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1巻
1-2
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そうして時間が経つと、庵の目の症状が落ち着いてきた。
庵が恐々と目を開けると、さっきまで見えていた景色が嘘だったかのように、クリアに見ることが出来た。
神様を見ると笑顔で頷く。
「魔眼です。銃を持ってください。スコープの役割もしますし鑑定スキルも付けました。便利ですよ?」
「これならライフルも使えそうです。ありがとうございます」
子狼を見ると、嬉しそうにシッポを振って庵の周りを飛び跳ねている。
「さぁ、次ですよ。身体強化、視力向上、魔力最大、精神安定、共通言語……。あとはえーと……」
それから、訳が分からないうちに、神様から沢山の付与を与えられ、庵は固まっていることしか出来なかった。
神様はそれで満足すると、今度は子狼を手招きする。子狼は不思議そうにテトテトと近づいていく。
「お前も相沢さんと一緒に向こうの世界に行くんですよ。そのためにお前も相沢さんを守れるようにしなくては」
「キャン! キャン!」
「お前には……。フェンリルになってもらうよ。向こうの世界では神獣と呼ばれているからね。山神に愛されたお前にピッタリだ」
神様が子狼の頭を撫でると、子狼は光った。
すると、大きな狼くらいになった。
「うわぁー」
驚く庵に神様は振り向き、なぜかガッツポーズを決めた。
「向こうの世界でフェンリルは希少です。戦闘力も高く、感知能力もあります。きっと貴方の役に立つでしょう。さぁ、この子に名前を付けて」
庵がフェンリルになった子狼に恐る恐る近づく。
子狼は大きくなった体を庵に擦りつけ、サファイアブルーの目で催促してくる。
「本当にお前なんだね……。いきなり大きくなるから驚いたよ。今日はずっと驚きっぱなしだよ。ん? 名前だよね。シロとかポチとか……嫌かい? フフフ。そうだな……。〝ゼン〟はどうだい? 山神様のお山の名前から取ったんだ。あのお山は〝白禅山〟。だから、お前の名前はゼンにしよう」
庵がそう言うと、フェンリルと光の線で繋がる。
光が結ばれると、すぐに消えた。
『ゼン! ボク。ゼン! 嬉しい。イオリ好きー!』
ゼンと名付けたフェンリルは、飛び跳ねながら庵に抱きつく。
「話せるの? どういうこと?」
『イオリと話せるー! スゴイねー』
「それはね。2人が従魔契約をしたからですよ」
神様は悪戯が成功したように、嬉しそうに笑った。呆気に取られる庵は、フフフと笑う神様に視線を向けた。
神様が口を開く。
「人の言葉が分かる神獣や幻獣などもいます。この子はまだ子供ですので、契約という名の絆を結んだ相手としか話せません。成長したら、他の人とも話せるようになります。大きさだってもっと大きくなります。目立ち過ぎて困りますから、成長すると自由に大小の変化が出来るようにしましょう」
庵とゼンは顔を見合わせ、ニコニコ笑った。
「これからよろしくね、ゼン」
『これからはイオリと一緒?』
「そうだよ。一緒だよ」
『嬉しい! イオリ! ボク嬉しい!』
パンッ!!
神様が手を打って2人を注目させる。
「それでは、向こうの世界についてです。人間だけでなく獣人、エルフ、ドワーフ、魔族などの種族がいます。それから2人に行ってもらうのは〝アースガイル〟という国です。政治体制は王政をとっていて、この国の現国王は聖王とも賢王とも言われている出来た人物です。人間は、獣人などを差別しがちですが、この国はこれを禁止しています。ただ合法的な奴隷がいます。これは雇用形態の一種で、虐待などは厳罰に処されます。賢王は国民に愛され、相沢さんも生きやすい国だと思います。もちろん完璧とは言えません。貴族の中には悪い考えを持つ者もいますし、近くには、軍事力に物を言わせる国もあります」
またもや、庵を置いて神様は説明していくので、庵は慌てて口を挟んだ。
「最初から街などに行かなければいけませんか? 初めは山など人のいない所で、新しい体を馴染ませる訓練をしながらゼンと2人で暮らしたいのですが」
「ふむ……。でしたら、まずは〝ポーレット〟という街の外にある〝明けない魔の森〟と言われる魔獣が生息する森に送りましょう。普通の人は来ません。冒険者も高ランクしか来られない所です。訓練するにはピッタリです」
