡したというのに、アイツは・・・。
今度も手紙ですか?」
「火球の知らせではないのだろう。
クククっ。」
テオルドは笑いながら小鳥が運んで来た手紙を広げた。
「おぉ・・・。」
テオルドの嬉しそうな顔を見た息子2人は何事かと首を捻った。
「帰ってくるそうだ。」
父の言葉に2人の息子は満面の笑みを浮かべた。
「ソル、着いた頃かな?
ヴァルトさん達、元気かな~。」
真っ黒な戦闘服に身を包んだ青年は大木の頂上に腰掛け、ニッコリとした。
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