地獄の沙汰も酒次第・・・街に愛された殺し屋達に会いたいのならBar Hopeへようこそ

ぽん

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己の価値を知る男は好かれる

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「そこ!列に戻って!
 順番なのねん♪」

「グアァ!」

 男が、メイドにトンファーで殴られた。

「どけ!女!
 俺達は逃げるんだ。」

「も・・もっ申し訳ございません!
 皆さん並んでいらっしゃいますので、お待ちください!!」

「ぎゃ!!痛っ!」

 街への攻撃を知った犯罪者達が我先に逃げようと暴動寸前になっているのを、メイド姿の女達が暴力を持って対処していた。

「なんだよ!
 アレって、Bar  Hopeの奴らだろう?
 ギャッ!!」

 不満を言う男に鞭が飛んできた。

「うるさい。
 死にたくないなら、大人しく並べ。」

 メイド姿の少女が言葉少なめに鞭を打ち、犯罪者達を整列させていく。

「ほら、並べ。」

 住人ではなく、犯罪の為にダチュラに集まった者達は怯えていた。
《自分達を滅ぼす為に国が襲ってきた》と誠しやかな噂が駆け巡り、街はパニックになっていたのである。

 そこに警察よりも先に現れたメイド3人が武器を持って、仁王立ちしているのである。

「おぉ、悪い!
 遅れた!」

 そこに私服警官のガブが警官達を引き連れてやって来た。

「遅い。」

「あとお願いなのねん♪」

「おっお疲れ様です!!
 私達はっ他も見回ります・・ので宜しくお願いします!」

 不貞腐れるルリといつも通りに笑うポピーに落ち着きのないルースがやって来た。

「それなら、教会の方を頼む。
 サム坊ちゃん達が守ってるのを知って、馬鹿共が自分達も守ってもらおうと押し寄せている。
 もう、爆発寸前だ。
 他はサマンサ達が向かっているから大丈夫だろう。」

 3人のメイドは頷くと足早に去っていった。
 ガブは怯える犯罪者達を見渡した。

「おら!前も後ろも攻撃されて、何処にも逃げ場所はねーんだ。
 今、戦っている奴らの邪魔をするな。
 それが1番の生きる道だ。
 大人しくしてろ。アホどもが!」

 メイド達に怯えていた犯罪者達は何故か警察官達の姿を見て安堵していた。

「「「「助かったぁぁぁ・・・。」」」」


________

ドガーン!!

ドンッドンッドンッ!!

 街中に様々な音が響き渡る中、子供達は怯える事もなく教会に集まっていた。

「さぁ、心配しりませんよ。
 領主様達が守ってくれますからね。」

「みんなで、楽しい歌でも歌おう。」

 ギボン神父とモーリスが施設の子供だけではなく、集まってきた街中の子供達を柔かに迎えていた。

 大人達も慌てる事なく、教会に集まり子供達を奥に隠した。

「安心してください。
 が対処しています。
 我らも皆さんの盾となります。

 《何よりも、子供が優先》父の教えです。
 我ら、ダチュラの貴族がこの一帯を守り抜きます。」

 アルデバラン侯爵家次期当主であるサムエル・・・サムを先頭に“ディアマンの庭”の次世代達が集まっている。
 アルデバラン家の使用人達も戦闘態勢をとり、教会エリアを守っていた。

「おい!俺達も入れろよ!
 ダチュラの市民だぞ!」

「そうだ!入れろ!」

「私の子供が中にいるの!
 助けて!」

 教会に押し寄せる男や女達にアルデバラン家の筆頭執事であるブルは冷静に首を振った。

「この一帯に入れるのは、アルデバラン侯爵が認めた、に限ります。
 あなた方は街の東に向かいなさい。
 そちらも安全ですよ。」

「なんだ!差別するのか!」

「うるせー!執事が!
 入れろって言ったら入れろ!」

「か弱い女をアルデバラン家は見捨てるの?」

 今にも暴発する群衆を前にしてもブルの首が縦に動く事はなかった。

「うるさいねー。
 黙って、下がりな!」

 そこにやって来たのは、街の人間なら知らない人がいない・・・マダム・マリエッタが真っ赤なドレスに身を包み腰に手を当てて立ってた。

 騒いでいた人間達が静まり返ったのを確認すると、マダム・マリエッタは睨みつけた。

「いい大人が慌てんじゃないよ。
 街の正面と後が突破されれば、何にせよ終わりさ。
 何処に行こうが一緒だよ。
 子供達の居場所を荒らすんじゃないよ。」

 扇子で顔を仰ぐと、群衆の後ろを顎でしゃくった。

「それより、良いのかい?
 あの子達のお仕置きから逃げなくて。」

 群衆の後ろから叫び声が聞こえ始めると教会に集まった人間達は慌てた様に散って行った。

「逃げろ!!
 Bar  Hopeのメイド達が武装して来たぞ!!」

「やべー!
 国の騎士にやられるより、ヤバイぞ!!」

 ポピーのトンファー、ルリの鞭、ルースのナックルから逃げ惑う犯罪者達が散って行くのをマダム・マリエッタとブルが見送っていると、そこに何かを引きずる音が聞こえてきた。

ゴトゴトっゴトゴトっ

「ゴホっ、あれ?
 もう大丈夫なのかな?
 せっかく、ガトリング砲を持って来たのに。」

 マダム・マリエッタとブルは顔で見合わすと、現れたペイン・プロキオン伯爵に呆れた顔を向けた。

「あんたは何をしてるんだい?
 体調は良いのかい?」

 ペインはニッコリすると頷いた。

「調子は良いようだ。
 久しぶりに、コレが撃てると思ったんだけどね。
 遅かったかな。
 マリエッタも随分着飾っているじゃないか。
 綺麗だよ。」

「コレが私の戦闘服だからね。
 気張って来たんだよ。
 ・・・・スーツ姿でガトリング砲を持って来たペインに言われたくないけどね。」

「フフフ。
 人前に出るには、お洒落を決めないと男じゃないだろう。
 ゴホッ。
 クロスと共に王都に行けなかったんだ。
 コレくらい役に立つよ。」

 マダム・マリエッタは兄のように慕う幼馴染を抱きしめると一緒に教会の中に入っていった。

 2人の姿を見た住人達は安堵したように顔を緩めた。

 待機していたサムは“ディアマンの庭”のメンバーの存在が住人を安心させる重要さを知った。

「私達もあんな風になれるのかな?」

 隣に立つノエル・リゲルや仲間達にサムは微笑んだ。

「なれるさ。
 いや・・・なるんだ。
 私達の愛する街を守ために・・・。」

 次世代の若者達は決意をした様に頷いたのであった。


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