ニコニコした神様に、庵もニコニコしながらも冷や汗をかく。
「その場所、ヤバくないですか? 高ランクって……」
「大丈夫です。そのために強化したんで! それでは最終確認です! 向こうの世界に行くと相沢さんは13歳になっています。武器は2丁拳銃とスナイパーライフル。弾は創造魔法で作れ、装填までしてくれます。それ以外に使えません。右目はスコープになり、鑑定も出来ます。バックパックは腰バッグに改良し、空間・時間魔法を付与してます。中に色々と改良した物を入れてますので、あちらに行ったら鑑定してみてください」
神様はゼンの頭を撫でた。
「この子はフェンリルになりました。戦闘力が高いですし、風魔法と水魔法が得意です。成長すればもっと大きくなります」
そして一息つき、さらに続ける。
「訓練が終わったらポーレットに行くといいでしょう。ここの領主は良き人で、街も良い街です。以上です!」
「……。何から何までありがとうございました。2人で頑張ってみます。あの……」
庵はそう言うと、天国の扉を見た。
神様が庵の考えを察して言う。
「ご両親とご祖父母に会わせることは出来ませんが、伝言があれば……」
「ありがとうございます。親には、元気でやっていると。祖父母には、2人のおかげで生きていけていると伝えてください」
「承りました」
「それと! 山神様にも、よろしくお伝えください。この子に〝禅〟の1字をいただきましたと」
「承りました」
「では、行きます」
「はい。では、こちらへ」
庵は神様に導かれながら、綺麗な模様が彫り込まれた石の扉の前に立った。
神様が最後に言う。
「私の名前はリュオンです。街に行ったら教会を訪ねてください。そこでまたお会いしましょう。相沢さん、どうかお気をつけて自由に楽しんでくださいね」
「ありがとうございました。ゼン、行こうか。リュオン様、いってきます」
「うん! 行こう」
リュオンが開けた扉の向こうから光が輝く。その光の中に庵とゼンは吸い込まれていった……。
「行きましたか。さて……」
リュオンは扉を閉めると、天国の扉に手をかけた。
第2章 始まり
3
さわさわと風が頬を撫でる。頭にある柔らかい枕が目覚めを誘う。
イオリは深く息を吸い、手を上げ、伸びをしながら起き上がった。
白い毛がスリスリと腰にすり寄ってきた。
『イオリ! 起きた?』
「うん。ここが〝明けない魔の森〟かぁ。ゼンも大丈夫? まずは安全な場所に行こう。荷物の確認したいし、生活する所を探さないとだね」
相沢庵――イオリはゼンを撫でながら自分達のいる場所を見渡した。
前の世界の山とは確実に違うと感じる。
でも、どことなく知っている植物もある気がする。
『あっちから、神様の匂いがするよ! こっちだよ』
ゼンは鼻先を押し当ててイオリを後ろから押す。
「リュオン様が行き先を教えてくれてるのかな? 何から何までありがたい。にしても、ゼン。また大きくなった?」
『違うよ。イオリが小さくなったんだよ。大きいイオリも好きだけど、小さいイオリも可愛いーねー』
歩きながら手や足を見ると、確かに小さくなっている。
「リュオン様が言ってたね。もう13歳になってるんだね。あっ。腰バッグもある」
イオリは腰バッグを撫でた。
2人で自分達の変化を言い合いながら歩くと、いつの間にか大きな泉に出た。
泉の中央に岩山があって階段のようになっている。
その岩の上の方に洞穴があった。
『ここ! ここ! 神様! リュオン様の匂いがするよ』
ゼンがイオリを見上げ、嬉しそうに飛び跳ねる。
イオリは引き寄せられるように泉に近づいた。
泉を覗き込むと、幼くなった自分と目が合った。
知っている黒い髪、知らない青い右目と薄い縦傷。ただし、目も傷痕もよく見なければ分からない。
先ほどまで夢見心地だったのが、一気に現実だと理解する。両目がジンと熱くなった。
『イオリと一緒! 目! 一緒!』
一緒に泉を覗き込んでいたゼンが嬉しそうに尻尾を振った。無邪気なゼンに救われた気持ちになったイオリは目を細める。
「そうだね。一緒だね。初めてゼンに会った時から綺麗な目だと思っていたから嬉しいよ」
もう一度泉を覗き込む。
あまりにも水が綺麗で、深さも確認出来る。
「多分、リュオン様は、匂いであの向こうの島に行けって示しているんだろうけど、どうしたらいいんだろう……泳ぐ?」
水鏡越しにゼンと話しながら、水面を軽く触った時だった。なんの音もせずに、島までの泉が割れたのだ。
2人が歩けるくらいの道が出来た。
驚いた2人は思わず飛び上がってしまった。
「行っていいのかな?」
『いいみたい。あっちの方からリュオン様の匂いするもん』
戸惑うイオリが見下ろす。ゼンは前脚で水があった場所をツンツンとしていた。
2人で頷き合って泉の道を歩きだす。
割れた水の道は2人が歩いてもそのままだった。泉の小島に足を踏み入れて後ろを振り向く。すると、音もせずに道は元に戻っていった。
「凄いな。リュオン様、凄過ぎる……」
『このお水……魔物は入れないみたい。リュオン様の力を感じるー』
どうやら島を囲んだ泉が聖域になっていて、2人を守ってくれているようだった。
改めてリュオン様に感謝しながらイオリは祈った。心なしか心が温かくなった気がした。
岩山の洞穴を覗き込む。そうして安全を確認してから、イオリは腰を下ろし、腰バッグの中をチェックすることにした。
テント、ランタン、お金……と色々と出てくる。鑑定を試みる。
「鑑定ってどうするんだろう? リュオン様はイメージって言ってたな。イメージ……イメージ……イメージ……」
テントを見てみると、右目を通じて文字が浮かんできた。
魔法テント: 魔道具。イオリ専用。イオリが認めた人しか入れない。
盗まれてもイオリの腰バッグに戻る。湿度・温度を快適に保つ。
隠密スキル、シールドスキル。
「これがテントだって? 設置してみよう」
洞穴の中に広げてみる。元々持っていたAフレーム型テントだった。慣れた手つきで素早く設置してから、入り口をめくってみた。
「はっ? ……はぁ!?」
1人用テントの中には、とんでもなく広い空間が広がっていた。
「ありえない……」
何度も外と中を確認する。
外から見ると、ソロ用テントで1人が寝られて荷物が入ればいいくらいでしかない。
しかし、中はモンゴルのゲルのようになっていて、円形で天井が高く、硬い床の上には毛足の長いラグマットが敷かれている。
奥には3段ほど高いフロアにダブルマットレスベッドが置かれて、枕の上にライトがかかっていた。手前には茶卓があり、その周りにはクッションが散らばっていて、壁沿いには小さいキッチンシンクがあった。
イオリは履いていたブーツを脱ぐと、腰バッグから布を引っ張り出してゼンの足を拭いてやった。
ゼンはテントの中をチェックするように匂いを嗅ぐ。それで安全と分かったのか、尻尾をブンブン振ってイオリを見てきた。
イオリはフカフカのラグを確かめるように踏みしめ、右目で鑑定した。
ラグマット: 元々は、庵のレジャーシート。最高級のミンクを素材に使用。
フワフワモコモコ、この上で寝ても良い。
茶卓: 元々は、庵のキャンプ用ローテーブル。軽量で折り畳み可能。
マットレスベッド: 元々は、庵のコット。ダブルサイズに変更。腰に優しい。
布団: 元々は、庵のシュラフ。蒸れない寒くない。快適。
キッチン: 元々は、庵のキャンプ用棚。シンクのみ簡易キッチン。水も出る。
クッション: サービス。モフモフ。
「凄過ぎる。リュオン様、気合い入れ過ぎてる……」
イオリはクッションの間に座り、残りを調べようとカラビナが付いた水筒を手に取った。
水筒: 元々は、庵の水筒。いつでも白禅山の湧水が飲める。料理にも最適。
無限に出る。
振ってみてもなんの音もしない。首を傾げながらフタを開けると、チャプッと音がする。
試しに飲んでみると、
「冷たい! 美味い!」
ゴクゴク飲むイオリを見て、ゼンも近づいてきて催促する。
「ちょっと待って! バックパックの中の物全部ということはあるはず……あった!」
イオリは木の浅皿を出して水筒を傾け、水で満たした。水の入った浅皿を茶卓に置いて、ゼンに勧めると勢いよく飲みだした。
ゼンは満足そうに喜ぶ。
『お山の水だー! 美味しー!』
引き続いて腰バッグを漁るイオリ。
鍋: 元々は、庵のコッヘル。耐久性に優れている。
コンロ: 元々は、庵のバーナー。五徳付き魔道具に改良。
魔石が埋め込まれていて燃料切れがない。
「火の心配はないのかな……。よし」
チェア: 元々は、庵のキャンプチェア。軽量は変わらないが、木と布で作り直した。
イオリはチェアを入り口の脇に置いた。
その後も腰バッグを漁っていると、少量の食器類、少量の食べ物、着替えやタオルなど生活に必要な物が出てきた。共通点と言えば、リュオンの加護と盗難防止が付与されていたことだ。
残りは、武器とお金である。
まずイオリはお金の入っている腕輪を茶卓に置いた。
「……? これが財布なのかな?」
硬貨: この世界のお金。単位はない。日本円に直すと次の通り。所持数も記載。
硬貨そのものだと不便なため腕輪で管理。腕輪は庵の腕時計。
電子マネーです。ピッです。
銅貨:100円 × 5000枚
銀貨:1万円 × 5000枚
金貨:10万円 × 5000枚
大きいお金はここぞってところで使ってくださいね。
「金貨だけで……5億っ。……いやいやいやいや!! 何、この量……。電子マネーって……。俺、前の世界でも使ったことないよ。村で必要ないもん。いや、5億……。忘れよう……。ここぞの時ってあるし、当分使わないし。忘れよう」
イオリは腕輪を腰バッグに入れ、頭を振って気持ちを切り替えた。それから、銃とナイフを持って立ち上がった。
イオリは椅子に座りブーツを履く。それからゼンに声をかけた。
「ゼン。武器を試しに行くけど、一緒に行かないか?」
『行く! ボクも体動かしたい!』
△ △ △
2人で外に出るとまだ明るい。石の階段を下りて体を伸ばす。
初めにスナイパーライフルを手にし、構えてみた。
「イメージ……。イメージ……」
拡大スコープをイメージすると、右目から出る二重の青い輪が照準を合わせてくれる。仕組みをなんとなく理解したイオリは、泉の向こうにある木の実を狙う。
輪の中心にT字のレティクルが出てきた。転移前は裸眼で猟銃を使っていたため感心する。
「便利なもんだな。ゼン、なんとかなりそうだよ」
もう一度ライフルを構えて、木の実を狙い通常の弾をイメージして引き金を引く。
ドンッ!!
音とともに木の実が砕けた。
『イオリすごーい!』
「使えるね。でも木の実じゃ威力が強過ぎるね。色々試さないと」
次は、と拳銃を出す。
「これは、転移前は使ったことがないんだよな。どう練習しようかな。とりあえず試すしかないか……。ゼン向こうに行ってみようか?」
『うん。ダメならここに逃げてこよう。リュオン様が守ってくれるよ』
「なるほどね。ゼンは悪い気配とか感知出来るんだよね。心強いよ」
『まかせて!』
2人は泉に近づき、水に触れる。泉が割れて出来た道を渡った。
しばらく歩き、先ほど撃った木の実を確認して威力を見る。
「うん。当分は通常弾で練習しよう。ゼンも好きに走っておいで。まだ、どんな所か分からないから気をつけてね」
『はーい』
ゼンは土の感触を試しながら走りだした。少し様子を見ると、ゼンは木を簡単に倒している。イオリは驚いた。
「……俺も頑張ろう」
2丁拳銃も試してみた。
「撃ち終わったら弾は消えるのか……」
何度撃っても、撃ち込んだ弾痕に弾がないことが分かった。また転移前より体が軽い。若返っただけではない何かがある。
そこでふと気づく。
目の端に動くモノがあった。
鑑定してみると〝一角兎〟と出た。イオリに気づき逃げようとしている。
瞬時にイオリが飛び、一角兎を捕まえた。ジタバタしている一角兎を離すと、草むらに逃げていった。
「身体能力が上がってる? あぁ……。なんか沢山、能力付けてくれてたな」
自分の体と能力を確認していると、ゼンが戻ってきた。
『イオリ! これ食べていい?』
ゼンが持ってきた果実っぽい物を鑑定する。〝りんご〟と出た。
「これ、食べられるよ。りんごだって。持っていこう。もう少しこの辺を探索しながら帰ろうか」
泉に帰る道すがら、落ちている枝を拾う。そしてナイフで余計な葉を切り、ゼンに持ってもらった。
石を何個か腰バッグに入れ、枯葉を拾う。
テントに戻ってくる。
洞穴の外の広い所に石を囲み、枝と枯葉を並べた。そうしてから魔道具のコンロで火をつけ、焚き火を作った。
水を浅皿に入れ、りんごをナイフで切る。
ゼンに差し出すと嬉しそうに食べた。
『甘酸っぱくて美味しいよ!』
その後、この日は泉の周りを探索した。
転移前でも見知った植物があり、使えると分かると採取した。
ご飯はリュオン様が用意してくれた物を食べた。だが、明日からは自分で用意しなければいけない。
イオリは持ち帰った青く茂った枝を蔓で縛って、柵を作った。そうして洞穴に埋め込む。
「よし、これで外から見えないよな。なんとかやっていけるかな」
ここから1週間、第一異世界人に会うまで、イオリとゼンは魔の森の行動範囲を広げ、一角兎をはじめ小動物を獲物として追いかけては、体を鍛えるのだった。
庵が恐々と目を開けると、さっきまで見えていた景色が嘘だったかのように、クリアに見ることが出来た。
神様を見ると笑顔で頷く。
「魔眼です。銃を持ってください。スコープの役割もしますし鑑定スキルも付けました。便利ですよ?」
「これならライフルも使えそうです。ありがとうございます」
子狼を見ると、嬉しそうにシッポを振って庵の周りを飛び跳ねている。
「さぁ、次ですよ。身体強化、視力向上、魔力最大、精神安定、共通言語……。あとはえーと……」
それから、訳が分からないうちに、神様から沢山の付与を与えられ、庵は固まっていることしか出来なかった。
神様はそれで満足すると、今度は子狼を手招きする。子狼は不思議そうにテトテトと近づいていく。
「お前も相沢さんと一緒に向こうの世界に行くんですよ。そのためにお前も相沢さんを守れるようにしなくては」
「キャン! キャン!」
「お前には……。フェンリルになってもらうよ。向こうの世界では神獣と呼ばれているからね。山神に愛されたお前にピッタリだ」
神様が子狼の頭を撫でると、子狼は光った。
すると、大きな狼くらいになった。
「うわぁー」
驚く庵に神様は振り向き、なぜかガッツポーズを決めた。
「向こうの世界でフェンリルは希少です。戦闘力も高く、感知能力もあります。きっと貴方の役に立つでしょう。さぁ、この子に名前を付けて」
庵がフェンリルになった子狼に恐る恐る近づく。
子狼は大きくなった体を庵に擦りつけ、サファイアブルーの目で催促してくる。
「本当にお前なんだね……。いきなり大きくなるから驚いたよ。今日はずっと驚きっぱなしだよ。ん? 名前だよね。シロとかポチとか……嫌かい? フフフ。そうだな……。〝ゼン〟はどうだい? 山神様のお山の名前から取ったんだ。あのお山は〝白禅山〟。だから、お前の名前はゼンにしよう」
庵がそう言うと、フェンリルと光の線で繋がる。
光が結ばれると、すぐに消えた。
『ゼン! ボク。ゼン! 嬉しい。イオリ好きー!』
ゼンと名付けたフェンリルは、飛び跳ねながら庵に抱きつく。
「話せるの? どういうこと?」
『イオリと話せるー! スゴイねー』
「それはね。2人が従魔契約をしたからですよ」
神様は悪戯が成功したように、嬉しそうに笑った。呆気に取られる庵は、フフフと笑う神様に視線を向けた。
神様が口を開く。
「人の言葉が分かる神獣や幻獣などもいます。この子はまだ子供ですので、契約という名の絆を結んだ相手としか話せません。成長したら、他の人とも話せるようになります。大きさだってもっと大きくなります。目立ち過ぎて困りますから、成長すると自由に大小の変化が出来るようにしましょう」
庵とゼンは顔を見合わせ、ニコニコ笑った。
「これからよろしくね、ゼン」
『これからはイオリと一緒?』
「そうだよ。一緒だよ」
『嬉しい! イオリ! ボク嬉しい!』
パンッ!!
神様が手を打って2人を注目させる。
「それでは、向こうの世界についてです。人間だけでなく獣人、エルフ、ドワーフ、魔族などの種族がいます。それから2人に行ってもらうのは〝アースガイル〟という国です。政治体制は王政をとっていて、この国の現国王は聖王とも賢王とも言われている出来た人物です。人間は、獣人などを差別しがちですが、この国はこれを禁止しています。ただ合法的な奴隷がいます。これは雇用形態の一種で、虐待などは厳罰に処されます。賢王は国民に愛され、相沢さんも生きやすい国だと思います。もちろん完璧とは言えません。貴族の中には悪い考えを持つ者もいますし、近くには、軍事力に物を言わせる国もあります」
またもや、庵を置いて神様は説明していくので、庵は慌てて口を挟んだ。
「最初から街などに行かなければいけませんか? 初めは山など人のいない所で、新しい体を馴染ませる訓練をしながらゼンと2人で暮らしたいのですが」
「ふむ……。でしたら、まずは〝ポーレット〟という街の外にある〝明けない魔の森〟と言われる魔獣が生息する森に送りましょう。普通の人は来ません。冒険者も高ランクしか来られない所です。訓練するにはピッタリです」
ニコニコした神様に、庵もニコニコしながらも冷や汗をかく。
「その場所、ヤバくないですか? 高ランクって……」
