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束の間のポーレット
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イオリ達が冒険者ギルドでギルマス・コジモと話していた時、見張りをしていた男が高級宿に走り込んでいた。
「い・・今から街を出るようです!
魔の森に入られる前に接触しようと思います。」
すると若き貴族は高揚した顔を抑えきれずに立ち上がった。
「そうか!遂にか!!
よしっ!私も出張ろう。
爺!急いで支度をしろ。」
「若様、自らとは・・・。
いえ・・・承知いたしました。」
若き貴族は知らせを届けた男を待たせ、自分も身支度を整えると意気揚々と宿を後にした。
___________
「それじゃ、行きますか。」
ギルマスの部屋のソファーからイオリとゼンが立つと一同が立ち上がった。
「気をつけて行けよ。
何かあれば、エルノールがギルドに連絡できるからな。」
ギルマスはSランク冒険者のいる、不思議なパーティーを送り出すべくイオリと握手をした。
エルノールは右手に光る腕輪を揺らしニッコリすると、サブマス補佐についたラーラに声をかけた。
「ラーラ。あとは頼みましたよ。」
「はい。お任せください。行ってらっしゃいませ。」
ラーラはいつもの笑顔で扉をお開き、みんなを送り出す。
「それじゃ、お2人共・・・。
行ってきます。」
ギルマスの部屋を注目していた冒険者達の視線を感じながらもイオリ達は階段を降り、何事も無かったかのように冒険者ギルドを後にした。
「ふふふ。」
冒険者ギルドを出たエルノールが、どうした事か笑い出した。
「どうした?」
ヴァルトが不思議そうに聞くとエルノールは笑いながらも話し出した。
「注目の的だというのに、イオリさんだけでなく子供達まで気にするでもなく通り過ぎている様が可笑しくって・・・。
私が見てきた高ランクの冒険者達は、注目されれば鼻高々に講釈をするものですが、本当の強者とは謙虚なものですね。」
それを聞いたヴァルトもクスクスと笑い出した。
「イオリが特別なんだろう。
あいつにとって冒険者としての依頼達成は生活する為の糧であって、決して出世の為ではないからな。
国王陛下がイオリとの謁見を所望した際の嫌がり方を見ただろう。
他の冒険者にあってイオリに無い物とは野心や野望だろう。」
そんな2人の会話を聞いていたヒューゴが後を振り返って首を横に振った。
「いいえ。そんな事ないですよ。
アイツにとっての野心や欲望は全て食の方へ取られていってるだけですよ。
美味い物が食えるなら、アイツは危ない橋も渡るでしょう。」
「違いない・・・ププッ。」
ヒューゴの言った事を想像して笑い出すヴァルトとエルノールであった。
たわいの無い話をしならもイオリ達が壁門にたどり着くとお忍び姿のポーレット公爵夫婦であるテオルドとオルガ夫人がさり気なく治安維持隊に守られていた。
離れたところでは治安維持隊隊長ロディがポーレット公爵家長男であるニコライや従者2人と談笑している。
「お待たせしました。」
イオリ達が近づくとテオルドとオルガ夫人はニッコリとした。
「全ての用は済んだのか?」
「はい。教会へは先日、お別れを言ってきましたので大丈夫です。」
テオルドはイオリの肩をポンポンと叩き見慣れた黒い戦闘服を観察した。
「カサドの仕事は相変わらず丁寧だな。
新品同様じゃないか。」
「頭が下がります。
子供達の物もしっかり作り込んでくれたんですよ。」
双子を始めナギとニナの戦闘服にテオルドとオルガ夫人は顔を綻ばせた。
「揃ったな。行くか。」
ニコライの言葉に頷くとイオリは腰バックから馬車を取り出し、大きくなったアウラにハーネスをつけた。
「イオリくーん!!」
仕事中にも関わらず、見送りに来たポルクスが走りながらやってきた。
「間に合ったよ。
また、魔の森に行くんだって?」
「ポルクスさん。
来てくれたんですか?ありがとうございます。
今回は少し長くなる予定です。
また、この場所でお会いしましょう。」
ポルクスは頷くと馬車に乗り込んで手を振っている子供達に手を振り返した。
「気をつけて!」
馬車から離れるとポルクスは仲間と共に見送りの列に並んだ。
イオリはヒューゴに合図を送ると馬車を発車させ呟いた。
「またね。ポーレット。」
イオリはゼンの頭を撫でながら離れていくポーレットの街を振り返ったのだった。
「い・・今から街を出るようです!
