75 / 90
己の価値を知る男は好かれる
68
しおりを挟む
「大体、犯罪集団を集めている分けですから、あの方も危険な考えを持っていても然るべきで・・・。」
「如何に、英雄を輩出し陛下に寵愛されているとは言え王都を無視するとは流儀がなっていませんな。」
「お聞きになりました?
先日は違法麻酔の販売が行われ摘発されたとか・・・。
恐ろしい。」
功績には目をつむり、聞こえの悪い事ばかりを噂する集団が王宮の1部屋に集まってテーブルを囲んでいた。
ガチャっ
そこに現れたクルーバー侯爵に貴族達は立ち上がって挨拶をした。
「グルーバー侯爵。
お疲れ様です。」
「陛下は何と?」
先日から陛下に自領の負債について尋ねられ、グルーバー侯爵に助けを求めていた貴族達は伺うように尋ねていた。
「災害や戦などの事例で負債を国家が補う事はあれど、私的の流用に対して国税を使うつもりはないと仰せになった。」
「「「そんな・・・。」」」
肩を落とす貴族達にグルーバー侯爵は溜息を吐いた。
ダチュラを追い落とす為には、こんな輩の微力でも必要と分かっている侯爵はうんざりした様だった。
「税を私的に使うなど、私達だけではないのに、何故我々だけ・・・。」
「また、ダチュラの悪魔に進言されたのでは?」
「きっと、そうに違いない。
あの悪魔は我々を破滅させようとさせているのだ。」
ブツブツと話す、貴族達にグルーバー侯爵は冷めた視線を送るが今の一言に思いついたように焚き付けた。
「そう言えば、先ほどリゲル団長がダチュラよりお帰りになったようだ。
直ぐに陛下の元に向かわれた。
何か吹き込んでいないと良いが・・・。
陛下も困ったものだ。
陛下を憂いている1番の臣下達よりも、遠くの“悪魔貴族”をお頼りになるとな。
最早、アルデバラン家にはかつての英雄はいないと言うのに・・・。
陛下は自身を守ったサムエル・アルデバランに義理立てなさっているのだろう。」
グルーバー侯爵の言葉に無言で頷く貴族立ちは怒り心頭だった。
「ダチュラのカジノで私は大金を失った!
きっと、私を破滅させようとしていたのだ!」
「私は“ホテル・オネスト”で、周りに他領の貴族がいたのに、ソニア・ポルックスに恥をかかされたんだ。
それからだ!私に出資する者が減っていったのは!」
「ゴロツキを囲む、アルデバラン侯爵も同じ穴のムジナだ!
きっと、違法な方法で稼いでいるに違いない!
もう我慢ができん!
グルーバー侯爵!
何とかして、ダチュラに兵を向けられないのですか?」
グルーバー侯爵は考える仕草をすると、微笑んだ。
「あの街はアルデバラン侯爵に守られていると同時に、アルデバラン侯爵もあの街に守られているのだ。
だったら、引きずり出せばいい。
如何に、悪魔の如きアルデバラン侯爵でも王都の流儀には疎いはずだ。
国王陛下の前で失態を犯せば、直ぐにでも地位が揺らぐに違いない。
今までは、奴のテリトリーで争っていたが、何て事はない。
我らの領分で始末すれば良いだけの事。
社交など知らない、あの男も自領から出れば大した事はないだろう。」
「「「おぉぉ。流石、グルーバー侯爵でございます!!」」」
グルーバー侯爵は自分を持ち上げる貴族達を軽蔑しながらも、利用価値を見出す自分に酔っていた。
『こんな奴らだが、餌にすればいい。
例え、失敗しても捨て去るだけだ。』
多くの貴族が束になり、アルデバラン侯爵を相手取って裁判を仕掛けたのは数週間後の事であった。
《罪状:詐欺・国家反逆・恐喝・・・》