「大丈夫です。そのために強化したんで! それでは最終確認です! 向こうの世界に行くと相沢さんは13歳になっています。武器は2丁拳銃とスナイパーライフル。弾は創造魔法で作れ、装填までしてくれます。それ以外に使えません。右目はスコープになり、鑑定も出来ます。バックパックは腰バッグに改良し、空間・時間魔法を付与してます。中に色々と改良した物を入れてますので、あちらに行ったら鑑定してみてください」
神様はゼンの頭を撫でた。
「この子はフェンリルになりました。戦闘力が高いですし、風魔法と水魔法が得意です。成長すればもっと大きくなります」
そして一息つき、さらに続ける。
「訓練が終わったらポーレットに行くといいでしょう。ここの領主は良き人で、街も良い街です。以上です!」
「……。何から何までありがとうございました。2人で頑張ってみます。あの……」
庵はそう言うと、天国の扉を見た。
神様が庵の考えを察して言う。
「ご両親とご祖父母に会わせることは出来ませんが、伝言があれば……」
「ありがとうございます。親には、元気でやっていると。祖父母には、2人のおかげで生きていけていると伝えてください」
「承りました」
「それと! 山神様にも、よろしくお伝えください。この子に〝禅〟の1字をいただきましたと」
「承りました」
「では、行きます」
「はい。では、こちらへ」
庵は神様に導かれながら、綺麗な模様が彫り込まれた石の扉の前に立った。
神様が最後に言う。
「私の名前はリュオンです。街に行ったら教会を訪ねてください。そこでまたお会いしましょう。相沢さん、どうかお気をつけて自由に楽しんでくださいね」
「ありがとうございました。ゼン、行こうか。リュオン様、いってきます」
「うん! 行こう」
リュオンが開けた扉の向こうから光が輝く。その光の中に庵とゼンは吸い込まれていった……。
「行きましたか。さて……」
リュオンは扉を閉めると、天国の扉に手をかけた。
第2章 始まり
3
さわさわと風が頬を撫でる。頭にある柔らかい枕が目覚めを誘う。
イオリは深く息を吸い、手を上げ、伸びをしながら起き上がった。
白い毛がスリスリと腰にすり寄ってきた。
『イオリ! 起きた?』
「うん。ここが〝明けない魔の森〟かぁ。ゼンも大丈夫? まずは安全な場所に行こう。荷物の確認したいし、生活する所を探さないとだね」
相沢庵――イオリはゼンを撫でながら自分達のいる場所を見渡した。
前の世界の山とは確実に違うと感じる。
でも、どことなく知っている植物もある気がする。
『あっちから、神様の匂いがするよ! こっちだよ』
ゼンは鼻先を押し当ててイオリを後ろから押す。
「リュオン様が行き先を教えてくれてるのかな? 何から何までありがたい。にしても、ゼン。また大きくなった?」
『違うよ。イオリが小さくなったんだよ。大きいイオリも好きだけど、小さいイオリも可愛いーねー』
歩きながら手や足を見ると、確かに小さくなっている。
「リュオン様が言ってたね。もう13歳になってるんだね。あっ。腰バッグもある」
イオリは腰バッグを撫でた。
2人で自分達の変化を言い合いながら歩くと、いつの間にか大きな泉に出た。
泉の中央に岩山があって階段のようになっている。
その岩の上の方に洞穴があった。
『ここ! ここ! 神様! リュオン様の匂いがするよ』
ゼンがイオリを見上げ、嬉しそうに飛び跳ねる。
イオリは引き寄せられるように泉に近づいた。
泉を覗き込むと、幼くなった自分と目が合った。
知っている黒い髪、知らない青い右目と薄い縦傷。ただし、目も傷痕もよく見なければ分からない。
先ほどまで夢見心地だったのが、一気に現実だと理解する。両目がジンと熱くなった。
『イオリと一緒! 目! 一緒!』
一緒に泉を覗き込んでいたゼンが嬉しそうに尻尾を振った。無邪気なゼンに救われた気持ちになったイオリは目を細める。
「そうだね。一緒だね。初めてゼンに会った時から綺麗な目だと思っていたから嬉しいよ」
もう一度泉を覗き込む。
あまりにも水が綺麗で、深さも確認出来る。
「多分、リュオン様は、匂いであの向こうの島に行けって示しているんだろうけど、どうしたらいいんだろう……泳ぐ?」
水鏡越しにゼンと話しながら、水面を軽く触った時だった。なんの音もせずに、島までの泉が割れたのだ。
2人が歩けるくらいの道が出来た。
驚いた2人は思わず飛び上がってしまった。
「行っていいのかな?」