魔の森に入られる前に接触しようと思います。」
すると若き貴族は高揚した顔を抑えきれずに立ち上がった。
「そうか!遂にか!!
よしっ!私も出張ろう。
爺!急いで支度をしろ。」
「若様、自らとは・・・。
いえ・・・承知いたしました。」
若き貴族は知らせを届けた男を待たせ、自分も身支度を整えると意気揚々と宿を後にした。
___________
「それじゃ、行きますか。」
ギルマスの部屋のソファーからイオリとゼンが立つと一同が立ち上がった。
「気をつけて行けよ。
何かあれば、エルノールがギルドに連絡できるからな。」
ギルマスはSランク冒険者のいる、不思議なパーティーを送り出すべくイオリと握手をした。
エルノールは右手に光る腕輪を揺らしニッコリすると、サブマス補佐についたラーラに声をかけた。
「ラーラ。あとは頼みましたよ。」
「はい。お任せください。行ってらっしゃいませ。」
ラーラはいつもの笑顔で扉をお開き、みんなを送り出す。
「それじゃ、お2人共・・・。
行ってきます。」
ギルマスの部屋を注目していた冒険者達の視線を感じながらもイオリ達は階段を降り、何事も無かったかのように冒険者ギルドを後にした。
「ふふふ。」
冒険者ギルドを出たエルノールが、どうした事か笑い出した。
「どうした?」
ヴァルトが不思議そうに聞くとエルノールは笑いながらも話し出した。
「注目の的だというのに、イオリさんだけでなく子供達まで気にするでもなく通り過ぎている様が可笑しくって・・・。
私が見てきた高ランクの冒険者達は、注目されれば鼻高々に講釈をするものですが、本当の強者とは謙虚なものですね。」
それを聞いたヴァルトもクスクスと笑い出した。
「イオリが特別なんだろう。
あいつにとって冒険者としての依頼達成は生活する為の糧であって、決して出世の為ではないからな。
国王陛下がイオリとの謁見を所望した際の嫌がり方を見ただろう。
他の冒険者にあってイオリに無い物とは野心や野望だろう。」
そんな2人の会話を聞いていたヒューゴが後を振り返って首を横に振った。
「いいえ。そんな事ないですよ。
アイツにとっての野心や欲望は全て食の方へ取られていってるだけですよ。
美味い物が食えるなら、アイツは危ない橋も渡るでしょう。」
「違いない・・・ププッ。」
ヒューゴの言った事を想像して笑い出すヴァルトとエルノールであった。
たわいの無い話をしならもイオリ達が壁門にたどり着くとお忍び姿のポーレット公爵夫婦であるテオルドとオルガ夫人がさり気なく治安維持隊に守られていた。
離れたところでは治安維持隊隊長ロディがポーレット公爵家長男であるニコライや従者2人と談笑している。
「お待たせしました。」
イオリ達が近づくとテオルドとオルガ夫人はニッコリとした。
「全ての用は済んだのか?」
「はい。教会へは先日、お別れを言ってきましたので大丈夫です。」
テオルドはイオリの肩をポンポンと叩き見慣れた黒い戦闘服を観察した。
「カサドの仕事は相変わらず丁寧だな。
新品同様じゃないか。」
「頭が下がります。
子供達の物もしっかり作り込んでくれたんですよ。」
双子を始めナギとニナの戦闘服にテオルドとオルガ夫人は顔を綻ばせた。
「揃ったな。行くか。」
ニコライの言葉に頷くとイオリは腰バックから馬車を取り出し、大きくなったアウラにハーネスをつけた。
「イオリくーん!!」
仕事中にも関わらず、見送りに来たポルクスが走りながらやってきた。
「間に合ったよ。
また、魔の森に行くんだって?」
「ポルクスさん。
来てくれたんですか?ありがとうございます。
今回は少し長くなる予定です。
また、この場所でお会いしましょう。」
ポルクスは頷くと馬車に乗り込んで手を振っている子供達に手を振り返した。
「気をつけて!」
馬車から離れるとポルクスは仲間と共に見送りの列に並んだ。
イオリはヒューゴに合図を送ると馬車を発車させ呟いた。
「またね。ポーレット。」
イオリはゼンの頭を撫でながら離れていくポーレットの街を振り返ったのだった。
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