並んでいる罪状に心当たりのあるクロス・アルデバランは大笑いをした。
「見てみろ。
今更な言葉が並んでいるぞ。
奴等め、ダチュラから私を引きずり出すつもりのようだ。
大方、田舎者の私を王都で潰すつもりなのだろう。
クククっ
面白くなってきなた。」
書類を摘みピラピラと揺らすと筆頭執事ブルに渡すクロスは実に楽しそうだった。
ブルはノワールに書類を渡すと自身も後ろに周り覗き込んだ。
「これはこれは、豪勢な罪状にございますね。
寧ろ、今までよくぞ仕掛けてこなかったものです。」
ノワールも楽しそうに微笑むと、そんな2人にブルは呆れたように苦笑した。
「如何いたしましょう?」
ブルの言葉にクロスは顎の下で手を組むと目を光らせた。
「彼方が、お望みなんだ。
ダチュラ、総攻撃でいこう。」
「「畏まりました。」」
2人の執事が出て行くと、クロスは電話を取った。
「・・・サムエル。
王都に行く事になったぞ。」
クロス・アルデバランを王都に・・・。
王都で盛り上がる、反ダチュラの貴族達は自分達が正しいと疑わない。
裁判が恐怖に包まれるのは、近しい未来だった。
それに気づいいていな貴族達は連日、前祝いとしたパーティーを楽しむのであった。
「如何に、英雄を輩出し陛下に寵愛されているとは言え王都を無視するとは流儀がなっていませんな。」
「お聞きになりました?
先日は違法麻酔の販売が行われ摘発されたとか・・・。
恐ろしい。」
功績には目をつむり、聞こえの悪い事ばかりを噂する集団が王宮の1部屋に集まってテーブルを囲んでいた。
ガチャっ
そこに現れたクルーバー侯爵に貴族達は立ち上がって挨拶をした。
「グルーバー侯爵。
お疲れ様です。」
「陛下は何と?」
先日から陛下に自領の負債について尋ねられ、グルーバー侯爵に助けを求めていた貴族達は伺うように尋ねていた。
「災害や戦などの事例で負債を国家が補う事はあれど、私的の流用に対して国税を使うつもりはないと仰せになった。」
「「「そんな・・・。」」」
肩を落とす貴族達にグルーバー侯爵は溜息を吐いた。
ダチュラを追い落とす為には、こんな輩の微力でも必要と分かっている侯爵はうんざりした様だった。
「税を私的に使うなど、私達だけではないのに、何故我々だけ・・・。」
「また、ダチュラの悪魔に進言されたのでは?」
「きっと、そうに違いない。
あの悪魔は我々を破滅させようとさせているのだ。」
ブツブツと話す、貴族達にグルーバー侯爵は冷めた視線を送るが今の一言に思いついたように焚き付けた。
「そう言えば、先ほどリゲル団長がダチュラよりお帰りになったようだ。
直ぐに陛下の元に向かわれた。
何か吹き込んでいないと良いが・・・。
陛下も困ったものだ。
陛下を憂いている1番の臣下達よりも、遠くの“悪魔貴族”をお頼りになるとな。
最早、アルデバラン家にはかつての英雄はいないと言うのに・・・。
陛下は自身を守ったサムエル・アルデバランに義理立てなさっているのだろう。」
グルーバー侯爵の言葉に無言で頷く貴族立ちは怒り心頭だった。
「ダチュラのカジノで私は大金を失った!
きっと、私を破滅させようとしていたのだ!」
「私は“ホテル・オネスト”で、周りに他領の貴族がいたのに、ソニア・ポルックスに恥をかかされたんだ。
それからだ!私に出資する者が減っていったのは!」
「ゴロツキを囲む、アルデバラン侯爵も同じ穴のムジナだ!
きっと、違法な方法で稼いでいるに違いない!
もう我慢ができん!
グルーバー侯爵!