『いいみたい。あっちの方からリュオン様の匂いするもん』
戸惑うイオリが見下ろす。ゼンは前脚で水があった場所をツンツンとしていた。
2人で頷き合って泉の道を歩きだす。
割れた水の道は2人が歩いてもそのままだった。泉の小島に足を踏み入れて後ろを振り向く。すると、音もせずに道は元に戻っていった。
「凄いな。リュオン様、凄過ぎる……」
『このお水……魔物は入れないみたい。リュオン様の力を感じるー』
どうやら島を囲んだ泉が聖域になっていて、2人を守ってくれているようだった。
改めてリュオン様に感謝しながらイオリは祈った。心なしか心が温かくなった気がした。
岩山の洞穴を覗き込む。そうして安全を確認してから、イオリは腰を下ろし、腰バッグの中をチェックすることにした。
テント、ランタン、お金……と色々と出てくる。鑑定を試みる。
「鑑定ってどうするんだろう? リュオン様はイメージって言ってたな。イメージ……イメージ……イメージ……」
テントを見てみると、右目を通じて文字が浮かんできた。
魔法テント: 魔道具。イオリ専用。イオリが認めた人しか入れない。
盗まれてもイオリの腰バッグに戻る。湿度・温度を快適に保つ。
隠密スキル、シールドスキル。
「これがテントだって? 設置してみよう」
洞穴の中に広げてみる。元々持っていたAフレーム型テントだった。慣れた手つきで素早く設置してから、入り口をめくってみた。
「はっ? ……はぁ!?」
1人用テントの中には、とんでもなく広い空間が広がっていた。
「ありえない……」
何度も外と中を確認する。
外から見ると、ソロ用テントで1人が寝られて荷物が入ればいいくらいでしかない。
しかし、中はモンゴルのゲルのようになっていて、円形で天井が高く、硬い床の上には毛足の長いラグマットが敷かれている。
奥には3段ほど高いフロアにダブルマットレスベッドが置かれて、枕の上にライトがかかっていた。手前には茶卓があり、その周りにはクッションが散らばっていて、壁沿いには小さいキッチンシンクがあった。
イオリは履いていたブーツを脱ぐと、腰バッグから布を引っ張り出してゼンの足を拭いてやった。
ゼンはテントの中をチェックするように匂いを嗅ぐ。それで安全と分かったのか、尻尾をブンブン振ってイオリを見てきた。
イオリはフカフカのラグを確かめるように踏みしめ、右目で鑑定した。
ラグマット: 元々は、庵のレジャーシート。最高級のミンクを素材に使用。
フワフワモコモコ、この上で寝ても良い。
茶卓: 元々は、庵のキャンプ用ローテーブル。軽量で折り畳み可能。
マットレスベッド: 元々は、庵のコット。ダブルサイズに変更。腰に優しい。
布団: 元々は、庵のシュラフ。蒸れない寒くない。快適。
キッチン: 元々は、庵のキャンプ用棚。シンクのみ簡易キッチン。水も出る。
クッション: サービス。モフモフ。
「凄過ぎる。リュオン様、気合い入れ過ぎてる……」
イオリはクッションの間に座り、残りを調べようとカラビナが付いた水筒を手に取った。
水筒: 元々は、庵の水筒。いつでも白禅山の湧水が飲める。料理にも最適。
無限に出る。
振ってみてもなんの音もしない。首を傾げながらフタを開けると、チャプッと音がする。
試しに飲んでみると、
「冷たい! 美味い!」
ゴクゴク飲むイオリを見て、ゼンも近づいてきて催促する。
「ちょっと待って! バックパックの中の物全部ということはあるはず……あった!」
イオリは木の浅皿を出して水筒を傾け、水で満たした。水の入った浅皿を茶卓に置いて、ゼンに勧めると勢いよく飲みだした。
ゼンは満足そうに喜ぶ。
『お山の水だー! 美味しー!』
引き続いて腰バッグを漁るイオリ。
鍋: 元々は、庵のコッヘル。耐久性に優れている。
コンロ: 元々は、庵のバーナー。五徳付き魔道具に改良。
魔石が埋め込まれていて燃料切れがない。
「火の心配はないのかな……。よし」
チェア: 元々は、庵のキャンプチェア。軽量は変わらないが、木と布で作り直した。
イオリはチェアを入り口の脇に置いた。
その後も腰バッグを漁っていると、少量の食器類、少量の食べ物、着替えやタオルなど生活に必要な物が出てきた。共通点と言えば、リュオンの加護と盗難防止が付与されていたことだ。
残りは、武器とお金である。
まずイオリはお金の入っている腕輪を茶卓に置いた。
「……? これが財布なのかな?」
硬貨: この世界のお金。単位はない。日本円に直すと次の通り。所持数も記載。
硬貨そのものだと不便なため腕輪で管理。腕輪は庵の腕時計。
電子マネーです。ピッです。
銅貨:100円 × 5000枚
銀貨:1万円 × 5000枚
金貨:10万円 × 5000枚
大きいお金はここぞってところで使ってくださいね。
「金貨だけで……5億っ。……いやいやいやいや!! 何、この量……。電子マネーって……。俺、前の世界でも使ったことないよ。村で必要ないもん。いや、5億……。忘れよう……。ここぞの時ってあるし、当分使わないし。忘れよう」
イオリは腕輪を腰バッグに入れ、頭を振って気持ちを切り替えた。それから、銃とナイフを持って立ち上がった。
イオリは椅子に座りブーツを履く。それからゼンに声をかけた。
「ゼン。武器を試しに行くけど、一緒に行かないか?」
『行く! ボクも体動かしたい!』
△ △ △
2人で外に出るとまだ明るい。石の階段を下りて体を伸ばす。
初めにスナイパーライフルを手にし、構えてみた。
「イメージ……。イメージ……」
拡大スコープをイメージすると、右目から出る二重の青い輪が照準を合わせてくれる。仕組みをなんとなく理解したイオリは、泉の向こうにある木の実を狙う。
輪の中心にT字のレティクルが出てきた。転移前は裸眼で猟銃を使っていたため感心する。
「便利なもんだな。ゼン、なんとかなりそうだよ」
もう一度ライフルを構えて、木の実を狙い通常の弾をイメージして引き金を引く。
ドンッ!!
音とともに木の実が砕けた。
『イオリすごーい!』
「使えるね。でも木の実じゃ威力が強過ぎるね。色々試さないと」
次は、と拳銃を出す。
「これは、転移前は使ったことがないんだよな。どう練習しようかな。とりあえず試すしかないか……。ゼン向こうに行ってみようか?」
『うん。ダメならここに逃げてこよう。リュオン様が守ってくれるよ』
「なるほどね。ゼンは悪い気配とか感知出来るんだよね。心強いよ」
『まかせて!』
2人は泉に近づき、水に触れる。泉が割れて出来た道を渡った。
しばらく歩き、先ほど撃った木の実を確認して威力を見る。
「うん。当分は通常弾で練習しよう。ゼンも好きに走っておいで。まだ、どんな所か分からないから気をつけてね」
『はーい』
ゼンは土の感触を試しながら走りだした。少し様子を見ると、ゼンは木を簡単に倒している。イオリは驚いた。
「……俺も頑張ろう」
2丁拳銃も試してみた。
「撃ち終わったら弾は消えるのか……」
何度撃っても、撃ち込んだ弾痕に弾がないことが分かった。また転移前より体が軽い。若返っただけではない何かがある。
そこでふと気づく。
目の端に動くモノがあった。
鑑定してみると〝一角兎〟と出た。イオリに気づき逃げようとしている。
瞬時にイオリが飛び、一角兎を捕まえた。ジタバタしている一角兎を離すと、草むらに逃げていった。
「身体能力が上がってる? あぁ……。なんか沢山、能力付けてくれてたな」
自分の体と能力を確認していると、ゼンが戻ってきた。
『イオリ! これ食べていい?』
ゼンが持ってきた果実っぽい物を鑑定する。〝りんご〟と出た。
「これ、食べられるよ。りんごだって。持っていこう。もう少しこの辺を探索しながら帰ろうか」
泉に帰る道すがら、落ちている枝を拾う。そしてナイフで余計な葉を切り、ゼンに持ってもらった。
石を何個か腰バッグに入れ、枯葉を拾う。
テントに戻ってくる。
洞穴の外の広い所に石を囲み、枝と枯葉を並べた。そうしてから魔道具のコンロで火をつけ、焚き火を作った。
水を浅皿に入れ、りんごをナイフで切る。
ゼンに差し出すと嬉しそうに食べた。
『甘酸っぱくて美味しいよ!』
その後、この日は泉の周りを探索した。
転移前でも見知った植物があり、使えると分かると採取した。
ご飯はリュオン様が用意してくれた物を食べた。だが、明日からは自分で用意しなければいけない。
イオリは持ち帰った青く茂った枝を蔓で縛って、柵を作った。そうして洞穴に埋め込む。
「よし、これで外から見えないよな。なんとかやっていけるかな」
ここから1週間、第一異世界人に会うまで、イオリとゼンは魔の森の行動範囲を広げ、一角兎をはじめ小動物を獲物として追いかけては、体を鍛えるのだった。
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