何とかして、ダチュラに兵を向けられないのですか?」
グルーバー侯爵は考える仕草をすると、微笑んだ。
「あの街はアルデバラン侯爵に守られていると同時に、アルデバラン侯爵もあの街に守られているのだ。
だったら、引きずり出せばいい。
如何に、悪魔の如きアルデバラン侯爵でも王都の流儀には疎いはずだ。
国王陛下の前で失態を犯せば、直ぐにでも地位が揺らぐに違いない。
今までは、奴のテリトリーで争っていたが、何て事はない。
我らの領分で始末すれば良いだけの事。
社交など知らない、あの男も自領から出れば大した事はないだろう。」
「「「おぉぉ。流石、グルーバー侯爵でございます!!」」」
グルーバー侯爵は自分を持ち上げる貴族達を軽蔑しながらも、利用価値を見出す自分に酔っていた。
『こんな奴らだが、餌にすればいい。
例え、失敗しても捨て去るだけだ。』
多くの貴族が束になり、アルデバラン侯爵を相手取って裁判を仕掛けたのは数週間後の事であった。
《罪状:詐欺・国家反逆・恐喝・・・》
並んでいる罪状に心当たりのあるクロス・アルデバランは大笑いをした。
「見てみろ。
今更な言葉が並んでいるぞ。
奴等め、ダチュラから私を引きずり出すつもりのようだ。
大方、田舎者の私を王都で潰すつもりなのだろう。
クククっ
面白くなってきなた。」
書類を摘みピラピラと揺らすと筆頭執事ブルに渡すクロスは実に楽しそうだった。
ブルはノワールに書類を渡すと自身も後ろに周り覗き込んだ。
「これはこれは、豪勢な罪状にございますね。
寧ろ、今までよくぞ仕掛けてこなかったものです。」
ノワールも楽しそうに微笑むと、そんな2人にブルは呆れたように苦笑した。
「如何いたしましょう?」
ブルの言葉にクロスは顎の下で手を組むと目を光らせた。
「彼方が、お望みなんだ。
ダチュラ、総攻撃でいこう。」
「「畏まりました。」」
2人の執事が出て行くと、クロスは電話を取った。
「・・・サムエル。
王都に行く事になったぞ。」
クロス・アルデバランを王都に・・・。
王都で盛り上がる、反ダチュラの貴族達は自分達が正しいと疑わない。
裁判が恐怖に包まれるのは、近しい未来だった。
それに気づいいていな貴族達は連日、前祝いとしたパーティーを楽しむのであった。
34
お気に入りに追加
870
あなたにおすすめの小説
死にたがりの黒豹王子は、婚約破棄されて捨てられた令嬢を妻にしたい 【ネコ科王子の手なずけ方】
鷹凪きら
恋愛
婚約破棄されてやっと自由になれたのに、今度は王子の婚約者!?
幼馴染の侯爵から地味で華がない顔だと罵られ、伯爵令嬢スーリアは捨てられる。
彼女にとって、それは好機だった。
「お父さま、お母さま、わたし庭師になります!」
幼いころからの夢を叶え、理想の職場で、理想のスローライフを送り始めたスーリアだったが、ひとりの騎士の青年と知り合う。
身分を隠し平民として働くスーリアのもとに、彼はなぜか頻繁に会いにやってきた。
いつの間にか抱いていた恋心に翻弄されるなか、参加した夜会で出くわしてしまう。
この国の第二王子としてその場にいた、騎士の青年と――
※シリーズものですが、主人公が変わっているので単体で読めます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜
優陽 yûhi
ファンタジー
3万もの騎士団を引き連れ、魔王軍討伐に出た勇者パーティは、為す術もなく蹂躙され壊滅寸前。そこに突如と現れ、1千もの魔族を涼しげな顔で殲滅する少年アルティス15歳。人であるにも拘わらず、神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で神々の下で暮らし、磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、創造神の下に集う12柱の神々は囁く。10年もの間行方不明とされていたアルティスは、討伐隊に参加していた元婚約者、王女フィオナとの衝撃の再会…いや、笑劇の再会を果たすのだった。
最終話まで書き終えました。
7月30日迄、全96話、毎日12時に予約投稿完了です。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる